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巨大なスライムは、威圧する大きさ。
道を塞ぐスライムは、堂々と迫ってきた。
あたしは迷うこと無く矢を選んで、弓を構えた。
そのまま、矢を放ったのは炎の矢。
だけど巨大スライムが、あたしの矢に対して口のような場所から液体を飛ばした。
矢が発現した炎を、そのまま液体が溶かして……無効化させてくるスライム。
そのスライムは、あたしに液体を飛ばしてきた。
スライムの行動にあたしは、反応が遅れていた。
「バカっ、ぼさっとするんじゃ無いわよ!」
それに気づいたレッカが、すぐさま翼から羽根を1枚取って息を吹きかけて投げつけた。
出てきた氷の壁が、あたしに飛んでくる液体を塞いだ。
「あ、ありがと」素直に感謝を伝えた。
「当然でしょ、戦士を守るのは」
レッカは、すぐさま細身の剣を構えた。
険しい顔で、冷気を纏わせた剣を握っていた。
「大分負傷者も出たし……まともに戦える戦士も少ないから」
「あたしの炎の矢は……効かない」
「いいえ、あなたの攻撃を警戒しているようね。
氷の攻撃には、あの溶解液を使ってこない」
スライムの技の一つが、『溶解液』。相手を溶かす液は、生臭くキツイ匂いだ。
スライムは、それでもゆっくりと迫ってきた。
大きなスライムは、あたしとレッカとの距離を詰めてきた。
「レッカが最初に氷の筒を放つから、あなたは炎の矢を放ちなさい」
「了解」あたしは再び、炎の矢を装填した。
大きなターゲットに、弓を構えた。
同時に、レッカがレイピアの剣先で円を描く。
冷気を纏ったレイピアから、冷気の筒が発生した。
反応したあたしは、矢を放った。
やはり、巨大スライムはあたしの矢を見つけるなり溶解液を放ってきた。
放たれた溶解液だけど、冷気の筒が防いでいく。
冷気の筒が溶解液を凍らせる最中、炎の矢が巨大スライムの目の前で発現した。
大きな炎が、波のように巨大スライムを包み込んだ。
そのまま、大きな炎の波が……巨大スライムを焼いていく。
威力はそれでも、まだまだ足りない。
巨大スライムは、炎を耐えようと体を伸ばして火を消そうとした。
「甘いよ!」奥から、声が聞こえた。
それはパノムの声だ。
パノムが投げたのは、赤い熱を纏った白い羽根。
羽根が、炎に近づくとさらにスライムを包む炎が大きくなって……そのままスライムは炎の中で動かなくなった。
「やったわね!」
「え、うん」ハイタッチを求めるレッカに、あたしは冷めた様子でハイタッチをした。
それでも、少しだけあたしは嬉しくなれた。
「巨大スライムも、無事に倒したし……」
「先を急ごう!」
パノムに促されて、あたし達は先を急ぐことにした。
少し後ろでは、ガルアがアイと一緒にあたし達の戦いぶりを見ていた。
「レステが、明るくなって良かった」
「ガルアさんも、ちゃんと働いてください」
「俺は……」
「スライムがいます。たくさん見えます」
アイが、前を指さすと通路の奥から小さなスライムの群れが大量に現れていた。
「じゃあ、今度は俺が働くか」
ガルアは、拳を鳴らしながら前に出て行った。




