表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
振り子  作者: 糸東 甚九郎
第五幕  親と子 小紅と紅葉
42/211

四十二・姉妹は仲良く回転寿司で

四十二・姉妹は仲良く回転寿司で



「あー、美味しかったぁ! ごちそーさまぁ!」

「・・・・・・優璃。・・・・・・一つ聞いていいか?」


 回転寿司店のボックス席で、紅葉と優璃がテーブルを挟んで座っている。寿司の皿は二人で二十五枚ほど積み上がっていた。


「え? なぁに、お姉ちゃん?」

「お前さ・・・・・・。よく、アタシなんかと一緒に、ついてこられるな?」

「え?」


 紅葉は、茶碗蒸しを食べながら、優璃に問う。


「正直さぁ・・・・・・。受験生のお前にとっちゃ、不良姉貴のアタシは、邪魔じゃないか?」

「お姉ちゃぁん・・・・・・。何言ってんの! お姉ちゃんは、ゆりにとって、世界でたった一人のお姉ちゃんだよ? ゆりのお姉ちゃんが、邪魔なわけないでしょ?」


 優璃は、積み上がったお皿を数えながら、紅葉に対してにこっと笑う。


「・・・・・・ふぅん。そうか・・・・・・。・・・・・・まっ、優璃らしい答えだな・・・・・・」


 紅葉は、視線を外して茶碗蒸しを頬張る。優璃は、そんな姉の顔を、じっと見つめる。


「・・・・・・お姉ちゃん。あのさ・・・・・・」

「ん?」

「バイト・・・・・・。危ないことじゃないよね? ママも、ちょっと心配してて・・・・・・」

「・・・・・・。・・・・・・。・・・・・・心配すんなっての。気にすんなよ・・・・・・」

「なら、いいんだけど・・・・・・。お姉ちゃんー・・・・・・。ゆりね、また、昔みたいに穏やかなお姉ちゃんに戻ってほしい・・・・・・って、ちょこっとだけ思ってるんだー」


 優璃の言葉を聞いて、紅葉は、口の動きを止めた。


「(優璃・・・・・・。・・・・・・。)」

「・・・・・・お姉ちゃん?」

「わかってるって! アタシは、どーなろうと、お前の姉に変わりはないんだかんな?」

「えへっ! よかった! お姉ちゃん。ゆり、いつも応援してるからね!」

「・・・・・・。はぁ。・・・・・・やれやれ・・・・・・」


 紅葉は、優璃の笑顔を見て、呆れたような溜め息をついた。


  ・・・・・・ピロン!


「ん? 優璃。スマホ鳴ってんぞ?」

「あ・・・・・・。海原君だ!」

「海原? 誰だそいつ?」


 紅葉の問いかけに答えるのも忘れ、頬を赤らめてスマートフォンを見つめる優璃。紅葉は頬杖をついて、それを目を細くして見つめる。


「・・・・・・ふーん・・・・・・。優璃、いつの間に彼氏できたんだよ?」

「え? ・・・・・・ひみつー」

「なんだそれ。・・・・・・クラスメイトか?」

「まぁ、うん。そうだね」

「ママは知ってんのかよ?」

「えー? ・・・・・・友達だよー、としか、まだ伝えてないけど・・・・・・」

「・・・・・・まぁ、うまくやりな。・・・・・・パパの方がショックかもしんないけどな」

「え? なんでぇ?」

「なんで、ってお前・・・・・・。アタシなんかより、パパは優璃のこと箱入り娘みたいに可愛がってきたんだから、そーだろ?」

「でも、お姉ちゃんだって、パパはずーっと大事にしてると思うよ?」

「アタシはいーんだよ。今は、パパもママも、優璃に力注いでんだろうから・・・・・・」

「そーんなこと言わないでぇ? ・・・・・・そう言えば、パパ、明後日に帰ってくるってさ!」

「ふーん。やっと、プロジェクトだかが終わったってことか」

「えへへ! ひっさびさに、家族四人で過ごせるね? 家族写真でも撮りにいくー?」

「あー、めんどくさい! ・・・・・・そんなもん撮って、どーすんだよ・・・・・・」


 優璃は、オレンジジュースを飲みながら、屈託の無い笑顔を紅葉に見せる。

 紅葉は、お茶をすすりながら、優璃の顔を見て、真顔で話す。


「優璃。お前はいっつも、のほほーんとしてっけど・・・・・・。無理はすんなよな?」

「えー? ゆり、無理なんかしてないよぉ? お姉ちゃんこそ、お願いだから、危なくないように気をつけてね? なるべく毎日、家にいてよー」

「なんだかお前、言ってることがママに似てきたな? アタシよりしっかりしてるかもよ」

「そーぉ? えへへ。でも、ゆりは、いつまでもお姉ちゃんの妹だよ?」

「・・・・・・そろそろ、帰るか。ママも家に戻ってくる頃だろ? アタシ、昼寝したいしな」

「「 ごちそうさまでした! 」」


 紅葉は、二人分の会計を終え、優璃と家路についた。途中、優璃が紅葉を茶化しすぎて、頭を小突かれたりしていたが、その後ろ姿は、仲の良い姉妹そのものだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