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三章12話 出来るならさっさとしろよ・・・

街の外には街を守るように巨大な地の壁が出来ていた。

誰かが魔法でやったのか?これならあの大型の魔物相手でも暫らくは持つな・・・っと、早く助けに向かわないとな、外の魔物も魔法を無効化するなら厄介だ。


「でもこれ、俺以外は壁を迂回して行かなきゃならないんじゃないのか?」


援軍の到着が遅れるのが分かっていても壁(これ)を出さないと耐えられない状況って事か?


身体強化は解除していない、俺はそのまま壁を飛び越える。


「おぉ、結構やばいな、数が多い、前の戦法も負傷者が多すぎて無理か、それに時間はかけられないな・・・」


奇跡的に死人はいないみたいだが負傷者が結構いるな、地の壁は魔物の街への侵入を防ぐが同時に迎撃に出た者の退路も断つ・・・精神的にもきついだろうに、よく持ち堪えた。


「早く片付けないと死人が出るな、全力で行く・・・血を燃やせ(ブラッドドライブ)!」


俺の中の人の血が燃える、身体能力が馬鹿みたいに跳ね上がる。


「ブラッドドライブ、一応俺の切り札だ。長くは持たないからな、速攻で片付けさせてもらう」


手近に居た一体の横っ腹に回し蹴りを叩き込む、倒さなきゃいけないんだけど、最初の一撃は他の魔物も巻き込んで吹き飛ばす為に加減する。

吹き飛んだ魔物は他の魔物も巻き込んで吹っ飛んで行き、劣勢だった戦況に少しの余裕を生む。


「んじゃ、消し飛べ!!」


手当たり次第弾いていく、俺の跳ね上がった力は魔物の身体の殴った部分を吹き飛ばす。飛び散る血肉に俺の身体が赤く染まっていくけど気にしている時間は無い、はぁ・・・また、あのふたつ名が広がるんだろうなぁ・・・


「な!いったい誰!?」


迎撃に出ていたうちの一人か?でも、まぁ、その質問に答えている時間も惜しい。


「んなことより!どんどん落とせ!俺の力が続いているうちに殲滅するぞ!!」


「時間制限付き!?」


化物的な力を発揮している俺を、今はとりあえず味方だって認識してくれれば良い、混乱してないでもう少し残ってる空の奴等を落としてくれ。


正直ここに居る魔物全部を俺一人で倒すのは無理だ、そこまで力が持たない、傷を負わせれば他の奴等も戦い易くなる、だから能力(ブラッドドライブ)が切れるまで出来るだけ多くの魔物を攻撃し、後は他の奴等に任せよう・・・


_______________________________________________________________________________


闘技場で戦っていた者たちを引き連れ、先に迎撃に出た人たちの援軍に向かったリョウを追った。


でも、私たちはフリージアの街を出たところで足止めをされてしまった。


「これは・・・」


「『アースウォール』か?それにしてもこの規模は、大魔法級だぞ!!」


向こうに行くには凄く遠回りをしないといけなくなる、でも、供血者の力で強化すればこれ位跳び越えられるんじゃないかな?

私はリョウが離宮の屋根の上に飛び上がったのを思い出しながら考える、試してみる価値はあるのかな?


リョウに教わり練習した方法を思い出し身体に強化をかける、これで私の身体能力は格段に向上する。


「リジアさん他のみんなと『アースウォール』を迂回して向うに向かってください!私はここを越えて先に行きます!」


それだけ言って思い切って跳躍した。


「な!ゴルドの姫さんもリョウイチと同じか!!チッ!続ける奴は続け!それ以外は迂回して向うへ向かうぞ!」


私が壁を飛び越えるのに続いて、何人かが各々の力を使って壁を越えて来る。

でも、壁の向うの戦闘は終わりかけていた。


多くの負傷者がいるけど魔物の殆んどが身体のどこかを吹き飛ばされ、若しくは切り裂かれ絶命していた。


「これって、リョウがやったの?」


リョウなら可能ね、私の身体強化以上の力を持ってるんだし・・・この身体強化の力、使ってみて分かったけど、完全に規格外なのよね、今までの常識を打ち砕く身体能力、そんじょそこらの魔物に負ける筈無い、それがリョウの使う物になれば更に規格外の中の規格外となる・・・


「はぁ、はぁ・・・リア、悪りぃ、少し残っちまった」


突然体から赤い煙を立ち上らせているリョウが私の隣に現れる、どれだけ身体能力が上ってるの?私の視力も強化されてるんだけど・・・本当に突然現れたようにしか見えなかった。


