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或る白竜と聖剣にて世界は踊る  作者: 74(ナシ)
第一章
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第1話 白竜の目覚め

洞窟の側で我は昼寝をしている。

爽やかな風が吹き、葉っぱがゆらゆらと揺れている。

鳥が背中に降りて来て、嘴で体をつつきはじめた。


身じろぐと、鳥は空へ飛び去っていった。


目を開けて、大きな欠伸をした。

湖に行き、顔を水に付けて顔をスッキリさせる。

太陽の光が当たり、銀色の鱗が艶々としている。


翼を広げ、空へと飛び立つ。

速度を上げて、目的の場所に降り立つと先客がいた。

そこにいたのは軍服を着ており、武装している雑魚(人間)だった。


怯え切っており、統率が乱れている。

全く、警戒心の欠片も無いな。

さて、何故奴らがこんな所にいるのか...。


『おい』


「っ!?な、なんだコイツ!」


「まだもう1匹隠れていたのか...!?ぜ、全員撤退しろ!早くし—」


煩いので地面に敷いた拘束魔法を網状にして上から引っ張るようにしてその場にいた兵士を全員捕まえた。

身ぐるみを剥がして全員に眠る(ドルミーレ)魔法を掛けて殺さずに無力化した。

むやみやたらと殺したら数が減ってしまう。


上を見上げて全体を見つめる。


この結界の中には原初の竜が封じ込められている。

大きさは400m以上あり、今は深い眠りについていた。

封印結界は思念も魔力も遮断されているのでこちらからの声は全く聞こえない。


エルフ達に解析した結果非常に難解なものが組み込まれていた。

解除には700年以上かかるらしいとの事、人間の癖によくこんなもの作り出せたな。

この竜を封じた人類は賞賛に値するが、我は起こさなければいけない。


この結界を解くには聖女の剣が必要だが、皆目見当もつかん。

だが師匠にはそれを探して来て欲しいと頼まれている。

一度洞窟に戻るとしよう。


回収した甲冑や武器を見つめ、何か利用できないか考える。

我が出来るのは狩猟や魔法、あとは戦闘だけだ。

うむ、さっぱり分からん。


人間はこんな棒切れで強気になれるな。


さて、そろそろ行くか、小さくなる(ミヌエレ)魔法を使い、体を小さくする。

そうして我は街に向かって空に飛び立つ。

魔力も完全に消したので誰も気づかない。


ここから南西に向かうとパライオンストリートという国があるらしい。

街の反対に降りて様子を伺う。

既に透明(ペルルキドゥス)魔法と魔力制御魔法を使い、街全体に探知魔法を掛けて街の全貌を見る。


高い壁に囲われており、街の中心部には立派な城とそれを支えている街もたくさんあった。対人結界は貼っているが同族(竜種用侵入阻害結界)が入れない結界は貼っていなかった。

その中には数多くの魔法使い、剣士達が在籍している冒険者ギルドもあるが、まぁ、別に冒険者になりたいとは思わないし、眼中に無い。


領地の中心部に降り立つ。

舗装された石畳みの地面を歩き、目的の場所に辿り着いた。

両開きの扉に歩み寄り、ドアノブに手を伸ばすが届かない。


…チッ、サイズ調整を間違えた。


仕方ないので扉を前蹴りで破壊した。

内部に入ると木の香りが鼻の奥を通る。

見渡す辺り一面本がぎっしり詰め込んでいた。


全部読むのは骨が折れるな...重要な所から調べるか。


――読み終える頃には3mまで積み上がっていた。

扉を開け、その場を後にした。

空はオレンジ色になり、夕焼けになっていた。


元の大きさに戻ってから周りを見渡す。

中から鳴き声が聞こえ数匹のゴブリンが飛び出して来た。

洞穴を見つけ地面に降下する。


我を見つめ怖気づくこともなく、ゆっくりと近づいていく。

ナメているのだろう、ちょうどいい魔法の実験台にするか。

最初は咆哮で威嚇し、横にあった木を尻尾で薙ぎ倒す。


吹き飛ばされた木で三匹が潰される中、一匹が飛び上がって回避した。

攻撃魔法で一匹撃破し、そして背後にいるゴブリンが槍を投げ飛ばすが防御魔法で弾く。

こういう訓練を受けてを受けておいて正解だった。


洞穴の中にはまだ沢山のゴブリン達が多くいた。

竜巻を起こし、巣ごと持ち上げる。

宙に浮かぶ奴らを炎魔法で焼き尽くす。


いい気味だ!楽しくなって来たので破壊しよう!

