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荷物をまとめよう!

誤字脱字報告ありがとうございます!

1日目


 昼前に公爵家を出る。

 私の監視役としてシュタインさまと、私のサポートとしてアベルたんが同じ馬車に乗っている。

 シュタインさまにはアベルたんは春休み中の自由研究として学園の教室を使わせてもらうためついでに同行すると伝えている。


 シュタインさまと2人きりは心臓がもたないし、アベルたんとのブリザード2人乗り馬車を経験した身としては3人で移動できることは願ったり叶ったりだと思ってたけど、何で今日もブリザードが吹いているのか…


 この2人、もしかして微妙に仲悪い?

 会話らしい会話はなく、緊張感がはしる。

 なんで?



 馬車が昨日と同じ北門に着くと先に馬車から降りたシュタインさまが手を差し出す。

 昨日も体験したけど、まだ慣れない…


 おそるおそる手を出そうとすると、横からアベルたんがシュタインさまの手をとっておりる。


 あれ?そういうこと?


「…アベル様は自力で降りられるのかと思っておりましたが。」


「てっきり、僕に手を差し伸べているのかと思いました。

 そこのミモザ嬢は大の男以上の身体能力と体力があることはもちろんご存じでしょう?」


「アベル様への配慮が足りずすみませんでした。いくら繊細でいらっしゃっても男性としての矜持に傷をつけることを心配しておりましたが、取り越し苦労だったようですね。」


「いえ、僕は男性としては並の体力はありますよ。そちらの規格外のミモザ嬢と比べると劣るというだけで。

 逆に僕はシュタイン殿の差し出した手をだれも取らないと気まずいかと思って取った次第です。」


「そういったご配慮とは気づかず失礼しました。しかしながらミモザ嬢は先日もこのように私の手をとって降りて頂いたので、その心配は無用です。」


 2人は熱く見つめ合いながら緊張感の走るやりとりを始める。


 何これ?BL展開?シュタイン×アベルの薄い本は地雷だと思って避けてたけど、アリかもしれない。

 推しはBLでも尊い。


「お二人はそういった仲だったのですね。邪魔をして申し訳ありませんでした。では、私はこれで…」


「「ミモザ嬢!?」」


 アベルたんが近寄って耳元ですごむ。

(おい、お前何を勘違いしている…?)


(私はお二人のために身をひく所存でございます!お二人ともツンデレですね!いままで気づきませんでした!)


(ちがーーーう!!変な勘違いするな!)


(照れ隠さなくても…うふふ)


(ふざけるなーーーー!!だいたいお前がシュタインと離れたらどう「いべんと」を回収するんだ?)


(はっ!確かに!!)


 そこまで話すとアベルたんの肩がぐいっと引かれる。


「アベル様、女性に近づきすぎですよ。」


 嫉妬キターーーーーー!


「シュタインさま、失礼しました。」


 アベルたんから距離をとる。

 アベルたんはげんなりした顔をして見てくるけど、シュタインさまは不思議そうな顔をしている。萌え。

 やばい、腐女子のつもりはなかったけどBLにはまりそう。


「因みにお二人はどちらがネコですか?」


「?僕はネコは好かないが。今その話は必要か?」


「私はネコが好きですよ。ずっと撫でていたくなります。」



「ひゃっはーーーーーーーーー!!」

 そっち!?攻守が予想と逆だわ!

 でもありよりのアリ!!!!

 アベルたんSだし!


「私はお二人を応援しますね!!」


「?ありがとうございます。」


「…お前まだよく分からない勘違いを…」


 がぜんこの2人と過ごす時間が楽しくなりそうだ。

 うきうきしながら小道を寮に向かう。

 途中の道の凹みも倒された木々もきにならなかった。




「ここが女子寮ですね。」


「はい、お二人は私の荷物整理のお手伝いとして、ローザス様が事前に女子寮立ち入りの許可を取ってくださいました。」


「平民のくせにそんなに荷物あるのか?」


「…色々あったので色々あるのです…。」


「「?」」



 どうやら本当に荷物整理を手伝ってくれるらしい2人が部屋までついてくる。

 ドアを開けるとしばらくぶりに帰ったせいでこもった匂いがして窓を開けて換気する。


「特に見られてこまるものもないので、どうぞお入り下さい。」


「失礼します。」


「……やはり平民向けの部屋は狭いのだな。」


「普通ですよ!公爵家の規模がおかしいだけです!」


「お見受けしたところそこまで荷物がないように見えるのですが?」


「…問題はここです。」


 部屋の奥にある収納の扉を開く。

 中は2畳ほどのウォークインクローゼットなのだが…


「…なるほど。」


「…そういうことでしたか。」


 そこには清貧な室内とは異なり、煌びやかなドレスが十数枚と靴や帽子の入った箱が所狭しと並んでいた。


「…全て第一王子殿下からいただいたものです。

 寮の引き上げ後は教会にお世話になろうと思ってたから華美なドレスは不要だし、実家に預けても仕方ないので適切に処分したいのですが…

 質入れしようかなぁ?」


 以前のミモザはパーティー好きで行くたびに王子にドレスや服飾品をねだり買ってもらっていた。

 今はもうそんなことをするつもりはないから不要だ。


「皇族から貰ったものを売り払うなどもっての外だ。

 質入れしたことがバレたら不敬罪が重くなるぞ。」


「うぅ…こっそり処分しようかしら。宝石だけ剥がして。」


「そういう所図太いよな。捨ててもバレたら不敬罪なのはかわりないぞ。」


「やはり貰った本人に返すしかないのではないでしょうか?」


「…やっぱり?」


 あえて可能性から排除してた選択肢なのに…やはり避けて通れないのか…。


「今日明日で荷物をまとめて城に返却しに行きましょう。

 不安なようなら私が付き添いますよ。」


「シュタインさま、ありがとうございます!」


 さすが推し、中身もやさしい。


「公爵家から第一王子に面会の申請をしよう。

 責任上僕も付き添う。

 そうと決まれば僕は一度公爵家に帰って王家に書状を送ってこよう。」


「わかりました。よろしくお願いします。」


「承知いたしました。ミモザ嬢はその間に私と返却するものをまとめましょう。」


「はい!よろしくお願いします。」



 アベルたんが出ていくと、シュタインさまも箱を取りにいくと言って一旦外にでた。


 私は収納に入ると手前の方から今後使わないであろう華美なドレスを取り出してベッドの上にどんどん放り投げていった。


 はぁ、あの王子に会うと思うと気が思い…

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