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男装令嬢の恋と受胎 ~国一番の顔面偏差値を持つ隠れ天敵な超絶美形銃騎士に溺愛されて幸せです~  作者: 鈴田在可
受胎編

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32 永遠の愛

R15注意

 フィオナはまた寝ていた。


 数日間別荘で寝ていたために筋力が落ちていて、騒動後は――シド死亡後に獣人姫ヴィクトリアが魔力暴走をしかけたがそれも解決した後――どっと疲れを感じて、ジュリアスと共に銃騎士隊本部の執務室に戻ると、令嬢姿のままで部屋のソファに横になって眠ってしまった。

 アークに起こされた直後に動けたのは、「ジュリアスが死んじゃう!」と必死だったので動けただけだった。


 すうすうと寝ていたところに、ぎゅっと誰かに抱きしめられる感触がしたので、フィオナはより安心し、睡眠を貪った。


 フィオナがパチッと目を覚ました時は周囲は闇で、『あれ、もう夜?』と思ったが、全く一切何も見えないのもおかしいなと思っていると、隣のぬくもりが動いた。


「フィー……」


「ジュリアス、真っ暗よ。何も見えない」


「そうだろうね。今、俺が作った暗黒空間にフィーを閉じ込めているから」


「え? それはどう――」


 疑問を口にする前にジュリアスに唇を塞がれて、フィオナは思考がちょっとトロンとしてきた。


「私はあなたの正体を誰にも言わないし、絶対に別れないし、ずっと一緒にいるよ?」


 フィオナは、ジュリアスが自身の正体が獣人であることの口止めのために、「閉じ込め」をしているのかと思ってそう言ってみた。


「それは、うん…… わかってる。フィーが『俺の正体が獣人でも愛してる』って父さんに言っている場面を、セシが戦闘中に見せてくれたから。

 フィーの愛がなかったら、俺はシドには勝てなかったと思う」


 言いながら、ジュリアスが自分の身体をフィオナに押し付けて来た。

 ジュリアスは魔力切れを起こすほどのシドとの戦闘の後、本部に戻って来てからテキパキテキパキ仕事をしていて、多分疲労が溜まっている様子だった。疲れていると男はしたくなるようだと知っているフィオナは、自分からジュリアスの首に腕を回して抱き着き、「抱いて」と言ってキスをした。


「でも、真っ暗なのはちょっとね。あなたが見えない」

 

 そう言うと、ジュリアスが真っ暗な空間に魔法で、ポールに提げられたランタンを何個か設置してくれた。


 明かりがついてわかったが、ここはやはり執務室ではなくて、自分たちのいるベッドとランタン以外には何もない空間だった。フィオナはソファで寝ていたはずだが、いつの間にかこの場所に移されていたようだ。


「ここは重力をちょっと歪めて作り出した亜空間みたいなもので、処刑所広場に出していた闇空間とも少し違う。出入りは俺が制限しているから、誰か入ってきて邪魔されることはないし、音も外に漏れない」


 ジュリアスは「疲れている」と言って、魔力節約のために避妊魔法ではなく、いつの間にかそばに出現していた避妊具を使っていた。

 いつもよりもゆっくりとした触れ方だったが、フィオナはあっけなくジュリアスに陥落した。


「フィー、一つ提案がある」


 突然ジュリアスが切り出した。


「『シドを討つ』というフィーの目標が叶ったわけだから、銃騎士を辞めて、俺と結婚してほしい。

 もし子供ができても、獣人であることは魔法で隠すし、フィーと子供のことは俺が必ず守り切る」


 獣人の子供は相手が人間でも必ず獣人になる。すべてを隠して生きていくことはとてつもない苦労を伴うかもしれないが、ジュリアス(この人)がいれば「絶対に大丈夫」という、不思議な安心感があった。


「……そうね、『フィル兄様』には随分、働かせてしまったもの」


「『フィリップ・キャンベル専属副官』は、今回の戦いで殉職したことにしよう。最大限の名誉と共に」


 フィオナたちはフィリップの死をずっと隠してきた。兄ならばたぶん「それでいい、よくやった」と言いそうだが、きちんとした形で次兄を弔いたい気持ちはずっとあった。


(フィル兄様、ようやく、終われる…… ずっと、ありがとうございました……)


 フィオナは兄を思って涙を浮かべながら、ジュリアスの求婚(プロポーズ)を受け入れた。


 ジュリアスがフィオナの涙を拭って、抱きしめてくれた。









 男装できる魔法の指輪をジュリアスに返却したフィオナが、結婚の準備を進めつつ、妊娠に気付くのはしばらくしてから。


 フィオナは「避妊具は失敗することもある」と思っていたため、ジュリアスに意図的に孕まされたことを、生涯知らされなかった。


 フィオナは養成学校時代、ジュリアスの弟ノエルから『気を付けてくださいね。ジュリ兄さんは、目的のためには手段を選ばない人ですから』という忠告をされたことがあったが、彼女自身の性格も相まって、ジュリアスから辛い思いをさせられたと感じたのは、交際中の「なぜ抱いてくれないの!」を除いては、ほぼ皆無だった。


 結婚後のジュリアスはフィオナを悲しませないように、先手を打ちまくる男になった。フィオナが裏側を知らないままで解決した問題は多い。


 ジュリアスは、他には厳しくても、妻フィオナだけは特別中の特別な存在として接し、深く愛した。




 彼は極めた光魔法による『魂魄繋ぎの魔法』――何度転生しても魂が互いを求めて必ず引き合うようにできる禁断魔法――まで使い、何度生まれ変わっても、永遠に彼女を愛し続けた。






【終】







完結です。あとがきを活動報告に上げています。期間限定で11/25までマシュマロ再開しましたので、ご感想、改善点などありましたらよろしくお願いします。

https://marshmallow-qa.com/suzutaarukafcmd


お読みくださりありがとうございました。


※2025/11/18追記:マシュマロがエラーで開けたり開けなかったりなので、感想欄を11/25までログイン制限なしにしました。


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