59話
お待たせしました!!今作の一話の中で一番長いので時間がある時に見てください!!
「陽凪ちゃん飲み物何が良い?私はコーヒー飲むけど?」
「じゃあ私はカフェオレで~」
「ん?もしかしてブラック飲めないの?」
「そ、そんなことないよ!ブラックくらい飲めるに決まってるでしょ!!」
「じゃあ作るのめんどくさいからブラックでも良い?」
「...............ごめんなさい。私ブラック飲めないです」
「そーやって変なところで意地はらないの。はいどーぞ!砂糖多めのあま~いカフェオレですよー」
「ありがとー!!」
熱々のカフェオレが渡される。本当に熱すぎて飲めないから息を吹きかけて少しでも冷ます。
.................先に言っとくけど私は断じて猫舌なんかじゃない!!ほんのちょっと熱いものが苦手なだけなんだから!!
「ふぅ。それで話って何?さーちゃんとか2人のお母様に聞かせないといけないことって何?」
「....................いい加減私も素直になろうかなって思ったの。今までの捻くれた私なんかじゃなくてありのままの私でこれからのことを話そうって思ったの」
「ふんふん。それで?素直な陽凪ちゃんは私に何を言ってくれるの?.........もしかして愛の告白!?ダメよそんなこと!!私にはさーちゃんがいるんだから浮気になっちゃうよ!!」
「沙那ねぇなら許してくれると思うから...............。うん。まず私こと工藤陽凪は秋庭紗耶香さんに謝ります。今まで心配、苦労かけてきてごめんなさい」
「今まで話せなかったのは恥ずかしいし、もし迷惑に思われてるかもしれないって思っちゃっていつも相談できないでいたんだ。なによりも私ごときの悩みで紗耶香さんの大切な時間を奪いたくなかった。でもね、今さらこの癖を治せっていわれても多分私は治せない。小さい頃からもうそういう習慣がついてるからもう無理だと思う。..............これからも心配かけると思うから先に謝っときます。ごめんなさい」
「..................陽凪ちゃん。その癖っていつからついたの?」
「...................。」
「そう。..........多分その癖って親子3人で暮らし始めた時からのものなのかな?お母様に、さーちゃんに迷惑をかけないようにって思いから始まったんだろうね。...........そこには陽凪ちゃんの不器用な優しさが隠れてるって今なら分かる。けどね、やっぱり頼ってほしいよ。義理の姉な私ですらこう思ってるもん。お母様やさーちゃんならもっとだったんじゃない?」
「だって!だって!!お母さんも沙那ねぇにも甘えられなかったから仕方ないじゃない!!いつも仕事で夜遅くに帰ってくるお母さんに!疲れてるお母さんにそんなこと言えなかった!!私のワガママでそれ以上疲れさせたくなかった!!沙那ねぇだって学校と家事を両立させてたんだからそんなこと言えないでしょ!!私は幼いなりにお母さんにも沙那ねぇにも迷惑をかけないようにって思ってたんだから!!」
「私だってお母さんともっと話したかった!一緒にいたかった!一緒に料理だって作りたかった!でもそんなこと言えなかった!!そんなことしたらお母さんの負担になるって分かってたからワガママ言わない良い子を演じてたの!!それの何が悪い!?」
「悪くはないよ。むしろ陽凪ちゃんらしいかな?でもね、陽凪ちゃんはそう思ってたとしても少なくともさーちゃんはそう思ってなかったよ。だって私聞いたことがあるんだから。陽凪ちゃんが素直過ぎて逆に嫌だって」
「..................え?」
「さーちゃんはね物分かりの良すぎる妹は手がかからないから楽だけどそうじゃないって、気軽にワガママ言ってくれても良いのに、もっと甘えても良いのにいつも一歩さがって、何も文句も言わない陽凪ちゃんのことを心配してたし、何よりもさーちゃんは自分自身を責めてた。もっと小さい頃から甘やかせば良かったって。小さい頃から一歩引いてた陽凪ちゃんを無理やりにでも引っ張ってくれば良かったって。そうしたら今のような不器用な陽凪ちゃんにならなかったんじゃなかったかな?って。もっと家族として接することが出来たら良かったって言ってた」
.............なんで?私は十分嬉しかったよ。なのになんで?なんでそんなこと言うの?
「もちろんさーちゃんは陽凪ちゃんにことが好きだったよ。死んじゃった今でも感情ってものが残ってら絶対にその気持ちは変わってないと思う。だからこそ、なんだよ?いつもさーちゃんは何かあったら陽凪ちゃんに吐き出させるように色々してたでしょ?でもねさーちゃんは本当は陽凪ちゃんが言ってくれるまで待ってようとしてたんだよ。いつでも甘えてもいいんだよ、頼ってきても大丈夫なんだよって、その証として待ってようとしたけど、陽凪ちゃんいつもいつも限界まで抱えてたよね?それが悲しかったんだよ。さーちゃんからしたら我慢させてるって見えたからね」
我慢なんてしてない。私の問題は私が解決するべきなんだから。じゃないと..........。
「ほら。またそうやって一人で悩む。そういうところだよ。些細なことでもいいの、どーでもいいことでもいいの、笑えるようなことでもいいの。陽凪ちゃんの口から言ってくれるだけで嬉しいんだよ?それは私もそう。私は今でもそう思ってる。陽凪ちゃんのことならどんなことでも相談にのってあげる。解決できないかもしれないけど一緒に悩んであげるから遠慮なく、ね?」
「................いいの?嫉妬深いかもしれないよ?メンヘラ女になるかもしれないよ?それでもいいの?」
言っていいの?醜い私を見せても大丈夫?
