23話
前回は本当に申し訳ありませんでした。
ピロン♪
んー、もう何?今は夏休み中で私はまだ寝たいんだけど?
スマホスマホどこ?.............あった。誰からメッセージ来た?...........美咲だ。
『陽凪起きてるか?』
『今起きた。私の安眠を妨害した罪は重いぞ』
『悪い悪い。でさ要件なんだけさ、陽凪ってまだバスケできるか?』
『できるかできないかで言われたらできない。なまりになまってボロボロだよ?』
『あー、技術的なことじゃなくて心の問題だ』
『ん?』
『だってバスケは陽凪と家族との思い出がたくさん詰まったものだろ?だから辛いことを思い出させてしまうかもって思ってな』
『なんだそんなこと。あの体育館に行かない限り大丈夫だって思ってる。てかそんなこと気にしてるなら普通バスケする?って聞かなくない?(笑)』
『そりゃそうだ(笑)今部活やってんだけど1人人数が足らないんだよな。で、クラスマッチで陽凪はそれなりに活躍してただろう?だから人数合わせで来てもらえないかって言われてさ』
『なるほど。でも私がそれなりにできた理由って美咲と組んでたからだけどな』
『それでもだ。今メンバー近くにいるけど全員陽凪が来ても大丈夫って言ってるからさ、どう?」
『それ私に選択肢ないよね?』
『そうとも言う』
『はぁ.................今起きたばっかりで何もしたくできてないからそっち着くの30以上はかかるよ?それでもいいの?』
『十分!!じゃあよろしくな!』
『駅前のクレープで手を打ってあげるよ』
『おけ!』
はぁ、それじゃあ準備しますか。
練習着なんてないからクラスTシャツでいいかな?上にパーカーでも羽織ってれば学校に行くまでの間恥ずかしくないしね。
メイクは汗に強いやつを使って軽くでいいか?ノーメイクで行ったら沙那ねぇにも紗耶香さんにも何言われるか分からないから。
よし!準備OK!!念のためお茶を途中で買っていけばいいよね?多分部共有の飲み物はあるだろうけど私が飲んでいいか分からないからね。
それじゃ行きますか。
――――――
体育館に到着っと。美咲はどこかなー?
....................いたいた。相変わらずバスケ上手いなー。
「美咲ーファイトーー!!」
こっちを一瞬だけ見てガッツポーズで返してくれる。
パスをもらった美咲がドリブルで持ち込む。けどすぐにガードに入られる。
今の状況なら美咲から見て右斜め前にパスコースを作って美咲を助けた後に、パス貰った人が囮になって美咲を自由にさせて、コート左端にもう1人相手コートにいるからこの3人で陽動をしかけて、後ろにいる5番の子ってたしかクラスマッチのとき3ポイント結構入れてたから、あの人にパス回せば多分決まる。
といってもこれは中学バスケの知識だから高校じゃ通用しないかもだけどね。
通用するか分かんないけどやらないよりはましでしょ?バスケ部の人からは絶対変な目で見られるけどね。
「美咲!!ダフラ!この暗号覚えてる!?」
「..................っ!?七海!!玲奈そのまま上がって!!」
すると私の思った通り右斜め前にパスコースができたからそこを突破口にしたい、けどやっぱりダメか。3対5じゃ5番の子が上がって来るまで時間稼げなかったか。
ん?バスケ部の団体から1人がこっちに来る。さすがに出しゃばりすぎたかな?
