表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロボコンガールズ  作者: 蒼原悠
Ⅵ章 ──我、十有四にして惑はず
109/111

【おまけ②】小ネタ解説

作者・蒼旗悠が作中にぶちまけた小ネタの解説を行います!←




【名称について】


 作者は毎度毎度、意味もなく凝った名前の付け方をする事で有名(?)なのですが、本作「ロボコンガールズ」にも山のように隠れた設定を仕込んでしまいました。

 その一つ一つを、以下に綴っていきたいと思います!


   ① キャラクター名前


 本作でのキャラクターの名前は、苗字に日本の一級河川の名称を使用しています。北上や長良、隅田などは特に有名な例ではないでしょうか。

 なお「浅野」は、東京多摩を流れる浅川と野川という二つの河川名の融合で出来ています。顧問の浅野を含め、ロボット研究会『山手女子フェニックス』のメンバーの苗字だけは関東の河川から選出されており、他は全員が関東以外です。……と言い切りたいのですが、校長の小名木だけは諸事情から関東より選出しています。

 浅野たちと作中で対立する教師「信濃」と「千曲」は、千曲川が信濃川の上流部の名称である事から採用しました。また、彼らに賛同する教師「大河津」は、信濃川の途中から日本海に向かって貫通する大河津分水路に由来します。当初は瀬田川・宇治川・淀川の三点セットを使用する事も考えていました。

 唯一の英語名である麗の父「Hudson」は、ロボット工学三原則などで知られる作家アイザック・アシモフがニューヨーク住まいであった事から、市街を流れるハドソン川の名を取っています。


 名前については大半のキャラクターを適当に決めましたが←、特筆事項がある者が数人います。

 主人公の悠香は、あらゆる意味で作者がモデルのキャラクターです。「悠」の字は作者の実名の候補の一つとして挙げられていたことがあり、読みの「はるか」は作者の名前の一部に使用されています。ユーザー名を「蒼旗悠」としたのは、ユーザー名決定のずっと前から本作を書いていたせいでもありました。

 麗は現在「れい」と読ませていますが、当初案では「うらら」というふりがなを振っていました。「れい」の方がどことなくハーフらしいという理由で変更した次第です。なお余談ですが、執筆にあたって作者が参考も兼ねて読んでいたロボコン漫画「ロボットボーイズ」には、「月岡(うらら)」という人物が登場します。本作の陽子のイメージが、ほぼ月岡麗と一致しています。

 山国俊成の名前は、特に意味もなく歴史上の偉人・藤原俊成から取っています。

 最終シーンに登場するロボットアニメ「蒼空のファントム」は、著名なロボットアニメ「蒼穹のファフナー」に由来。早月カンナ、カズキ、ソーシ、マヤの名前は、同作の登場人物に準拠しています。


   ② 学校名


 本作の舞台「私立山手女子中学高等学校」の世界観は、現実に存在する幾つかの学校を踏み台に作っています。しかしながら名称についてはあえて捻るのをやめ、新宿以西の台地上を指す「山手」を学校名としました。

一方のライバル「私立閏井中学高等学校」は、関東男子御三家の一つとしても名高い名門高校「開成」を元にしました。門構えの中に「王」の字を入れ、圧倒的な存在である事を示唆──したつもりです。ちなみに「(うるう)」を「(うるおう)」と書き換えると、別の意味の単語が現れたりします。

 その他の学校名については、如何にもありそうな感じのモノを集めてみました。工業高校や実業高校などロボット分野で強そうな学校が、『JRC2015』最終局面まで残っていますね。学校名そのものは合計で30ほど候補を考えてありました。



   ③チームの名称

 

 フェニックスとフィジックスについては、既に作中で述べられています。

 『Armada閏井』のArmadaは、スペインの有名な「無敵艦隊」の名称アルマダ・インベンシブレより取りました。強者らしい名前を探っていたら、この名前に行き着きました←

 群馬学苑上野高校チーム『psychoーdon』は、同校が精神面の鍛練を重視する校風である事に由来します。donとは「~殿」などの意味であり、語感は上野の「西郷どん」に似せてあります。

 横須賀実業高校チーム『YKSK-Perry』のYKSKは、ただ単に「ヨコスカ」の頭文字を取っただけです← Perryは横須賀最寄りの浦賀に江戸時代後期に来航した、黒船艦隊の提督マシュー・カルブレイス・ペリーが元ネタです。

 それ以外のチームについては、「強そうな」「それっぽそうな」「関連がありそうな」という基準でチーム名を決めています。なお、設定書き起こし時点でチーム名候補は計22もありました。学校数より少ないのです←


   ④ ロボットの名称


 各ロボットの名前にも、由来があります。

 【DreamLifter】は実在する大型輸送機の名称です。機体後部の巨大な口から旅客機部品などを出し入れして空輸するジェット機の名前を冠し、勝利の夢を与える存在というイメージを持たせました。ちなみに執筆中は、略称「DL」に置き換えて書いていました。

 【AIM】は当初案では「スーパーエイムカーゴ」という名称でした。JR貨物と佐川急便の共同開発で生まれた貨物列車スーパーレールカーゴに由来するもので、カーゴの語が入る事で輸送ロボット感を醸し出せると思ったのですが……やはり長すぎますね(汗)。そのため、執筆中の略称は「SA」です。

