収穫祭三日目。 デューク視点。
エントランスでティアナを待っていると、ティアナの父君と母君が現れた。
話の内容的には、俺とティアナが恋人だと思っていたみたいだ。
昨日、腕を組んでいるのを見られていたし、あの時コソコソ二人で話していたのは恐らくそういった内容だったのだろう。
「ティアナ、今日はどこか行きたいところはあるかい?」
「そうですね……昨日結構歩き回りましたし、今日は少しゆっくりできるといいですね。午前中は屋台とか回って、午後は広場で行われる舞踊団の演目などを見て楽しむのはどうでしょうか。」
確かに、ずっと三日間歩き続けるのは少し大変だし、今日はゆっくり楽しむのもありかもしれない。俺はティアナの意見に賛成して、最後に一言付け加えた。
「ティアナ。俺は明日、一足先に王都に帰らなければならない。その前に、ここで一番きれいな景色を見ておきたいんだが、案内してくれないだろうか。」
レナードに港町が一望できるところを教えてもらいはしたが、できればティアナがお気に入りの場所で自分の気持ちを伝えたかった。
「デューク様が来てもうそんなに経つんですね……デューク様が来てから毎日がすごく楽しかったので、もう帰る日になるなんて思ってもいませんでした。いいですよ! 私が一番好きな場所に行きましょう。少し距離があるので移動するのは馬になりますが、それでもいいですか?」
「構わないよ。折角だし最高のデートにしよう!」
ティアナの手を握って二人で町に向かった。ティアナが少し赤くなっている姿がとてもかわいかった。
町に着くと、まだ昼下がりということもあるのか人がまばらだった。二日間皆楽しんだからだろうか。三日目の朝は少し遅めみたいだ。
二人で昨日食べられなかった飴細工や鉄板焼きなど色々なものを買って広場に向かう。広場に向かうと、すでにたくさんの人が集まっているようだった。
「ここは昨日、自称ヒロインたちが騒いでいたところじゃないか……」
「そうですね! ニーナたちが騒いでいたところです。三日目はこの広場が舞台になって舞や劇などが見られるんですよ。」
三日目は皆、劇を見ようと人が集まってくるそうだ。
一日目、二日目はこの広場で何をしても怒られないが、三日目は少し違う。一日目、二日目にここで騒いだら、三日目は広場に入ることができなくなるらしい。
この町の中央に位置するからか、毎年広場で騒ぐ人たちがいる。
そのため、町民が顔を覚えて出入り禁止にして、皆が舞や劇を楽しめるようにしているんだそうだ。
「きっと今頃ニーナたちは、この手前の道をずっとぐるぐると回っていると思いますよ。」
同じところをぐるぐる回っていると想像するだけで笑ってしまう。
「結構有名な劇団が集まってくるので、すごい人気なんです。デューク様。もう少し前に行ってみましょう!」
俺の腕を引っ張りながらどんどん前に進むティアナ。
昨日までは腕を組むことすら恥ずかしがっていたのに、一日でこんなに変わるとは思ってもみなかった。
屋台で買ったものを片手に、色々な劇を楽しんだ。劇は子供が楽しめるものから大人向けのものまで、色々なものが行われている。
「子供向けはやっぱり騎士や勇者の話が人気なんだね。大人向けだと恋愛系か……」
色々な劇があって飽きずに楽しめた気がする。
「そうですね! 私も小さい頃はここで劇を見て色々夢を見たものです。」
少し上を見ながら思い出しているようだ。やっぱり憧れるとしたら、お姫様とかだろうか……
「騎士や勇者に……」
思わず心の中で「そっちかああああ」と叫んでしまった。
ティアナがお姫様に憧れることはあまりないかと思っていたが、まさか騎士や勇者に憧れているとは、想像通りだった……
「ククク……本当に最後まで期待を裏切らないね。そういうところもかわいいんだけど。」
笑いすぎて目から涙が出てくる。
「そんなにおかしいですか? きっと同じように騎士や勇者に憧れた人はいると思いますよ! 家はお父様も、お母様も、お祖父様も皆強いので……余計に騎士や勇者に憧れました。」
確かに、育ってきた環境で憧れるものは左右されそうだ。ましてあれだけ強い人たちに囲まれていたら、余計にそうなるだろう。
「色々見て楽しんだし、そろそろ移動しようか?」
二人で広場を抜け、ティアナのお気に入りの場所へ連れて行ってもらうことになった。
一度屋敷に戻り、馬に乗り換える。勿論同じ馬に乗る……なんてことはせず、それぞれ別々の馬に乗って話しながら進んだ。




