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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
358/389

足さない一皿

崩れ続ける荒野を抜けて半日。


三人は、

豊かな平原に出た。


畑は実り、

果実は溢れ、

水は満ちている。


ミナが

周囲を見回す。


「……ありすぎや」



◆満ちた町


町は

活気に満ちている。


市場は

食材で溢れ、

料理は山のように積まれている。


どれも豪華。


どれも量が多い。


だが――

誰も最後まで食べない。



◆過剰の疲れ


皿には

必ず残りがある。


味も濃い。

量も多い。


食べるほどに

重くなる。


ルナが

顔をしかめる。


「……多い……」



◆足し続ける文化


料理人が

言う。


「足せばいい」


もっと香辛料。

もっと肉。

もっと油。


良くしようとして、

足し続ける。



◆逆の発想


アリアが

静かに言う。


「……引きます」


ミナが

笑う。


「……珍しいな」



◆削る料理


鍋を使う。


だが

材料は少ない。


豆。

少量の肉。

水。


味付けも

最小限。



◆足さない


途中で

足さない。


味見をしても、

加えない。


そのまま。


ルナが

不安そうに言う。


「……足さない……?」


アリアが

うなずく。



◆軽さ


完成した料理。


見た目は

地味。


香りも

控えめ。


だが

一口食べると。


軽い。



◆初めての完食


一人が

最後まで食べる。


皿に

何も残らない。


この町では

珍しいこと。


ミナが

小さく笑う。


「……終われるやろ」



◆満ちない満足


別の人も

食べる。


物足りなさを感じる。


だが――

不思議と

もう一口欲しくなる。


満腹ではない。


だが

満足している。



◆引く意味


アリアが

静かに言う。


「……満ちすぎると

 終わりがなくなります」


「……引くことで

 終わりが生まれます」



◆文化の変化


市場の料理が

少し変わる。


盛りを減らす。


味を抑える。


すべてではない。


だが

一部が変わる。



◆余白の価値


ルナが

微笑む。


「……もう一口……

 いい……」


ミナが

頷く。


「……それでええ」



◆まかない部の理解


アリアが

まとめる。


「……整えるとは

 足すことではなく、

 引くことでもあります」



◆次へ


三人は

町を離れる。


背後には

満ちた世界と、

少しの余白。


だが次は――

何もない。


足すものすらない。


空白の世界へ。


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