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貴賓牢行きを回避しよう!

「ですから、今朝方ご連絡しました通り、ミモザさんの身柄は我がアインベルト公爵家にて預からせて頂きたく思いますの。」


 えーーー!友梨愛さん神!!!


「だから、それを認める訳にはいかぬ。ローザスのような性悪の元に預けるなど、ミモザに万が一のことがあれば…。」


「私、公爵家に居たいです!!」


「ほら、ミモザさんもこのように言っているでしょう?」


「そもそもローザスがミモザを虐めていた件についてまだ解決しておらぬ。

 公爵家なんぞより、城の貴賓牢に居てもらった方が安全だ!」



 ミモザーっっほんと何やってるのーーー!


 ひたすら自分で自分の首絞めている展開にぐったりする。

 こら、そこの公爵令息、愉快そうに見つめるんじゃない!!


「リエト殿下、本当に大丈夫です。

 ローザス様とは昨日今日とお話しして打ち解けて、本当に仲良くなりました。

 今までのことは誤解だって分かりました。

 ローザス様は本当に優しい方です。」


「だいたい、リエト殿下が熱を上げている令嬢を城の貴賓牢で長期勾留など、余計な憶測を生みますわ。本当に貴賓牢に入っているのか誰も分かりませんもの。

 その点、ミモザさんと距離を置いているアインベルト公爵家が預かれば余計な憶測は生まれませんわ。」



 友梨愛さん、さすがです。

 第一王子を論破する姿に思わず尊敬の念を込めて見つめる。


「それにすでに判事の方にも陛下にも、アインベルト公爵家での身柄預かりにご了承いただいておりますわ。

 納得できていないのはリエト殿下だけですの。

 ミモザさんもこうおっしゃていることですし、これ以上はお引き取りいただけませんこと?」


「陛下にそれを聞いたからこそ、矢も盾もたまらず公爵家に参ったのだ。公爵家預かりになる以上、判決まで私と簡単に会えなくなるのだぞ。」


 むしろ望む所です!!

 友梨愛さんが困ったように私を見てくる。

 ここは私の力の見せ所ですね!


「リエト殿下、寂しいですが、これもまた私たちに必要なことだと思います。

 振り返ってみると、私少し、殿下に甘えていた所が大きかったように思います。

 これを機に殿下と距離を置いて、自分を成長させたいのです。」


「…っミモザ」


「リエト殿下…。寂しいですが、私たちのためにどうか堪えて頂けませんか?」


「…分かった…。ローザス、ここは一旦引き下がるが、ミモザの身に何かあれば、覚悟しておくが良い。」



「殿下、そろそろ…。」

 執事っぽい人に促されて応接室を後にする。

 名残惜しそうにこちらを振り返ってくるので友梨愛さんの腕を掴んだままにこやかに手をふる。


 よし、これで当面の問題はどうにかなった。


 応接室のドアが閉まって3人だけになると、開放感がすごい。


「友梨愛さーーん、本当ありがとうございます!

 どうなる事かと思いましたが助かりました!!」


「こちらこそ助かったわ、小春ちゃん。陛下と裁判所にあなたの身柄を預かることを交渉したらバカ王子が気づいてお忍びで公爵家に突撃してきたの。

 ほんと、失礼よね。」


「…で、そっちの首尾はどうだった?」


「ばっちりです!!」


 友梨愛さんに向けて赤い雫型の石を見せる。


「どうやら多少シチュエーションが違っても、場所と人が合っていて、かつミモザ嬢が危機的状況に陥れば能力が覚醒する仕組みのようですね。」


 アベルたんがにこやかに告げる。この猫かぶりめ…!

 思わずジト目で見てしまう。


「上々ね!あとはミヒャエルとシュタインね。

 バカ王子やあなたが謹慎中であることを知ってる人に気づかれないよう行動しなくては。

 シュタインはこの屋敷にいるからすぐ呼べるけど、場所が学校の闘技場だから目立たず行くのが難しいわ。

 シュタインに嫌がらせをする上級生もいないし、物への付帯魔法を目覚めさせる状況がうまく思い浮かばないから後まわしにしましょう。

 ミヒャエルのイベントは人里離れた海辺の洞窟だからこっちの方が楽そうね。

 ミヒャエルは私の転生について知らないからうまく言いくるめて協力してもらわないと。

 明日早速ミヒャエルと会いましょう。

 疲れてると思うけど、時間がないわ。大丈夫?」


「はい!よろしくお願いします!」


 色々あったけど今後の見通しが立ちそうでよかった!

 それに推しの生シュタイン様に会えるかも!!楽しみ!

 アベルたんに心のHPをゴリゴリ削られたけどちょっと回復したな。



 友梨愛さんに退室の礼をして与えてもらった部屋に向かう。


 早く疲れた足を休めたい…と思ってたら、横から急に腕が出てきて進路を妨げられる。


「今日の俺のこと、姉様に告げ口したらどうなるかわかってるよな?」

 耳元でボソッと囁かれ横を見ると、意地悪そうな微笑みを浮かべたアベルたんがいた。


「…で?分かったのか?返事は?」


 首がもげそうな位頭を上下にぶんぶん振る。

 

 アベルたんは満足そうに笑ったあと踵を返して去っていく。

 私はヘナヘナとその場にしゃがみ込む。

 やられた、最後にアベルたんに心のHP全部取られた…

 リアル腹黒は全然、飯うまじゃない!!!

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