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12話「魔法学校入学」

「エイト様とナギサ様ですね! それでは魔法学校に案内致します!」


 案内役に先導され、巨大な日時計がある街の中心部を抜けて、歩くこと約30分。魔法学校が見えてきた。


「それでは、お二人にはこれからこちらで生活していただくことになります」


 まず、寮に案内され、荷物を下ろす。とは言っても家具や大抵の生活必需品は最初から部屋に備え付けられているから、服を何着かと小物が少しあるだけだ。

 早速支給された制服に着替えて、寮の外に出る。少し待って、ナギサも女子寮から出てきた。じゃあ行こうか。



「えー、今日から二人このクラスに編入してくることになりました。自己紹介をお願いできますか?」

「エイトだ。よろしくたのむ」

「ナギサ・アリサキです。よろしくおねがいします」


 シノブの名前を聞いたクラスが少しざわつく。


「名字持ち? なのにこっちのクラスなんだ」

「う、うん。でも田舎の方だから気にしないでください」


 名字があること、それはこの世界では貴族や領主であることを意味していた。しかし、アリサキ村は所詮辺境の村に過ぎないため、権力は皆無である。実際、村長であるとはいえその暮らしは一般の農民と全く変わらなかった。

 どよめきが収まらないクラスに対し、先生が手を叩く。


「はいはい。話はそこまでにして、後で。それじゃあ二人は、空いてる席に」


 先生に促され俺たち二人は教室中央の席へと移動する。


「それじゃあ、新しい子たちもきたことだし、今日は復習から始めましょうか。当てていくので、気を抜かないように」


 こうして魔法の授業が始まった。


「まず、皆さんご存知だとは思いますが、この世界は四大元素からできています。土・水・風・火。そして私たち魔道士はそれら4つの元素(エレメント)を利用することでそれぞれの属性の魔法を発動させているわけです」


 ここらへんの話は、前にナギサの持っていた本で読んだな。


「しかし、魔道士にも得意不得意がありますから全ての属性の魔法を使える者はそう多くありません。全ての属性を基礎魔法を越えたレベルで使いこなせれば上級魔道士となるわけですが、みなさんも何十年後かには上級魔道士となることを目指して日々鍛錬を怠らないでくださいね。

 そのために今できることはまず自分の得意とする属性を見つけ出して、それを磨き上げることです」


「じゃあここでピ―ニャさん」

「えっ、ウチっすか」


 どうやら俺の後ろの席の女子が指名されたようだ。


「各属性を専門とする魔道士の割合は?」

「ええと、土属性が大半っすね」

「他の属性は?」

「……。覚えてないっす」

「土属性が大半というのは正解ですね。魔法学校を卒業した生徒の割合でいえば土属性が7割、水属性が2割、風属性が1割です。ですのでここにいるかなりの人は土属性を専門とする魔道士となります」


 かなり土属性が多いんだな。って、あれ、3つの属性で10割になってるけど火属性の魔道士はどうなってるんだろうか。

 元の世界の俺なら授業に疑問を抱いたとしてもろくに質問なんてしなかっただろう。でも今の俺は違う。変わるんだ。

 スッっと手を挙げる。


「あのー先生。火属性の魔道士はいないんでしょうか?」

「良い質問ですねエイトさん。火属性を専門とする魔道士ももちろんいます。ですが割合にすれば全体の1%以下です」


 なるほど、火属性はかなりレアというわけか。よし、せっかくだしこれからは火属性の魔法を覚えていくことにしよう。


「それでは次は魔法の……



 理解できたようなやっぱり理解できないような、そんな感じで授業は続いていく、そして昼を知らせる鐘が鳴り響いた。基本的に午前中は座学。その後、昼休憩を挟んで午後から実技だ。


 昼食を取るためナギサと一緒に学食へ向かう。今日のメニューはパスタだ。

 パスタを受けとり席に座ると、クラスメイトのピーニャに声をかけられた。


「お昼ご一緒していいっすか?」

「ああ、どうぞ」

「お二人とも同じ村の出身なんすよね? どんな村なんすか?」

「自然が豊かで平和な村だったよ」

「なにもないところですけどね。ところでピーニャさんはどこの出身なんですか?」

「ああ、ピーニャでいいっすよ。敬語も堅苦しいんでナシでいいっす。で、ウチの出身すか、王都近くの村っすね。これといって何もないっす」

「王都の近くでもあまり栄えてないもんなんだな」

「いやーそうっすね。結局、魔道士がいないと繁栄しないっすからね。魔石もないっすし」

「魔石?」

「魔法をためておける石っすね。たとえばこれなんかは『灯火(バーン・ファイア)』の魔石でいつでも火を起こせるっすよ。あ、食堂でも使われてるっすね」


 そう言ってピーニャは鍋の下を指差す。

 確かにかまどには薪のようなものもなしに一人でに燃えているように見受けられる。

 魔石が火を放っているということか。


「いやー魔石のおかげで誰でも魔法が使えて超便利っすよ。数がそんなに作れないから王都でしか流通してないみたいっすけど」

「ちなみにどうやって作ってるんだ?」

「詳しい製造方法は知らないっす。竜の骨に魔力を与えて作るらしいっすよ」

「他にはどんなところで使われてるの?」

「王都じゃあらゆるところに使われてるっすよ。水の魔石でお風呂場で水を上から降らしたり、風の魔石で部屋を快適な温度に保ったり」


 シャワーとエアコンのような使い方をしているらしい。魔石が現代文明の電気の変わりとして役目を果たしているようだ。


「それって村に持って帰れないかなあ」

「ナギサの村にっすか? それはどうっすかねえ……。しばらく使ってると魔力がなくなって使えなくなっちゃうんで、そうなるとただの石ころっすね。村に持ち帰っても、魔力の切れた魔石にもう一回魔法をこめられる人がいないと意味ないっす」

「そうなんだね……」


 ナギサが少し残念そうな顔をする。

 しかし、魔石は色々と応用ができそうだな。現時点で具体的なアイデアがあるわけではないが。


 そんな話をしている間に、昼食の時間が終わった。

 午後からは実技。さあ、力の見せ所だ!


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