人助けを続けよう!
2日ほど更新お休みさせていただきました。今日からは通常です!
「今日は何をするおつもりですか?
私も暇ではないんですけどね…」
「でしたらユヒト殿下はわざわざ毎日来て頂かなくても…
別に私は教会のから出るつもりはありませんし…」
「私から言わせて頂くと、毎日フラフラになるまで魔力を使わないで城まで帰って頂けるならそれでかまわないのですけどね。」
「あら、すみません。目の前に困っている人がいると放っておけなくて。」
「…どうだか。どんな魂胆があるのですか。」
「嫌ですわ、私は何も。」
今日も今日とてやたらと疑り深い王子が教会に視察に来ている。
教会に来て今日で4日目になる。
救護院の人は2日目ですべて治して返した。
その人たちから話を聞きつけた人から貴族、平民問わず教会に押しかけるようになり、治せる範囲で治している。
やはり使えば使うほど魔力は大きくなるらしい。
初日は10人ほどで限界を感じたけど、2日目は20人、3日目は30人と治せる人数が増えてきている。
もちろん、初日から2日目にかけてに相手をした救護院の入院患者の人たちがダントツで重かったのもあるけど。
教会に自ら来れる人たちはそこまで大変ではない。
そして病人よりも怪我人の方が楽に治せる気がする。
たぶん私に医学の知識がないからケガの状態がわかる怪我人のほうが効率よく治癒魔法が使えるからだとアベルたんは推測していた。
「…?何だか今日は外がざわついていますね」
「そうですね。気になりますし、私は休憩は十分なので入り口に行ってみましょう。」
ずっと第二王子と一緒なのも気が滅入るしね。
2人で教会の本殿に向かうと、神官たちがバタバタと走り回っている。
声を張り上げている人が何人かあるし、不穏な空気が立ち込めている。
「何かあったのでしょうか?」
「本殿の様子を見てきます。ミモザ嬢はこちらでお待ちを。」
「いえ、私も行きます。」
「危ないかもしれませんよ。」
「私は聖女ですよ。いざとなれば殿下よりも力を出せるし、怪我も自分で治せます。」
「確かにそうですね。でも気をつけてください。」
第二王子と本殿に入るとそこには怪我人が15人くらい運び込まれていた。
「聖女さま!!」
「何があったのです?」
「王都の南地区で爆発事故があったそうです。ここ最近の聖女様のご活躍を耳にして、警備隊が重症の怪我人を連れてきたそうです。」
「なるほど、状況は分かりました。怪我人は私が見ましょう。」
「さすが聖女様です、こちらへどうぞ!」
とりあえず運ばれてきたであろう怪我人がひと所に集められていた。
今日はまだ10人位しか見ていないし、多分全員大丈夫だ。
一人ずつケガの場所を確認して治癒魔法をかけていく。
治癒魔法の光が収まると元気になった人が感動して手を合わせて拝んでくる。何かいたたまれない…。
怪我人を連れてきた警備隊も、神官も、野次馬も、聖女様、聖女様ってざわついているし、キラキラした目で見てくるし。
肯定的なのはいいけど、本当に居た堪れないからやめてほしい…。
何だかんだで10分ほどで運ばれてきた全員の治療が終わって、警備隊の中で偉そうな人に声をかける。
「王都の南地区で爆破事故が起きたと聞きました。どのような状況でしょう?」
「聖女様、まずは怪我人を助けて下さりありがとうございます。
この度は南地区にある穀物倉庫が何らかの原因で火がついて爆発したようです。
幸い、穀物倉庫には誰もおらず、死者や重篤な怪我人はおりませんでした。
周囲の建物が崩れたのに巻き込まれた数人が比較的重症でこちらに運び込みました。
あとは昨今の雨不足もあり延焼していますが、付近の住民の避難は済んでおりますので、これ以上の怪我人が出る事はないかと思います。」
まあ、いわゆる小麦粉爆弾だ。この世界の主食は小麦だし、粉挽の風車などでも起こるので小麦粉は爆発することはこの世界でも知られている。
だからこそ、そう言った場所に火気はないようにされてるはずなんだけど…。
「まぁ、まだ火が収まっていないのですか?
それは大変でしょう。
私にお手伝いできることがあれば…。」
「聖女様、今回はこのように怪我人の救護をして頂いただけで十分でございます。
水魔法に長けたものも駆けつけるよう手配していますので火もじきに収まるでしょう。」
「あら、でも心配だわ。様子を見にいけないのかしら?」
「ミモザ嬢、さすがにそれは危険です。」
(もしやこの混乱に乗じて逃げ出すおつもりでも?)
第二王子が耳元に口を寄せてつぶやいてくる。
「第二王子殿下、心配には及びません。
民が本当に心配なだけですわ。
とくに南地区は私の両親や知り合いもいる地区です。
心配になるのは仕方がないことではありませんか?」
「……。」
「神官長さま、南地区の様子を見に行くことはできませんか?」
本殿で警備隊や神官に指示をして慌ただしく動いていた神官長に声をかける。
「教皇様に確認をとらなければなりませんが、問題ないかと。
ただし武に長けた神官を数人つけさせて頂きます。
とりあえず教皇様の許可をとりましょう。」
神官長はそばにいた神官に指示を出すと神官は本殿から出ていった。神官が戻ると神官長がこっちを見て頷いてきたので、外に向かって進む。
「…逃走が心配ならば殿下も一緒に向かいますか?」
「…私もなかなか自由に出歩ける立場の人間ではないのでね。さすがに王族が市井には急に行けない。代わりに私の護衛騎士を1人つけさせよう。」
「分かりました。お好きなように。」
教会から馬車で20分ほど移動すると南地区の火元の近くについた。
現場近辺は規制されていて馬車では近づけないらしい。
「聖女様、どうされます?」
御者が声をかけてくる。
「この近辺に火元がよく見える、見晴らしの良い高台や建物はあるかしら?」
「でしたら時計台公園はどうでしょう?
小高い丘になっています。
普段町並みの眺望も良いので見えるでしょう。」
「ではそこに向かって頂戴。」
時計台公園に着くとそこはすでに人でごった返していた。
どうやら火事を見にきた野次馬のようだ。
なるほど、確かに火元がよく見える。
私が馬車から降りると周囲が俄にざわつき始める。
聖女様という言葉も聞こえるからこの数日で顔が知られてきたらしい。
まあ、いかつい神官と騎士で周りを固めているから目立つというのもあるけど。
景色を見ると大分火が回っているようだ。ぱっと見10軒くらいが燃えているだろうか?まだ火の気が収まるようには見えない。
息を深く吸うとひんやりとした湿り気を感じる。うん、行ける。
「風よ…」
手のひらに風魔法を展開する。この状態から魔法強化魔法をかける。
服や髪が大きくはためく。
先ほど感じた水気を風に含ませて手を伸ばす。
「…吹け」
突風を起こす風の初歩魔法だけど、今は強化魔法をかけている。
水分を多く含ませた風は光の反射を受けてキラキラと煌めき、台風のような勢いで火元に吹いていく。
突風と水分によって見る見る火が小さくなっていくのが見える。
よし、行けそうだ。
3分ほど風を吹かせ続けると高台から見える火は治った。
あとは水魔法士が頑張ってくれるだろう。
ふう、と一息着くと、どっと周りから歓声と、聖女様!というコールが起こる。
その声量と熱気に面食らう。
民衆の熱量に護衛の神官たちが慌てて馬車まで誘導してくれたから何ともなかったけど、びっくりした。
熱気が怖かったけど、大丈夫だよね?
アベルたん、これも計画通り?




