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今日も魔王城は飯がうまい  作者: 昼の月
355/394

均一の皿

速すぎる町を離れて半日。


三人は

奇妙な平地に入った。


風は吹いている。


だが、

一定。


強さも、

向きも、

変わらない。


ミナが

眉を寄せる。


「……揺れへん」



◆均一な町


その先に

町があった。


家は

同じ形。


道は

同じ幅。


人々も

同じ速度で歩く。


声の高さまで

揃っている。


ルナが

小さく言う。


「……同じ……」



◆同じ料理


市場には

料理が並んでいる。


どれも同じ。


同じ大きさ。

同じ色。

同じ匂い。


皿を取る。


味も

同じ。


どこで食べても

変わらない。



◆安心と停滞


町の人は

穏やかだ。


争いはない。


疲れもない。


だが――

変化もない。


ミナが

低く言う。


「……楽やけどな」


「……進まへん」



◆差を入れる


アリアは

小さな鍋を出す。


いつもより

控えめ。


ミナが

材料を入れる。


豆。

根菜。

少しの肉。


だが

一つだけ違う。


香草を

多めに入れる。



◆ほんの少しの違い


火を入れる。


鍋は

静かに煮える。


匂いが

わずかに変わる。


強すぎない。


だが

均一ではない。



◆違和感


町の人が

振り向く。


「……何か違う」


初めての感覚。


不安でもあり、

興味でもある。



◆一口の差


ルナが

皿を渡す。


一口。


食べる。


少し

目が動く。


「……少し濃い」


それだけ。


だが

この町では

大きな違い。



◆揺らぎの種


別の人が

もう一口。


今度は

少し塩を足す。


また違う味。


初めて

“選ぶ”が生まれる。



◆均一の崩れ


市場の料理が

変わり始める。


ほんの少し。


塩を足す者。

水を足す者。


違いが

増える。


町の空気が

揺れる。



◆不安と可能性


一人が

言う。


「……揃っていない」


別の人が

言う。


「……でも

 面白い」



◆料理の意味


アリアが

静かに言う。


「……均一は

 安心を生みます」


「……ですが

 差がなければ

 選べません」



◆まかない部の理解


ミナが

鍋を見て笑う。


「……ちょっとの違いで

 こんな変わるんやな」


ルナが

うなずく。


「……楽しい……」



◆町の変化


夜。


町の灯りが

わずかに揺れる。


均一ではない。


だが

消えてもいない。


違いが

残っている。



◆次へ


三人は

町を離れる。


背後では

同じだった町に

少しずつ差が生まれている。


揺らぎが戻る。


だが次は――

差も揺らぎも

すべて拒まれる場所。


どんな変化も

受け入れない世界へ。


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