聞いてないわよ
「何をニヤニヤしているんだ」
神室が不審げにりこの顔を見る。
「べ、べつにぃ。なんでもないしぃ」
「そうか。なら、いいが」
納得したのかしないのか神室は丸太に座ったままマシュマロ棒を食べている。
「意外とうまいな」
「だろ。俺が火加減が調整したんだぜ」
ふふふんと祐貴は自慢する。
神室は華麗にスルーした。
「うっかり長いしてしまったな。そろそろ行くか」
「そ、そうだな」
そう言われて慌てて祐貴は、立ち上がる。
ポンポンとズボンの汚れを払う。
「それじゃあね」
「私は寝袋に入って、ポテトチップスとジュースを飲みながらごろごろしてるわ。また最終日になったら呼びに来てね」
気楽な感じで、りこはヒラヒラと手を振った。
「はっ?お前も行くんだぞ」
りこは目が点になる。
「はっ?何言ってるの。えっ、今?」
「そうだ、今。nowだ」
りこはちょっと混乱した。
「最終日って言ったよね」
「馬鹿め。人を騙すにはまず味方からだ」
「聞いてないわよ」
「よく考えろ。冬子様、いや、ゴフンッ。まぁ、最終日の計画終了後に再び宇宙船に忍びこむリスキーだ。もしかしたら我々の仲間に感づかれるかもしれない。だから裏の裏をよんだのだ。キャンプ初日になんて、誰が疲れてるに行くと思うか。そう、俺は裏の裏の裏まで計画を練ったのさ」
「はっ、ちょっとそんな強引な。てか、私はバスに揺られて疲れるのよ。カナちゃんは知ってたの?」
「いや、俺も今聞いたんだけど」
「馬鹿め。お前は冬子様、あっ、いや、ゴフンッ。の前でボロが出るから、直前まで黙っておいたのさ」
「あっ、そうか」
祐貴は流された。
「駄目よ、カナちゃん。しっかりして」
「でも、りこちゃん。どうせ行くだからすぐ終わらせたほうが楽じゃん」
「夏休みの宿題じゃないのよ。嫌よ、私は」
行くって何処によ。
もう真っ暗な森の中なのよ。
だって、宇宙船って妄想でしょ?
りこは混乱していた。
「カナちゃん、でもさ。本当は宇宙船なんか何処にもないよね」
「あるよ。政府に見つかってなければだけど」
「そっか……」
りこは混乱してきた。
「あっ、じゃあそろそろ私帰るね」
「まぁ、冗談はそのくらいにして行くぞ」
ガシィと片腕を無理やり組まされて、神室に連行されていいく。
「あっ、あたし。やっぱり」
「おい、祐貴も片方持て。急ごう」
「おっ、おう」
混乱した頭が少し冷めて、りこは思った。
あっ、これなんか見たことある。
大きい男達に両手を捕まれたエイリアンの姿が、りこの脳裏をよぎった。




