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異世界転生、11回目です。〜プロ勇者は今日も神様の手違いにため息をつく〜  作者: 凪塩 未来


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第22話:禁断の宇宙塩むすび、王都パニック――騎士団長、再び崩壊

こんにちは、小橋零です。

神界の秘宝「宇宙神代米」を使って試作した「究極の宇宙塩むすび」、その美味さは私自身がひれ伏すほどのものでした。しかし、こんなとんでもない代物をいつまでも厨房の奥に隠しておけるわけがありません。今日は、朝からあの近衛騎士団長が、またしても並外れた嗅覚でこの店の扉を叩くことになりました。第二章第22話、開幕です!

朝の鐘が王都の空に鳴り響いた直後、『おにぎり処・零』の木の扉が勢いよくガタッと開いた。

「お、お邪魔するぞ零殿……っ!」


そこに飛び込んできたのは、近衛騎士団長のガルドだった。今日の彼の銀の鎧はいつも以上にピカピカに磨き上げられており、その顔には「今日こそは何が何でも一番乗りを果たす」という異常なまでの執念が宿っている。その後ろには、毎度おなじみの宰相もヒタヒタと冷や汗をかきながら続いていた。


「おや、団長殿。今朝は一段と気合いが入ってるじゃないか」

カウンターの向こうで、零はいつも通り淡々と包丁を動かしながら声をかけた。

ガルドはフンスと荒い鼻息を吐きながらカウンターに手をつき、切実な目で訴えかけた。


「零殿! 頼む、今日の朝食はいつもの『特製・世界救済塩むすび』ではない、別の何か……私の魂を根底から揺さぶるような、とびきりの新メニューを頼む! 実は昨夜から、王都の上空に変な金色の光の柱が見え隠れしていてな、我が騎士団の魔力レーダーが『やばい美味い匂いがする』と狂いっぱなしなのだ!」


(魔力レーダーを狂わせるなよ……)と、零は心の中で盛大にツッコミを入れた。

しかし、ガルドの言う「金色の光の柱」とは、まぎれもなく今朝竈で炊き上げたばかりの「宇宙神代米」の余剰魔力にほかならなかった。


「ふむ……。実は、今朝ちょうど新メニューの試作が完了したところなんだが……お前、覚悟はいいか?」

零が意味深にニヤリと笑うと、ガルドと後ろに控えていた宰相は、ごくりと大きな喉を鳴らした。

「か、覚悟とは……? 我々は王国の最高治安維持と国家中枢だぞ。どんな手強い魔王軍の料理であれ、平らげてみせる!」


「魔王軍じゃねえよ。神界の秘宝を使った『宇宙神代米の極上塩むすび』だ。ひと口食ったら、次元の壁を越えた感動でしばらく立てなくなるかもしれないが……それでもいいなら出してやるよ」


零がゼクシードに目配せすると、元・次元の魔神は「かしこまりました」と、厳重に魔力封印された特製の木箱から、あの黄金色に輝く「宇宙塩むすび」をそっと取り出した。


カウンターの上にコトンと置かれたその一粒一粒は、まるで小さな星屑のように微かに発光し、調理場全体の空気を一瞬で神聖なものへと変えた。

「なっ……なんだ、この圧倒的な神気は……っ!」

ガルドが後ずさりそうになり、宰相は「ひっ……! 見ているだけで目が眩むぞい!」と目を覆った。


「ほら、冷めないうちに食いな」

零が促すと、ガルドは震える手でその塩むすびを持ち上げた。指先から伝わってくる温もりだけで、日々の鍛錬で凝り固まった筋肉のコリがスルスルとほぐれていくのが分かる。


ガルドは覚悟を決め、大きなお口でガブリとかじりついた。


瞬間――!


「――――っっっ!!!!!」


ガルドの全身が、文字通りビクンとピシャリと直立不動に固まった。

彼の背中から、まるで本物の黄金の翼が生えたかのような幻影がブワッと広がり、王都の店舗の天井を突き抜けそうな勢いの魔力が爆発した。


「ま、味覚の向こう側に……古代の星々が……見える……っ! 米の甘みが私の脳髄を駆け巡り、岩塩の塩気が全ての悩みとストレスを宇宙の彼方へと吹き飛ばしていく……! う、旨い……旨すぎるぞぉぉぉーーっ!!!」


ガルドは涙をボロボロと流しながら、カウンターをドンと叩き、その場に崩れ落ちた。

後ろで見ていた宰相も、おそるおそる残りの一個を口に入れるやいなや、「ほわぁぁぁーーっ!? 私の人生の走馬灯が宇宙神代米のなかに溶けていくぅーーっ!」と叫びながら、ガルドの横で一緒にひっくり返ってしまった。


店内にいた他の客たちは、そのあまりの衝撃的な悶絶っぷりにポカンと口を開けて固まっていた。

看板娘のルルは「あ……あんなに美味しく食べてくれて嬉しいですけど、騎士団長さんと宰相さんが完全に昇天しちゃってますよ、零さん……!」と冷や汗を流している。


零は新しく淹れた麦茶をすすりながら、満足そうに腕を組んだ。

「まあ、神界の秘宝だからな。人間の器じゃ少し刺激が強すぎたか。だが、これでまた王都の治安は『宇宙の美味さ』によって完璧に守られたってわけだ」


床の上で、黄金の余韻に浸りながら幸せそうに気絶する二人の国家最高幹部を見下ろしながら、零はフッと不敵に笑うのだった。

第二章の王都は、今日も最高に美味しく、そしてシュールに平和を謳歌していく。

第22話をお読みいただきありがとうございます!

宇宙塩むすびを食べた騎士団長と宰相が、あまりの美味しさに文字通り昇天(気絶)してしまうという爆笑の悶絶回でした。この「禁断のおにぎり」、次に狙うのは一体誰なのか……? 次回もお楽しみに!

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