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ミヒャエルを他力本願で攻略しよう!

「というわけで、バインツ侯爵家の別荘に皆んなで卒業旅行に行きませんこと?」


「…どういう訳か分かりませんが、どういう状況ですか?」


 そう言ってえるるんはメガネのブリッジを中指で押さえてクイっと持ち上げた。萌え。



 


 日付けは変わって公爵家の応接室。

 メンバーはローザス様、アベルたん、私とミヒャエル・バインツの4人で雁首を揃えている。


 元攻略対象であるミヒャエル・バインツこと、オタク界の通称「えるるん」は濃いエメラルドグリーンの髪と目の細身でシュッとしたビジュアルのキャラだ。

 また、この小説唯一のメガネキャラとしても人気を集めた。

 宰相子息で侯爵家次男という出自だ。


 成績優秀、研究熱心、穏やかな性格でありながら、時々天然ボケをかますキャラで、隙のなさそうなビジュアルとのギャップが魅力だ。

 小説上ではローザスと成績のトップ争いをしながらも良きライバルとお互いに認め合い、時には協力して問題を解決してゆき友人関係を築いていく。


 えるるんは第二王子とローザスの結婚式でようやく自分はローザスに惹かれていたことに気付き、静かに失恋していく。



 そのえるるんが不思議そうに首を傾けてる。

 もしマンガ版だったら絶対近くに?マークが3つ飛んでると思う。


 やばい、かわいい。えるるん、禿げ萌えです。

 えるるんは推しでは無かったけど、えるるん推しになりそう。尊い。

 

 なおさらここ2日腹黒ショタのアベルたんの相手ばっかりしてたから、ほんと癒される。この裏表ない感がたまらん。

 アベルたんに削られた心のHPが回復したわ。



「質問したいことが3つほどあるのですが、良いですか?

 まず、私の記憶が間違ってなければローザスとミモザ嬢はお互いに嫌いあっていたと思うんですが、なぜ一緒に卒業旅行に行くほど仲良くなったのでしょう?

 次になぜあんな何もない海辺の別荘に行くのでしょう?

 最後になぜメンバーがこの4人なのでしょう?」



 うん、頭良さげな弾丸トーク質問かわいい。

 質問内容は覚えきれなかったけどな!

 えるるんを見つめながらによによしてるとアベルたんが苦虫を噛み潰したような顔でこちらを見てくるけど気にしないことにしたよ!


「ミモザさんとは昨日しっかり話合って、いままでの誤解は解けましたの。それどころか共通の趣味を見つけて今ではとっても仲良しよ。ね、ミモザさん」


「そうなの、私たちとっても仲良しなんです。」


 にこにこしながらローザスさんと見つめ合う。

 転生を共通の趣味とは、すごい言い回しだ。


「あと、ミヒャエルも知ってると思うけど、ミモザさんは謹慎中の身。だからあまり娯楽のない、目立たない場所に行きたくて。

 それに、私、ミヒャエルとの思い出が少ないと思って、あなたとも最後に思い出を作りたいの。

 私の親しい友人であるミモザさんとミヒャエル、アベルの3人にとってはお互いに知らない者同士かもしれないけど、私は結婚したら今までみたいに自由に何かできないでしょ?

 だから今のうちに色々したくて。

 あなたにとっては迷惑かもしれないけど、私の最後のお願いと思って聞いてもらえないかしら?」


「まあ、そういうことなら…。」


 えるるんが少し頬をそめてそう答える。やばい、尊い

 えるるんはローザス様を無自覚ラブだもんね。

 一緒にいたいって言われたら嬉しいよね。

 アベルたんは顔を青ざめさせているけどな。



「因みにいつ行くんですか?」


「早ければ早いほうが嬉しいけど、あなたの予定はどうなの?」


「私であれば卒業して今は休んでいるので、城での出仕が始まる1カ月後までならいつでも大丈夫ですよ。

 別荘の準備を整えるよういまから使用人に指示することを考えると最短で明後日ですかね。」


「じゃあ明後日からでお願いするわ。ミモザさんは大丈夫?」


「はい!大丈夫です!」


「予定は3泊4日でいかがかしら?場合によっては前後させても良いと思うし。」


 それは私の首尾しだいってことですね!頑張ります!

 決意を込めた目で友梨愛さんを見つめると力強くうなづき返してくれる。


「ではそのように別荘を手配しましょう。」


「移動の馬車はアインベルト公爵家で手配するわ。ミヒャエル、よろしくね。」

 

「える…ミヒャエル様、よろしくお願いします。」


「こちらこそよろしくね、ミモザ嬢。こうして話すのも初めてだよね。」


「そうですね、え…ミヒャエル様とこうしてお話しするだけでなく、ご一緒に休暇を過ごせるなんて光栄です!」


「じゃあ、今後の予定も決まりましたし、今日はここで解散しましょう。

 明後日に向けて荷造りや準備もあることですし。」


 そう言って友梨愛さんは話を切り上げた。

 昨日も思ったけど、友梨愛さんの話術は本当にすごい!

 こんなにとんとん拍子に進むなんて。



 えるるんが侍従に付いて応接室を退室するのを見送って、座っている友梨愛さんの腰に抱きつく。


「友梨愛さん!ほんとすごいです。話術、神です!」


「オーバーねぇ。でも何とか誤魔化せて良かったわ。」


 友梨愛さんが私の後頭部を撫ででくれる。幸せ。


「ミモザ嬢、いつまでもその体制でははしたないですよ。」


 肩を掴まれてブリザードスマイルのアベルたんに引きはなされる。くそぅ。


「小春ちゃん、とりあえず今日はあとは荷造りをしましょ。

 明日は最後のシュタインのイベントの状況をどう作り出すか考えましょう。」


「はい!友梨愛さんに一生ついていきます!」


 オーバーねえとくすくす笑う友梨愛さんを見ながら、本当にこの人に会えて良かったと思った。

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