表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/121

しろがね





 深呼吸を一つ。

 私は足を踏み出した。





 薄暗い森深くにそれは現れた。

 現れたといより、あった。と言ったほうが正確だ。

 しろいがねいろの船だ。



 私は、あまり文学には興味がなく言葉がうまく出てこない。しかし、それは船というよりもドーム。まるで、大きな住居のようだ。

 コンサートでもできそうなくらいの大きさだ。


 白銀のおぼろげな光を放つ。

 まさに未確認飛行物体だった。






 コツコツと静かな廊下に足音だけが響く。

 おおよそ、人の力では不可能なくらいの繊細な作りである。


 



「お、おい。なんか喋ろよ。急におとなしくなるとこわいだろ」

 神室が呼び掛ける。

「さっきまで宇宙人なんていないと喚いていただろう」





 私の頭は怖いくらい冷えていた。


「ええ、さっきまではね。でも、こんなものを見せられたら信じるほかはない。これは、私達の科学技術ではいまだ到達できない。それなら、そんなものを作ったのは、地球外生命体。そうね、宇宙人くらいだわ」


 それなら、納得がいく。


「やっぱ。こわいよね俺達のこと」

 おずおずと祐希は訊ねる。



「こわくはないわ」

「私がこわいのは、ハルちゃんの平穏が脅かされることだけよ」





 廊下に三人分の足音が響く。

「協力してくれるということだな」

 神室が低い声を出す。


「もちろん。でもこれは好意ではないわ。そうそうに、もといた場所に帰ってもらうためよ。勘違いしないでね」

 りこは目を細めた。



「それでもいいさ」

 満足げに神室は初めて微笑んだ。





「あと、あなた達の中には誰が入っているの?もちろん二人だけってことはないでしょう。そうね。もしかしたら、神崎冬子さん。彼女も宇宙人じゃないのかしら?」


 彼らの目を見て思った。

 そうかやっぱりと。







 なぜだか凄く納得がいった。

 彼らは美しすぎるのだ。無機質過ぎるのだ。

 何かが私達とは違い過ぎるのだ。





 だから、兄が彼女を好きだと言っても私は何も思わなかった。兄の心情は汲んだ、でも嫉妬心など浮かばなかった。取られるとは思わなかった。



 彼女はあまりに美しい過ぎる。

 あまりに別々の世界にいるとさえ思った。





 まさに、人間と宇宙人など分かり合うことなどありえないのだから。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