「血を消費しすぎた、ブラッドドライブはもう使えない・・・てか、もうしばらく動けそうに無い」


宣言通りその場で倒れ動かなくなるリョウ。


「後、任せた・・・」


任されたわ。

まだ敵は残っている、リョウの活躍に唖然としている者たちをリジアさんが纏め殲滅に向かった。

私はリョウのマネでもしましょうか。


_______________________________________________________________________________


誰かの作った防壁(地の壁)を跳び越えて何人かの援軍が来た、その中にリアも混じっている、供血者の能力を上手く使いこなしているようだ。


俺の方は・・・あ~駄目だ、能力(ブラッドドライブ)の使いすぎだ、身体の血が足りない。

そろそろ使用を止めないとぶっ倒れるな・・・


とりあえずリアのとこまで行くか。


「はぁ、はぁ・・・リア、悪りぃ、少し残っちまった」


おお!?俺、思った以上に疲労してるなぁ・・・


「血を消費しすぎた、ブラッドドライブはもう使えない・・・てか、もうしばらく動けそうに無い」


まぁ、俺がリングでやった魔物の足止めならリアも出来るし、もう大丈夫だろ・・・


「後、任せた・・・」


俺はここらで休ませてもらう、地面に倒れながら後を託してみる、まぁ頑張ってくれ。



リジアがみんなを纏めて残った魔物の殲滅に行ったな。


リアは身体強化を使い、さっき俺がやった魔物の足止めを行っている。


あ、あれはエリスか?三回戦で戦った剣士・・・凄いな一人で魔物を相手取っている、周囲に斬り刻まれた魔物が数体転がっているってことは、その数体を倒したってことか・・・


「旋風槍(せんぷうそう)!」


おぁ?誰か壁を越えて降りてきたな、風を使って落下の衝撃を和らげたようだ。


「あれ?リョウイチさん?大丈夫ですか!?」


なんだ、シルクか。


「あ~、大丈夫だ、能力の使い過ぎでぶっ倒れてるだけだ」


「ちょっと無理して壁を越えてきましたけど、もう終わりそうですね」


だな、丁度今、最後の一体をリジアがぶった斬ったところだ。


「にしても、今まで何度も魔物に襲撃されているが・・・この世界じゃ魔物って操れるものなのか?」


「この世界?いえ、人に魔物を操ることなんて出来る訳無いんだけど・・・」


人じゃなかったら出来る奴もいるんだろうな・・・ってことはあのローブの奴、人じゃないのか?

まぁ、どうでもいいか、次ぎ会ったらぶっ飛ばすだけだ。


「終わったの?」


「あぁ、リアお疲れ」


やれやれ、やっと終わったな、限界まで能力を使っても倒しきれないとか数多すぎだろ。


「いや、まだみたいだ・・・あっちの空見てみろ」


リジアが疲れた顔でやって来てのたまう・・・

言われた通り見上げてみると・・・

うわぁ、さっきと同じくらいの数の魔物が向かって来てないか?


「おいおい、もう身体強化以外は使えねぇぞ・・・」


「私もまだ力を使うのに慣れてないから、全力の身体強化はもう無理よ・・・」


「魔法の効かない敵の相手はキツイんだけどな・・・」


「アタシは今来たばかりだからまだいけますけど、さすがにあの数は・・・」


え~、結構やばい状況だな、つ~か、この国を滅ぼせるぐらいの規模じゃねぇか?大会の為に強者が集まってるからってやり過ぎだろこれ?


「しかたねぇ、もう少し頑張るか・・・」


身体を起こし強化をかける


   (「なら僕は)   (詠う・・・」)

「は?」


強化した俺の聴覚に微かに声が届く・・・誰だ、詠うとか言ってる奴は?


「「ええっ!?」」


落ちた、大型の魔物もそれを運んでいた羽の付いた魔物も例外無く突然何かに切り裂かれ撃墜された。


「なに・・・え?え?何が起こった!?」


「落ち着け、誰がやったか知らねぇけど、どうやら終わったみたいだし、いいんじゃねぇか?て~か、終わってくれ、結構限界なんだよ・・・」


見渡す限りでは、もう生きている魔物は居ねぇな。


「なんて終わり方だ、て~か、こんな事が出来る奴が居るなら最初にやれよ・・・」


さきほど声のした方、防壁の上を見上げる、そこにはもう今の攻撃を放ったと思われる者は居なかった。


「どこの誰だか知らないが、助かったんだからいいんじゃねぇか?」


「まぁ、そうだけどな、疲れた・・・」



_______________________________________________________________________________


刀を鞘に納め防壁から降りた男は近くで待っていた女性の下へ向かった。


「お疲れ様です」


「うん、やっぱりこれだけの規模の力を使うと疲れるね・・・それに、僕としてはもっと早く手を貸したかったんだけど・・・」


「仕方ないですよ、後の未来を変えるならこの瞬間以外は悪い方向にしか変えられません」


「分かってはいるんだけど・・・持ち堪えてくれた彼らには感謝しないとね」


「深紅の魔王さんも彼女と共に居る2人も予想以上の働きをしてくれましたしね」


「リョウイチ君は本当に僕と同じニンゲンか疑わしいけどね?」


「ふふ、そうですね、あの力は魔物に近い物を感じます」


「ま、僕の例も有るし気にしなくても大丈夫だよ、彼の心は正しい方向に傾いている」


2人は人知れずその場から去っていった。


今回の迎撃戦、襲撃した魔物の半数近くを殲滅した男はそれを誰にも知られる事無く戦場を去っていた。


ブラッドドライブ


血流爆発→血を燃やせ に変更。


やっぱり、他に良い言葉があれば変えます。


そして三章完結としておきます。

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