四十二・姉妹は仲良く回転寿司で
四十二・姉妹は仲良く回転寿司で
「あー、美味しかったぁ! ごちそーさまぁ!」
「・・・・・・優璃。・・・・・・一つ聞いていいか?」
回転寿司店のボックス席で、紅葉と優璃がテーブルを挟んで座っている。寿司の皿は二人で二十五枚ほど積み上がっていた。
「え? なぁに、お姉ちゃん?」
「お前さ・・・・・・。よく、アタシなんかと一緒に、ついてこられるな?」
「え?」
紅葉は、茶碗蒸しを食べながら、優璃に問う。
「正直さぁ・・・・・・。受験生のお前にとっちゃ、不良姉貴のアタシは、邪魔じゃないか?」
「お姉ちゃぁん・・・・・・。何言ってんの! お姉ちゃんは、ゆりにとって、世界でたった一人のお姉ちゃんだよ? ゆりのお姉ちゃんが、邪魔なわけないでしょ?」
優璃は、積み上がったお皿を数えながら、紅葉に対してにこっと笑う。
「・・・・・・ふぅん。そうか・・・・・・。・・・・・・まっ、優璃らしい答えだな・・・・・・」
紅葉は、視線を外して茶碗蒸しを頬張る。優璃は、そんな姉の顔を、じっと見つめる。
「・・・・・・お姉ちゃん。あのさ・・・・・・」
「ん?」
「バイト・・・・・・。危ないことじゃないよね? ママも、ちょっと心配してて・・・・・・」
「・・・・・・。・・・・・・。・・・・・・心配すんなっての。気にすんなよ・・・・・・」
「なら、いいんだけど・・・・・・。お姉ちゃんー・・・・・・。ゆりね、また、昔みたいに穏やかなお姉ちゃんに戻ってほしい・・・・・・って、ちょこっとだけ思ってるんだー」
優璃の言葉を聞いて、紅葉は、口の動きを止めた。
「(優璃・・・・・・。・・・・・・。)」
「・・・・・・お姉ちゃん?」
「わかってるって! アタシは、どーなろうと、お前の姉に変わりはないんだかんな?」
「えへっ! よかった! お姉ちゃん。ゆり、いつも応援してるからね!」
「・・・・・・。はぁ。・・・・・・やれやれ・・・・・・」
紅葉は、優璃の笑顔を見て、呆れたような溜め息をついた。
・・・・・・ピロン!
「ん? 優璃。スマホ鳴ってんぞ?」
「あ・・・・・・。海原君だ!」
「海原? 誰だそいつ?」
紅葉の問いかけに答えるのも忘れ、頬を赤らめてスマートフォンを見つめる優璃。紅葉は頬杖をついて、それを目を細くして見つめる。
「・・・・・・ふーん・・・・・・。優璃、いつの間に彼氏できたんだよ?」
「え? ・・・・・・ひみつー」
「なんだそれ。・・・・・・クラスメイトか?」
「まぁ、うん。そうだね」
「ママは知ってんのかよ?」
「えー? ・・・・・・友達だよー、としか、まだ伝えてないけど・・・・・・」
「・・・・・・まぁ、うまくやりな。・・・・・・パパの方がショックかもしんないけどな」
「え? なんでぇ?」
「なんで、ってお前・・・・・・。アタシなんかより、パパは優璃のこと箱入り娘みたいに可愛がってきたんだから、そーだろ?」
「でも、お姉ちゃんだって、パパはずーっと大事にしてると思うよ?」
「アタシはいーんだよ。今は、パパもママも、優璃に力注いでんだろうから・・・・・・」
「そーんなこと言わないでぇ? ・・・・・・そう言えば、パパ、明後日に帰ってくるってさ!」
「ふーん。やっと、プロジェクトだかが終わったってことか」
「えへへ! ひっさびさに、家族四人で過ごせるね? 家族写真でも撮りにいくー?」
「あー、めんどくさい! ・・・・・・そんなもん撮って、どーすんだよ・・・・・・」
優璃は、オレンジジュースを飲みながら、屈託の無い笑顔を紅葉に見せる。
紅葉は、お茶をすすりながら、優璃の顔を見て、真顔で話す。
「優璃。お前はいっつも、のほほーんとしてっけど・・・・・・。無理はすんなよな?」
「えー? ゆり、無理なんかしてないよぉ? お姉ちゃんこそ、お願いだから、危なくないように気をつけてね? なるべく毎日、家にいてよー」
「なんだかお前、言ってることがママに似てきたな? アタシよりしっかりしてるかもよ」
「そーぉ? えへへ。でも、ゆりは、いつまでもお姉ちゃんの妹だよ?」
「・・・・・・そろそろ、帰るか。ママも家に戻ってくる頃だろ? アタシ、昼寝したいしな」
「「 ごちそうさまでした! 」」
紅葉は、二人分の会計を終え、優璃と家路についた。途中、優璃が紅葉を茶化しすぎて、頭を小突かれたりしていたが、その後ろ姿は、仲の良い姉妹そのものだった。