探知魔法を使い、逃げているゴブリンを発見して、即座に火球を飛ばした。

次は氷属性を使い、鋭く尖った氷塊を散開させて飛ばす。


半径30mに広げて巣を探す。

その間に奴らを火球と氷塊で殲滅していた。

一つ目、二つ目の洞穴を跡形も無く消していく。


夜になってもそれらは続いた。

6つ目の洞窟には既にゴブリン何十匹も外に出ていた。


殺気を放つと怯えながら地に頭を擦り付けて醜く命乞いをする奴らには笑いが止まらなくなる。

当然声を聞くつもりはない、すると奴らが差し出して来たのは金髪の女だ。

生贄を差し出して見逃してくれとでも言うのだろう。


「お願いです、助けて...下さい...!まだ、まだ死にたくないっ!」


傷だらけの女を前にしても我の答えは決まっている。


『安心しろ。今楽にしてやる』


再び空へと飛び立ち、赤い魔法陣を広げる。

三重にして、威力を上げる。

そうして巣に向かって放つ。


着弾した瞬間、けたたましい爆発音と衝撃波が広がった。


煙の中から雷が響き渡る。

しばらく見つめた後、(ウェントス)魔法を使い、煙を晴らす。

地面には大きなクレーターが出来て、赤くひび割れていた。


領地に戻って見ると、人間は困惑している。


「森の方からだぞ!一体何があったんだ!?」


冒険者パーティが続々と集まってくる。

移動し、目についた場所は立派な城。

勿論内部は把握済みだ。


確か師匠は特徴的な外見を言っていたな、髪は紫色で、半分は緑色。

瞳の色も同じ緑色だと。

門番を瞬殺し建物の内部に入る。


地下に続く階段を見つけ、見張りをしている騎士が二人いるがそんなもので止められると思っているのか。

凍結魔法で床を凍らせ、二人の見張りを凍らせる。


扉を開けて、牢屋の前に立つ。

人の気配が複数人居て何処にいるか分かりずらい。

窓から覗く鉄格子から満月の光が隙間から流れている。


左から二番目の牢屋に目的の人物はいた。

鉄格子を飴細工のように曲げて中に入る。

まぁ、当たり前か、いきなりの事でびっくりしていた。


「っ!?何だ一体...」


我は姿を見せるわけにはいかないので石の床を爪で削る。

そうして地下牢から廊下を歩いている中、彼女が何か思い出したかのように「あっ、」と一言呟いた。


「忘れ物をした!ちょっと待ってくれないか?」


裸足で走って、どこかに行ってしまった。

見失わないように後をついていくと、保管室の名前が刻まれた扉があった。

ドアノブを捻って開けようとしていたが、鍵が掛かっているのか開く事が出来なかった。


指先を扉に向けると、開ける(アペリオ)魔法を使い、中に入る事が出来た。

倉庫の中を探索し、それを地面に投げ捨てる。

別の木箱を探り、麻袋を見つけると、一番デカい声で「あった!!」と叫んだ。


「見つけた...!これだよ!私の私物!」


転移(メタスタシス)魔法を使い、一瞬で山の中に辿り着いた。

姿を現すと彼女は驚きのあまり悲鳴をあげて、腰を抜かした。


「うわあぁぁ!??ドドドッッ、、ドラゴン!??私を食べても美味しくないぞ!!」


『その口を閉じろ、()()に見つかっても知らんぞ』


胴体を掴んで、そのままの状態で歩く。

森の中を進むと小川が流れる音が聞こえ、やがて湖のある場所に戻ってきた。

洞窟の中で下ろして、我はその場から離れた。


湖の中にいる巨大魚を探す。

二人分の食材を確保するのに必要だ。

しばらくして体長10mもある巨体な魚が姿を見せた。


乱雑に生え揃ってる牙は危険である為、鷲掴みにしてそのまま締め落とす。

洞窟まで持っていき、その場で裁くとする。

道具一式を取り出して、まな板に乗せる。


鱗で出来ているナイフで頭を切り落とす。

胴体を横に切って臓腑を取り除き、乱雑に切る。

この魚は雌だったので卵は残す。


次に石を敷き、木炭を隙間なく詰め、息を吹きかけ、火を付ける。

彼女が火を見ている間、湖の水を掬う。

戻ってきたら彼女が金網を引っ張っている。


危ないので引き離し、金網を乗せてから鍋を置く。

沸騰した後は先程切った身を入れ、ぐつぐつ煮込む。

小さい卵を入れ、それらを混ぜる。


麻袋から革に包んであるものを取り出して、半分くらいお湯の中に入れる。


色は茶色くなり、香ばしい香りがした。

なんて呼ぼうか、まあ後でいいか。

お椀に乗せて、彼女に渡す。


あぁ、忘れるところだったな、人間サイズの煮込み棒を手渡して一口目を入れて中で噛み潰す。

………うん、失敗した、途轍もなく不味い。

ほら、彼女も羽虫を踏み潰したかのような顔をしている。


完食した後は湖の側で鍋を洗う。

彼女は自分の名前を名乗り、我の名前を考えていた。


「そういや、名前はあるのか?」


『無い、好きに名付けてもいい』


「ふむ....体は真っ白だから、白竜なんてどうだ?」


『...悪くないな』


位置を変え、彼女は洞窟にいた。

そして我は通信魔法を使い師匠に連絡を取る。


《うんうん、良かったよ彼女が無事で、あの子は結構重要なこと知ってるしさ》


『その重要な事とはなんだ』


《聞いてみるといいんじゃない?それと、護衛を担当してくれる人は王都の何処かに居るから〜。じゃあ、僕はこの辺で〜》


それだけを伝えると、切ってしまった。

深いため息を吐き、丸まって目を閉じる。

雲も無く、満月と星々が夜を照らしていた。


焚き火を囲んで、シュラークは神妙な顔をしている。

どうしたんだ一体。


「なぁ...何で助けたんだ?本当なら処刑されるんだぞ」


『さぁ、何でだろうな。もう夜も遅い、早く寝ろ』


「...あぁ、おやすみ白竜」


葉っぱで作った敷物の上に横たわり、しばらくすると規則正しい寝息が聞こえた。

焚き火の火を消して眠りについた。

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― 新着の感想 ―
こんばんわ! 感想失礼します! 人間とドラゴンがどのように物語を動かすのか楽しみです。 これからも追い続けます! もしよろしければ僕の作品も覗いてみてください。
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