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天井からトラックが降ってきたので、100円ショップスキルで異世界を生き延びます  作者: 月神世一


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EP 47

絶体絶命? 闇を祓う『100均の光』

吹き飛んだ王宮の瓦礫の上で、魔神王バゴールが放つ漆黒の瘴気が、周囲の空間をドロドロに歪ませていた。

「くたばれ! 化け物!!」

僕は迷わず、最大火力の攻撃を選択した。

相棒の『雷霆』を限界まで引き絞り、つがえたのは、ベヒーモスをも木っ端微塵にした僕の最強の切り札――『必殺の矢(特大)』だ。

シュッ!!

矢は空気を焼き焦がしながら、一直線に魔神王の心臓へと向かった。

着弾すれば、王宮の跡地ごと吹き飛ぶほどの爆発が起きるはずだった。

だが。

「ヌルい……」

魔神王は避ける素振りすら見せなかった。

彼の前に展開された漆黒のオーラが、まるで泥沼のように渦巻く。

必殺の矢はその闇に触れた瞬間、ジュワッ……という音と共に、爆発すら起こせずに飲み込まれ、完全に消滅してしまった。

「なっ!?」

「太郎様! 魔法も効きませんわ!」

サリーが放った『極大火球エクスプロージョン』も、ライザが放った『真空の剣閃』も、全てが魔神王を覆う「絶対的な闇のオーラ」に触れた途端、音もなく吸い込まれて消えていく。

「物理攻撃も、魔法のエネルギーも、全てを吸収する『闇の鎧』……! 厄介すぎます!」

ライザが忌々しそうに舌打ちした。

「無駄だ、無駄だぁぁ! 余の闇は全てを喰らう! 貴様らの攻撃など、赤子の石投げにも劣るわ!」

魔神王が嘲笑し、巨大な腕を振り上げる。

「死ね! 英雄気取りの愚か者共よ!」

ドオォォォォン!!

手のひらから放たれたのは、圧縮された闇の津波だった。

回避不能な広範囲攻撃が、僕たちを飲み込もうと迫り来る。

「させませんわ! 『多重絶対障壁』!!」

サリーが瞬時に何枚もの魔法の盾を展開するが、闇の津波はそれらをガラスのようにパリン、パリンと容易く粉砕し、僕たちの体を後方へと吹き飛ばした。

「ぐぅぅッ!!」

「きゃあああッ!」

なんとか体勢を立て直したが、全員の息が上がっている。

物理が駄目、魔法も駄目、爆発も吸収される。まさに無敵の防御壁だ。

「絶望したか? 虫ケラ共。……これこそが神の力だ。王都ごと、暗黒の底に沈めてくれる!」

魔神王の体からさらに濃密な瘴気が噴き出し、空を覆っていた太陽の光すら遮断していく。

辺りは真夜中のような、完全な漆黒の闇に包まれた。

「太郎様……どうしましょう……。打つ手が……」

サリーが震える声で僕の背中に寄り添う。

「ふははは! 恐怖に震えながら死ぬが良い!」

魔神王の勝利を確信した高笑いが、闇の中に響き渡る。

しかし。

「……ぷっ。あはははは!」

僕の口から出たのは、絶望の悲鳴ではなく、思わず吹き出してしまうような明るい笑い声だった。

「た、太郎様?」

ライザが不思議そうに僕の顔を覗き込む。

「いや、ごめん。だってさ……『闇の鎧』って言うからどんな凄いチートかと思ったら。ただの『光の届かない影』じゃないか」

「なに……?」

魔神王の高笑いがピタリと止まった。

「物理も魔法も吸収するなら、物理でも魔法でもないもので攻撃すればいいだけだ。……100円ショップの『防災グッズ』の優秀さを、舐めない方がいいよ」

僕はニヤリと笑い、空中にスキルウィンドウを展開した。

カテゴリは『防災・アウトドア用品』。

選択したアイテムは――『超強力・防災用LEDランタン(魔力充填・USB充電両対応)』。

「一個100ポイント……よし、奮発して1000個だ!!」

ピピッ! という電子音と共に、僕の頭上の空間に、1000個の白いプラスチック製のランタンがズラリと出現した。

「な、なんだそれは!? そのようなガラクタを出して何になる!」

魔神王が不審そうに唸る。

「ガラクタじゃないよ。これはね、現代科学が生み出した『光の暴力』だ!」

僕は1000個のランタンのスイッチを、一斉に『MAX(超高輝度モード)』に入れた。

カチッ。

ピッカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!

その瞬間、王宮跡地に「太陽」が落ちてきたかのような、暴力的なまでの閃光が爆発した。

1000個のLEDから放たれる、数百万ルーメンという桁違いの光量。

それは聖なる光でも魔法の光でもない。ただただ純粋で、容赦のない「人工的な光」だ。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

魔神王が目を覆い、絶叫を上げた。

圧倒的なルクス(光の照度)が、全方位から魔神王を照らし出す。

光が強すぎれば、影(闇)は存在できない。

「な、なんだこの光はぁぁぁ!? ぐおおお、余の闇が……無敵の鎧が蒸発していくぅぅ!?」

ジュワワワワワッ!!

魔神王を覆っていた漆黒の瘴気が、強烈なLEDの光を浴びて、まるで熱した鉄板に落ちた水滴のように、悲鳴を上げながら強制的に蒸発させられていく。

「すごい……! 魔法の光じゃないのに、闇が完全に消し飛んでいますわ!」

サリーが手で眩しそうに目を覆いながら驚嘆する。

「闇を祓うのに、爆発なんていらなかったのですね! 流石は太郎様! 常識外れです!」

ライザも目を輝かせた。

数秒後。

1000個のLEDランタンの猛烈な光によって、魔神王の「絶対的な闇のオーラ」はチリ一つ残さず完全に消滅し、黒い鱗に覆われた本体が丸裸で照らし出された。

「あ、あぁぁ……余の、余の無敵の力がぁ……!! 目が、目がぁぁぁ!!」

魔神王は両手で目を覆いながら、情けなく後ずさりした。

完全に隙だらけだ。

「さぁ、無敵の鎧は引っぺがしたぞ! みんな、反撃の開始だ!!」

「「はいっ!!」」

僕の号令と共に、ランタンの光を背に受けたサリーとライザが、丸腰となった魔神王へと一気に跳躍した。

絶望の闇は、100円のLEDによって完全に打ち払われたのだった。

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