あとがき
本作をお読み下さいまして、誠にありがとうございます。
作者、蒼旗悠です。
このあとがきをもって、本作「ロボコンガールズ」は完結となります。四十万文字に至ろうとするほど長編となってしまった本作を、見捨てることもなくここまで読み進めて下さった皆様には、感謝の一言に尽きます。冗長だったと言われはしないか、内心ヒヤヒヤしながらこのあとがきを執筆しています。
ちなみに今は四月十七日、作者の誕生日の前日です。塾に向かう電車の車内で、この文章を綴っています。
作者の執筆は、常にこのJR中央線と共にありました。
本作を初めて企画立案──つまりストーリーを考案したのは、中学三年の時です。すなわち、三年前に当たります。
中学二年で文芸部に入部し、先輩たちの薫陶を受けながらも拙い筆を執り、この頃の作者は初めて他人に見せる作品を書き始めていました。行き帰りの電車の車内でガラケーのキーを打ち続ける、そんな執筆スタイルは当時も今も変わりません。
最初に思い付いたのは、男子校である我が母校を女子校として描く日常系小説でした。しかしダラダラと書き続けられるほど、作者は日常ネタを持ち合わせてはいません。思案していた頃、とある小説と出会います。それが原田マハ氏著『ランウェイ☆ビート』でした。
詳しくは述べませんが、作者はこの小説に大きな影響を受けました。母校の廃校の危機に立ち上がったクラスが、謎の転校生を中心にファッションショーを開く──ごく簡単に前半部を抜き出せば、そんなストーリーの物語です。映画化された際のFUNKY MONKEY BABYSによる同名の主題歌も含め、それが「ロボコンガールズ」に多大な影響を与えている事は、聡明な読者様にはお分かりの事と思います。
無論、パクる気など毛頭ありませんでした。どうしたらオリジナルにできるかと悩んだ末に選んだのが、ロボットコンテストを舞台にするという発想だったのです。
本作「ロボコンガールズ」におけるメインテーマは、主人公・玉川悠香の成長です。
冒頭の頃の悠香は、物書きになる前の作者自身の姿と重なります。当時はまだ、自分の好きな事なんて分かりませんでした。ただそこにあったのは、「ロボットのような存在にはなりたくない」という漠然とした危機感だけだったのです。もっとも悠香と違い、作者は今になってもあれほどの成長は遂げられていない訳ですが……。彼女が羨ましい←
そしてもうひとつ、悠香には「リーダー」のあるべき姿の模索という役割も持たせてみました。今日に至るまでの間、作者は様々なリーダーの役割を経験してきたのですが、未だにリーダーというのは斯くあるべき、という理想像を見付けられずにいます。社会に出る前に、せめて何かしらの答えを掴みたい。──そんな思いが、ありました。
その他にも色々と、本来ならばそれだけに焦点を当てて作品にすべきテーマが詰まっています。作者の悪い癖が今度も発動してしまいました、こういう事するからどれも中途半端になるのに……。
なお、日本の教育論に関しても少しばかり足を突っ込んでいる本作ですが、識者の方からすれば至らぬ中身であろう事は承知しております。色々と本を読んで勉強はしたつもりなのですが、なにぶん時間がなかったので未消化の部分が多くなってしまいまして……。
ただ、本作中で高梁や悠香の口にしていることが、おおむね作者自身の見解であるという事は、付記しておきたいと思います。
と、こんな感じで色々詰め込んだ結果が、この文字数なのです。
これまで字数最高記録だったなろう処女作「DistancEーKANA」の、実に二倍。同じシリーズ内で最多字数を誇っていた「テガミ」との比較に至っては、四倍に達します。我ながら、よく飽きもせず書き上げたものです。
この作品をもって、作者は休眠状態に突入します。そして大学生になれた暁には、きっとずっと今より忙しくなって執筆など困難になるのでしょう。たくさんの時間を費やせる最後の機会に、この「ロボコンガールズ」を書くことができて幸せでした。
出来に不満がないかと問われれば、あるんですけどね……。言い訳めいているかもしれませんが、評価が低いのも人気がないのも、執筆段階から既に覚悟の上です。何せ本作は、作者の自己満足のための小説みたいなものですから。
本作の舞台として使用した学校は、後の他の作品でもメインの舞台となる予定です。使用した設定は多作でも活かす予定があります。
本作「ロボコンガールズ」そのものも、続編の執筆を考えています。
その時が来ましたら、ぜひ今一度、ここに足を運んでいただけると幸いです。
最後になりましたが。
本作の電子工学的描写に関して大変多くの知識と知恵を授けてくださり、個別の相談にも乗ってくださったACUA STATION様。
本文の全面推敲に協力してくださった、卯侑様。
本文の世界史描写に関して助言を頂きました、長月林様。
本作に可愛らしいイメージイラストを提供して下さった、ビタミンA様。
本作の出来に関して感想を下さった、親愛なる作者の母Y氏、弟K氏、祖父T氏。
秋葉原での実地調査に協力して下さった、友人A君。
本作公開前から「楽しみ」と言ってくださっていた、なろう相互ユーザーの皆様。
そして、本作をお読み下さった読者の皆々様。
本当にありがとうございました。
また別の機会にお会いできることを、切に願って。
2015/08/15
蒼旗悠