「メンヘラはちょっと遠慮したいけど陽凪ちゃんなら仕方ない!全部私がこの胸で受け止めてあげるからドンと来い!!」
「そっか...............大好きです、紗耶香さん。もう..........どこにも行かないでほしいです。私を、また、独りに、しないで.........ほしいです」
「................え?」
「私は紗耶香さんと、これからずっと、この家で、暮らしていきたい。あの時みたいに..........沙那ねぇがいた頃のように、仲良く暮らしていきたい」
「................。」
「もう、私は、誰からも置いていかれたくないし、置いていきたくもない。...............寂しいのはもう嫌、なの。............私なんかのために紗耶香さんの未来を、華やかなはずの未来を、奪いたくない。でも................それでも私は、紗耶香さんと、一緒にいたいん、です。.........ダメなら、この話はなかったことでも良いんです。でも............せめて、私が、高校を卒業する、までは、一緒にいてくだ、さい」
「........それが陽凪ちゃんが言いたかったこと?」
「うん.............これが最近私が隠してきた事。本当は紗耶香さんに良い出会いがあったら祝福するつもりだった。家族じゃなくなっても、私が置いていかれても、紗耶香さんが幸せなら良いかなって思ってた。..........笑顔で見送ってあげたかった。私の感情には蓋をしてね。..........でももう我慢できなくなっちゃった。だって紗耶香さんのことが大好きになったから」
「そっか。.............そっか、うん良いよ。私はどこにも行かない。ここでずっっっっっと陽凪ちゃんと暮らしていくよ!!だって!やっと本音を言ってくれた可愛い可愛い陽凪ちゃんのこと置いてどこかに行くなんてできるわけないでしょ!!!」
「ほんと?嘘、じゃない?」
「ここで嘘なんてついても意味ないでしょ?」
「うん................うん!!」
安心したら涙が出てくる。でもこの涙は良い涙。見られても良い涙だから。
「もう........なんで泣くの?ほら、おいで?」
両手を広げてくれる紗耶香さんの胸に飛び込む。
「これからもこうやってしてあげるから遠慮なんていらないんだぞ?なんたって私はお義姉ちゃんなんだから!!」
そう言いながら紗耶香さんは優しく頭を撫でてくれる。
どこか沙那ねぇやお母さんを思い出す。こうやって思いっきり泣いて、本音をぶつけても嫌がられなかったのはたぶん初めて。...........本音をぶつけたこと事態なかったけど。
「ところで私に対する大好きって家族に対して?それとも?」
紗耶香さんの楽し気な声がした。
これ絶対からかってるやつ!!!絶対今の紗耶香さんいい表情してるよ!!
「うぅぅ.............どっちもです」
「ん?よく聞こえないな~?」
ど、どこまでおちょくる気!?
「ほら、なんて言ったのかお義姉ちゃんに教えなさい?」
「...........どっちもって言ったの!!なんか文句ある!?」
言ってやったわ!!どうだ!恥ずかしくて言えなかった今までの私じゃないんだぞ!!
「キャー!お義姉ちゃん恋人の妹に奪われちゃう~♪」
「なっ!?!?」
「これは!世間一般で言う所のね「それ以上はストップ!!!!その言葉は良くないと思います!!!」」
いきなり何言い出してんのこの人!?
「あれれ~これは陽凪ちゃんは耳年増さんなのか~?それとも?そいうアブノーマルな趣味なのか~?」
「だ・れ・が!アブノーマルな趣味か!?私はノーマル!!いたって普通のノーマル!!」
「ん~?だったらさーちゃんの恋人の私のことを好きになるのはどーゆーことなのかな??」
この!答えにくいことばっかし聞いてきやがって!!今度ご飯作る時紗耶香さんの嫌いな物だけを使って作ってやる!!!
「それは!................好きになったんだから仕方ないじゃん」
「これはこれは大変ですね~。さーちゃんに怒られてしまいます~。....................でもね、ありがとう陽凪ちゃん。私も大好きだよ」
................ほら。こうやって私が欲しい言葉をこうやってサラって言っちゃうんだから。
「こんどさーちゃんに会う時は2人で土下座して謝ろっか。義姉に、義妹に手を出してごめんなさいって」
「.............................うん」
沙那ねぇ、先に謝ります。本当にごめんなさい。でも後悔はないです。
「ねぇ陽凪ちゃん?」
「ん?何?」
「今日は一緒に寝よっか」
「!?!?!?!?!?!?!?!?」
ま、待って!!今さっき愛の告白したよね!!その後の一緒に寝よって.......そういう意味しかないじゃん!!
「あれれ~?もしかしていやらしいこと考えてる~?残念ながら高校卒業するまでは手を出すつもりはありません~」
よ、良かった..............。
「あ!でもあまりにも陽凪ちゃんが無防備だったり誘惑が酷かったら襲うから気を付けてね~」
良くないじゃん!!これから私は家にいる間もずっと貞操の危機を感じないといけないの!?
「で、どうする?一緒に寝る?」
そんなの答えは決まってる。
もし仮に襲われたとしても私は喜んでそれを受け入れると思う。
だって
「もちろん!!」
だって
好きになったんだからそんなことは当たり前じゃない。
(若干の深夜テンションで一部書いたなんて言えない)