 【Draque】は亜衣が作中で言及した通り、スペインの無敵艦隊を迎撃したイギリス海軍の副司令官フランシス・ドレークに拠るものです。執筆中の略称は、「DR」でした。

 『Armada閏井』の【BREAK】は「常識を打ち破る」という閏井ロボットの方針から、【BABEL】はどこよりも高い塔を築くという元優勝チーム故の矜持から、それぞれ決定した名前です。

 『東高軍』の【震電改】は、戦時中に日本軍が開発した高性能戦闘機に由来し、攻撃性の高さを窺わせるものになっています。

 『梅宮花魁之舞』の【ApplyCot】は、「梅」の英語名Japanese apricotを(もじ)ったものです。直訳すると「熱中の揺りかご」となるので、輸送ロボットが連想されるかなと(無理がある……)。

 『船工ビクター』の【海運丸】は、船橋市が港湾都市である事から輸送船をイメージして名付けました。

 『YKSK-Perry』の【サスケハナ】【ポーハタン】【フィルモア】はそれぞれ順に、一度目/二度目の黒船艦隊来航時の旗艦、当時の米国大統領ミラード・フィルモアから取った名前です。




【舞台あれこれ】


 本作登場の舞台を解説します。これで聖地巡りも出来ちゃいますよ!(需要ない)


 私立山手女子中学高等学校の校舎は、東京都新宿区の北西の隅、都営大江戸線落合南長崎駅のやや南のエリアを想定しています。このエリアは山の手と下の町の境目であり、崖のような旧坂が各所にあります。学校名が「山手」である事から、日当たりの良い丘の上に学校を配置しようと考えたのが現在の場所の由来です。もし南門があったなら、校地の南に少し下った所にある西武鉄道中井駅も利用客が増えるかもしれません(笑)

 下の①の写真は、作中で悠香が何度も訪れていたJR荻窪駅西口通路のものです。鉄道と夕日のコントラストを演出に使うために選んだもので、これ以外の候補には中野や三鷹の跨線人道橋、荻窪駅東側や国分寺の高架橋などがありました。

同様に②の写真は、作中で悠香と北上が対談した中野駅前の公園です。北上が言及していましたが、この写真のすぐ隣には「進撃の■人」にでも登場しそうな巨大壁状ビル、「中野セントラルパークサウス」が建っています。

 秋葉原の老舗電気製品メーカー『TSUKUBA』の元ネタは、秋葉原に数店舗を構える『TSUKUMO』です。作者は執筆にあたってロケに出向いており、作中の悠香同様に人にぶつかりました(おい)。




【こんなところに元ネタ】


 作中に登場した様々なモノにも、元ネタが存在します。

 つまりそれだけ作者に想像力がないという事です。実に残念です←


 作中で悠香たちが制作したロボットは、全部で五台でした。うち、製作キットを使用して作られたロボットが二台です。

 ライントレーサーロボットのキットは、過去に実際に作者が製作した事があります。また、その際作者はキットを前述の『TSUKUMO』にて購入しています。完成はしたのですが、微妙に上手く走らなくて悲しい思いをしたのを覚えています……。

 お値段の張った割に事故で炎上してしまった多目的人型ロボットは、作者の家族が製作に挑戦していたものです。雑誌付録として毎回ちまちまと付随してくる部品を集め、説明に従って順にロボットを組み立てるというもので、手に負えなくなったという知り合いが譲ってくれたものでした。未だに完成を見ていませんが(笑)、雑誌の方は豊富な知識や見聞を作者に与えてくれました。


 その他、各種プロジェクトにも元ネタが。

 日米合同で進められている【HOPE】計画は、同名で実在した日本初の宇宙往還機開発計画に基づいています。現在は破綻し別の計画に吸収されてしまい、おそらく今後もう復活することはないでしょう……。

 汎用ロボット開発計画【HeadWeigh】は、大気のある火星などでの運用が可能なマルチコプターをJAXAが開発中との情報に肉付けをしたもので、火星探査ロボットは既に実用化がなされています。火星には大気があるので、だったらドローンを合成しちゃえばいいんじゃない? といった思想のもとに誕生したロボットでした。ちなみに作中では理化学研究所が研究の先頭に位置していますが、理研は現実においても㈱東洋ゴムなどと共同でロボット開発を行っています。

 高性能新型電池『複合昇圧電池』は作者の創作ですが、その技術の踏み台となった『量子電池』は2013年にベンチャー企業二社が合同で発表した現実の技術です。ただし作中と違い、現実世界では量産体制に入っておらず、またその発電システムについても疑問の声が上がっているとか。控えめに太陽光発電を使おうか、いっそ思いきりフィクション的に超小型核融合発電にしようか、などと当初は悩んだものでした←


 なお、この項目の執筆に当たり、悠香たちが作中で製作した三台のロボットの総製作費用を算出してみようかと思ったのですが、部品点数が絶望的に多い上に電池の費用などが全く不明であり、一時間悩んだ末に諦めました……。

 ただ、冬樹の担当した【ドレーク】上部構造の経費が全く掛かっていなかったとしても、恐らく十万円は下っていないだろうと思われます。作中で悠香は友弥にお金を借りていますが、果たして彼女は返せたのでしょうか。心配ですね(苦笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