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◆憤怒の逃走

ユウはまだ泣き止まないけど大人しく付いて来てくれている

でもたまに後ろを振り返る、まだ未練があるんだろうと思う。

気持ちは分かる 私も、ホントは残って戦いたかった

でも、それはダメ!

ここで私たちが死んだらおじいちゃん達は無駄死にって事になっちゃう、それだけはしちゃダメ・・・


これからどうしよう・・・

とりあえず人間から距離を取れたのはいいけど このまま南へは行けない

無数のトラップが仕掛けられてるからだ。バリケードも作られてるのですぐには突破出来ない

敵も南側へは行って欲しくないんだと思う

さっきも迂回して南へ行く道を探してる途中 あの場面に遭遇した


転移を妨害してる結界の外へ出れば 集落以外の場所へも転移出来る筈なんだけど

私たちは足が遅いから集落から出る事さえ簡単じゃ無い

北からは追手も来るだろうし、うう~、どうしよう?


「アイ、敵が近付いて来てる。気配遮断魔法で隠れよう」

「え?う、うん!分かった!」


気配遮断魔法を使い 透明になり臭いも消す

あまり近付きすぎるとバレちゃうけど 

そこはユウの感知レーダーで躱していく。私たちのお得意コンボだ


敵が少数なら各個撃破して数を減らしていきたい所だけど

この人たち、お互いがお互いをサポート出来る距離を保ってて なかなか隙が無い

1人を襲えば すぐに集まって来て囲まれてしまうだろう

よく訓練されている、簡単には行かないな


どうするべきか なかなか答えが出せず迷っていると

ユウが「念話」で話し掛けてくる


『アイ、ここは北へ向かおう!

 奴らが入って来た方向だから罠も少ないと思うし

 今なら戦いの直後で奴らも混乱してると思うんだ』


北か、いいかもしれない

私たちが南へ逃げるのをあの人たちは見てるから虚を突けるかもしれないし

強そうな人間(幹部)が多く陣取ってる北側へは来ないだろうという油断もある筈


悪くない考えだと思う

でも、その為には「あそこ」をもう一度通らなければいけない・・・

そこまで考えてユウの方を見ると目が合った


『大丈夫だよ、俺、ちゃんと我慢するから・・・行こう!』

『う、うん!』


ユウはさっきまでより強くなった様に思える


私たちは必ずしも訓練や戦いでの経験値で成長する訳では無い

なんらかのきっかけで急激に成長する事もあり得るって おじいちゃんが言ってたっけ

皮肉だよね、こんな事で成長するなんて・・・


気配を隠したまま おじいちゃん達が戦った場所まで戻って来る

まだ誰にも見つかっていない、意外と追手の数が少なかったからだ

なんでかな?と思ったけど、ここへ来て理由が明らかになった

おじいちゃんの魔法で敵も相当の被害が出てたんだ

被害状況の確認や怪我人の回復など事後処理が忙しくて、少数しか追手が出せなかったんだね

敵の幹部たちの声が聞こえる


「被害状況は?」

「死亡者90名、軽傷20名前後、重症10人前後って所ですね」


「そうか、なあリーダー、今回は失敗だったんじゃねェか?

 大勢死ぬし、肝心の素材は殆ど焼けちまって取れねェし

 たぶん脱退する奴も相当数出るぜこれは」


「そうだな、ひらメンバーが多少減るのはどうでもいいが

 ボアの野郎がやられたのは痛かったな

 うちでは俺を除けば最強の前衛だったんだがな・・・」


「ボアはオッサさんを目標にしてるって言ってたからな・・・

 だから ああやって無茶することは多かった

 馬鹿だよな、俺たちがあんな英雄を目指してもつらいだけなのに・・・」


「ああ、だが俺はそんな馬鹿が嫌いでは無かったよ

 なのに、こんな所で死んじまうなんてよ!くそ!

 この糞スライムが!くそ!くそ!くそ!」



ザクッザクッと敵幹部の剣がおじいちゃんの死体を切り刻む音が聞こえる

この人たち、何を勝手な事を言ってるの?

自分たちから戦闘を仕掛けておいて!私たちの仲間を大勢殺しておいて!

反撃を受けて自分たちの仲間が死んだら被害者面?ふざけないでよ!


おじいちゃんを斬るのやめてよ!おじいちゃんから離れろ!

この人たち絶対許さない!許さない!


悔しさで涙が止まらない、その涙で嗚咽がこぼれそうなのを必死で抑える

今見つかる訳にはいかない・・・

気配を殺し敵を避け、北へと進んでいく

怒りでどうかなりそうだったが、今戦っても勝ち目は無い

私だけならともかく、ユウも巻き添えにしてしまう それはダメだ

お前たち、顔は覚えたからな!必ず力を付けてやっつけてやるからな!



そのまま北へ進み、もう少しで敵の姿が見えなくなるという所まで進んだ所で

私の脳内にメッセージが響いた


『進化の条件を満たしました。進化しますか?』

 



 




 



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