「あ、あの工藤陽凪さん、ですよね?」
「そうだけど、あなたは?」
「同じ2年の成瀬美琴です。で、今のってなんですか?」
「あぁあれ?私がまだ美咲とバスケをしてた頃にね、星蘭中で使ってた暗号なの。ダフラはえっとなんだったけ?右斜め前を英語にして縮めたやつよ」
「で、さっきの解説は星蘭にいたころ美咲ってやっぱり良くマークされてて自由に動けなかったの。だったら私達で自由にさせればいいじゃんってことになって美咲中心にいろいろ作戦考えたの。それの派生が今の1つ。美咲が良くマークされてるってことは1番の囮にもなれるってこと。だから美咲を囮にして、あそこにいた3番と7番が美咲と一緒に相手コートでいろいろして、その間に後ろの5番が良い位置にスタンバイしてあの3人のうちの誰かからパスをもらって3ポイントを狙うって感じ」
「多分美咲はさっきの一言で全部分かってくれた。だから私が思った通り3人で囮になったけど、さすがに人数差がありすぎたね。それに部外者が口出したことも反省しないと」
「......................あの、もう少し教えてくれませんか。それと口出しはOKです!!今やっているのは2年生VS3年生で練習試合で、私達じゃ分からないことはあるからそれを工藤さんに教えてもらいたいなって思って」
「そっか。うん、ありがと。あと私に教えれることってないよ?星蘭時代の作戦は美咲が中心にいてこそだったけど、ここは美咲よりも上手い人いるでしょ?だったら参考にならないと思うよ」
「で、でも!今の!!」
「今のはね「陽凪!久しぶりにあの暗号聞いてびっくりしたけどあの作戦もう少しだったな!!もう少しで完成できたのにーーー!!」...........美咲落ち着け!まだ試合ちゅうでしょ!」
「もう終わった。てことで陽凪、バスケコートにおかえり」
「ならいいけど。うん、ただいま」
「美咲!工藤さんの作戦全部分かったの!?たったあの1言で!?」
「そうだよ、なる。前3人で囮になって5番のユキにボールまわして3ポイントだろ?」
「さすが美咲。よく分かってる」
「当たり前だろ?星蘭の頃からお前の作戦という名の無茶ぶりには慣れてるっての」
ハハハって笑う美咲を軽く殴る。あんたの方がヤバかったよ。私達全員を1人で振り回すんだから。
「ちょっとごめんね。あなたが工藤陽凪さんであってる?」
「はい。私が工藤陽凪ですが何か?」
「紹介が遅れてごめんね。女子バスケ部主将安藤夏月だよ。今日はいきなり来てもらってごめんね」
「いえ大丈夫です。私も暇してたので」
「それでさっきのもう1回説明してもらえないかな?できればみんなに聞かせたいんだけどいいかな?」
「はい別に大丈夫ですけど、私がさっき言ったのって中学バスケを参考にしてるので穴だらけですけどそれでも大丈夫ですか?」
「もちろん!さっきのはもう少しで私達も突破されてたからすごく驚いてるんだ」
それからもう1回さっきのを説明する。でもよくよく見れば1年生のところに私達の後輩ちゃんがいるじゃないか。それともちろん私達の同期も2人いる。それも私達に振り回された可哀そうな子が。
「よし説明おわったな!!で陽凪ここ見れば分かるよな!私達元星蘭中の主力がここに4人いる。そして」
「はぁ、そういうことね。1人足りないってこういう意味ね」
「おう!」
「でもいいの?なまりになまってる私が入っても」
「もちろん!このメンツでやるならあんたがいないとね」
「そうそう。やっぱり陽凪がいるとしっくりくるんだよね。別にいまのチームに不満なんて1つもないんだけど、なんか、ね?」
「奈緒、紫」
「そうですよ先輩。今も楽しいですけど、あの時やってたバスケも結構楽しかったんですから」
「こんの生意気な後輩め。これからバスケ部の先輩に怒られても知らないぞ?」
「その時はその時です!」
あーあ変わってないな。なんかこのメンツでいるとバスケが楽しいって思っちゃうよ。辛い記憶もあるけどね。
「よし!それじゃ陽凪軽くアップした後1年チームと、その後に2年チーム、3年チームとやるぞ!!」
「ちょ、ちょっと待って!私そこまで体力ないよ!?」
「大丈夫3分×3で終わらすから」
「それ絶対大丈夫じゃない!!」
「大丈夫大丈夫ー」
「さぁ陽凪やるわよ」
「久しぶりに陽凪の責任の元暴れるぞー」
「先輩、戻ってきてくれてありがとうございました」
もう、強引なんだから。
でも、それでも、そんな今が楽しいって思えてる自分がいるんだからそれで良い。
パチン!と自分の両頬を叩いて気合を入れる。
少ない時間を私達のために割いてくれてるんだから期待に応えないとね。
といっても体力が続く限りだけどね!!
「美咲、奈緒、紫、茉莉暗号覚えてる?」
「「「「もちろん」」」」
必死こいてみんなで考えて覚えて、定着させたもんね。私も全然忘れられなかったよ。
「じゃあ頑張りますか。4人ともよろしくね?そして今日この場を貸してくれたバスケ部の皆様ありがとうございました」
バスケ部の人達に向けて深々と礼をする。
.......................よし!やりますか!!!
ちなみに私、バスケは学校の授業でやった程度なので全てはイメージです。




