1-1「妹と禁断行為」
どうやら俺は転生してしまったようだ。それを知ったのは十歳の時だと思う。
いきなり知らない女性が声かけて来た。彼女は色々と話してくれる。
『聞きなさい、アイルよ。貴方は宿命を背負った者なんですから』
そんな一言だけ告げられ、周辺を見渡しても主は見つからない。ただ、本当に聞こえて来たんだと分かっていた。その存在を感じ取れたからだ。
「どこにいるんですか? 出て来てください!」
すると、急に光景が切り替わる。そこは真っ白な空間だった。果てしなく続いていく空間は、何かと特別感を抱ける。
『よくぞ聞いてくれた。本当に感謝しているわ。ありがとう』
気づいたら女性が立っていた。その姿は明らかに普通じゃない。白を基調とした大らかな着物を着こなしていた。
彼女が登場して疑問を抱く。俺に何か用事があって現れたんだと思って質問してみた。
「何故、貴方は俺なんかを?」
『ふふっ。貴方は転生した時から目をつけていました。偶然にも貴方が獲得したスキルは特別なんです。だからこそ、私がいるんですよ?』
「へぇ……?」
不思議と信じても良いと思ってしまった。あまり自分が特別だとか思いたい訳じゃない。ただ、彼女が偽るような方には思えなかったんだ。
取り敢えず話を聞いてみた。それから判断していこうと考える。
「隠しスキル……?」
『はい。多分、貴方は家の者から『出来損ない』として扱われて来たはずです。けど、それは本来から持っていた肝心なものが隠れてしまっているのが原因でした。なので、一つだけ告げておきます。貴方は三ヶ月後、家を追放されるでしょう。それだけは踏まえて生活しなさい』
「ええっ⁉︎ つ、追放ですか……?」
『はい。貴方が産まれた家柄は由緒正しい騎士家庭です。だからこそ、騎士として大事なのは、全部“身体ステータス”と“スキル”だと掲げたいます』
確かに両親は検査結果を見た時、がっかりしたような一言を残していた。ただ、問題ないとばかり思ってしまっていたんだ。追放なんて考えてもいなかった。これから修行を積み上げ、兄さんたちと同じ土俵に立つ気だったのである。
「まさかな……。じゃあ、どうやって生きていけば良いんですか?」
『簡単です。旅するしかないでしょう。単純に修行は続きます。だから、冒険者が適しているはずです』
「な、なるほど……。今のうちに鍛えておけば、冒険者としてやっていけるんだな……」
大体、事情と今後の予定は分かった。後は事前準備を整えておけば、やたらと困ることはない。
取り敢えず知れて良かった。今後はどう意識していけば良いか分かってしまうと安心である。
『それでは私は失礼します。私と話せるのも『天命の声』と言う隠しスキルから成立したものです。他言無用でお願いします』
「は、はい!」
すると、さっきと同じ光景が目前に広がっていた。どうやら元に戻ったみたいである。
(もう時間は限られている。なら、やり残さないように頑張らないと……!)
心からやる気が湧いて来た。事前に未来が知れて安心したのもある。だから、今から出来ることをやって行こうと考えた。
父から言い渡されていた日程を懸命にこなしていく。修行は本来より意識するように臨み、学習時間は多く知識を叩き込んだ。
そして妹と二人で勉強している最中だった。急に妹、シャリア・イレヴェルトが変な話を持ち出して来る。
「アイル兄様は隠しスキルをお持ちみたいですね? それと凄い才能を隠し持っていらっしゃるようです」
「は? 一体、どうしたんだ? 急すぎて意味が分からないんだけど……」
「ふふっ。見えてしまいました。最近、私は『神眼』を開眼させたみたいなんですよ!」
いきなり『神眼』と言う名称が出て来て何事か分からなかった。しかし、話。聞いてから『神眼』の正体を知る。
「ええっ⁉︎ 相手の内情を見通す眼⁉︎ それってつまり知ってるのか⁉︎」
「しー! もちろん内緒にしますよ。アイル兄様が転生者だと言うことは口外しませんから安心してください」
「な、何でシャリアは内緒にしてくれるんだ?」
普通なら両親に報告されているはずだった。けど、それをシャリアはして来ないと言ってくれている。それは本当なのか疑問でもあった。
ただ、そんなシャリアが信用してない訳じゃない。シャリアから見下されたことなど、一度たりともなかったんだ。それでも確認だけはしたかった。
「アイル兄様が持つ隠しスキル『天命の声』は単独行動している時以外は発動しません。だから、今は効果が現れないはずです」
「へぇ? そんなことまで分かるんだな? 凄い眼だよ」
「ありがとうございます。アイル兄様なら信じられる気がしてしょうがないです」
「ふーん? 何でかな?」
「アイル兄様が一番好きだからです! いつも優しくしてくれて感謝してます!や
何だかシャリアと話していると楽しかった。こんな純粋な笑顔で話してくれる妹は心優しい女の子だと思う。
ついつい抱き締めてあげたくなった。すると、シャリアが悟ったような一言を発する。
「アイル兄様でもエッチな目で見るのですね?」
「は?」
「アイル兄様は私を食べてしまいですか?」
いきなり真剣な眼差しを向けて来る。
そこで気づいた。シャリアは内情を見通してしまえるんだ。つまり、俺が抱いた気持ちは筒抜けだった。
「私で良ければ楽しんでもらえますか? 今なら食べ頃ですよ?」
「ば、バカを言うんじゃない⁉︎ シャリア、落ち着いて⁉︎」
「もう遅いです」
急に体が動かなくなった。これは魔法が発動したんだ。相手を動かなくする高度魔法の一種だろう。確か俺が勉強していた魔法だったはずだ。
(俺が学習した内容を読み取って取得してしまったのか……? そんなことまで出来るなんて……⁉︎)
そしてシャリアから顔を近づけて来る。両頬を抑えてから動けない俺にキスした。
唇同士が重なって柔らかい感触を嫌でも味わってしまう。抵抗したくても動かない今ではキスを止められなかった。
しばらくキスが続き、頃合いを迎えると離れていく。シャリアは念入りに唇を重ね合わせると、満足げな表情で舌鼓してから言い放った。
「アイル兄様と初めてキスしちゃいました。これは今まで以上の至福です。ありがとうございます」
そんな一言の後で体が動かせた。ただ、動かせてもキスした後だと、遅すぎて困惑しか生じない。抵抗する意味がなくなってからでは、危機を回避しようと足掻いていた気持ちは収まらなかった。
「な、何してんだよ! シャリアでも許せないぞ!」
「ほえ? ダメでしたかぁ……?」
「ダメなことぐらい分かるだろ! 兄妹なんだからキスでもダメ!」
「この世界では血筋は関係です。愛し合っていれば肉体関係ですら結べてしまいますよ?」
「えっ⁉︎」
そう言えば今は異世界で生活しているんだった。こっちでは血筋同士で子供を作る行為も可能なんだ。けど、それは一部しか用いらない手段であり、一般だと見られないのが普通である。
だが、それでも妹とキスしてしまうのは不味かった。何故なら俺は出来損ないとして扱われている。予言だと追放されてしまう身でもあった。そんな俺が『神眼』を持つ者とキスは言語道断だ。
「だ、誰も見てないよな⁉︎」
「大丈夫ですよ。一応、魔法で周辺は確認してましたから」
「さ、さすがだな……」
シャリアはキョトンとした顔で見つめて来る。
「今度はなしだぞ? 約束してくれ」
「嫌です。正直、隙があるなら何度でもします、アイル兄様と過ごせる時間は限られているんですから」
シャリアが言うことを聞いてくれなかった。これだとやめてくれなさそうだ。
どうした方が良いか悩んでいると、シャリアから提案があった。
「それなら私が安全確保します。だから、絶対にバレませんよ! それなら良いですよね!」
「根本的問題が解決してない! それでもダメなんだよ!」
「じゃあ、覚悟してください。どうせ抗えないんですから意味ないです」
そうやって再び体が動かなくなる。さっきと同じ行為が施されてしまった。抵抗できない俺を好きなだけキスして来る。
シャリアが満足した頃には、勉強時間を終わらないといけなかった。次は修行する時間帯である。
「それじゃあ失礼しました。これで一旦終わりです。キスしてくれてありがとうございます!」
脳内は錯乱していた。もはや、これから抗えない運命を辿っていくみたいだ。それでやっていけるか心配である、




