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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
357/389

崩れる前提

拒絶の町を離れて一日。


三人は、

地面のひび割れた荒野に入った。


足を踏み出すたび、

土が崩れる。


石を置けば、

割れる。


風は一定ではない。


強く、弱く、

絶えず乱れる。


ミナが

短く言う。


「……保たん」



◆形が続かない土地


遠くに

かつての町の跡。


だが

形が残っていない。


壁は崩れ、

屋根は落ち、

道も途切れている。


ルナが

呟く。


「……全部……壊れる……」



◆料理の不可能


鍋を置く。


傾く。


ひびが入り、

割れる。


火を起こす。


風で散る。


食材を置く。


転がり、

崩れる。



◆完成という幻想


ミナが

舌打ちする。


「……完成させたら

 終わりやな」


完成した瞬間、

壊れる。


保てない。



◆考えの転換


アリアが

静かに言う。


「……完成を

 持たない料理にします」


ルナが

首を傾げる。


「……完成……しない……?」



◆持ち続ける料理


三人は

手に持つ。


置かない。


混ぜる。


止めない。


少しずつ口に入れる。


同時に

また混ぜる。



◆形を作らない


固めない。


盛らない。


完成形を作らない。


常に

“途中”。


ミナが

笑う。


「……終わらせへんのか」



◆崩れない理由


崩れるのは

形。


だが

この料理は

形を持たない。


だから

壊れない。



◆住人の反応


荒野の奥に、

人影があった。


彼らは

食べることをやめていた。


どうせ壊れる。


意味がない。



◆見せる動き


ルナが

その場で混ぜる。


少し食べる。


また混ぜる。


繰り返す。


止まらない。



◆理解の瞬間


一人が

近づく。


手に取る。


同じように

混ぜる。


少し食べる。


崩れない。


「……壊れない……」



◆続けるという形


アリアが

言う。


「……これは

 完成しません」


「……ですが

 続きます」



◆広がる動き


人々が

真似する。


それぞれが

持つ。


混ぜる。


食べる。


また混ぜる。


荒野の中で

初めての“持続”。



◆風の中の食事


強い風が吹く。


だが

関係ない。


手の中で

続いている。


ミナが

言う。


「……壊れへんやろ」



◆まかない部の理解


ルナが

静かに言う。


「……終わらない……

 安心……」


ミナが

うなずく。


「……続くもんは

 強いな」


アリアが

まとめる。


「……整えるとは

 壊れない形を選ぶことではなく、

 壊れても続く形を作ることです」



◆次へ


三人は

荒野を離れる。


背後では、

人々が手の中で

食べ続けている。


形はない。


だが

続いている。


そして次は――

すべてが満ちすぎている場所。


足す余地のない世界へ。


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