111 その本は、とても‥‥
結局、掃除は昼休み中には終わらず、放課後に延長してやることになった。
何とかそれを終わらせた私達は、ようやく帰れることになったわけだが、その後、先生に頼んで、あの本を借りることに成功した。
これは家に帰ってから、すぐ読まないとなぁと考えていたのだが、まぁ晩御飯作ったり、その他色々することがあるので、結局読み始めたのは、お風呂にいった後になった。
「ふぅ、ようやく読むことができるよ‥‥」
これで、ようやく違和感の正体がわかるかもしれない。
ただ、昔に読んだことがあるだけで、忘れていたということも、まだあるかもしれないけど。
私は表紙をめくった。
◇◆◇◆◇◆
「‥‥」
読み進めるとわかるが、この本はやはり読んだことがなかった。
ストーリーはというと話を大体で話すとこうだ。
とあるところに、二人の兄妹が住んでいた。
その兄妹はとても仲が良く、喧嘩など一度もしたことがなかった。
それは、成長していっても変わらなかった。
そんなある日、お兄さんの方が事故で亡くなってしまう。
妹はとても悲しみ、その後、妹は無気力な日々を過ごすことになった。
そんな時、怪しげな人物が現れ、彼女に向かって言った。
『お兄さんを蘇らせる術を教えてあげようか?』
普通ならこんな怪しいことなら何か危ないとこがあるんじゃないかと疑うものだが、もう自分の命ですらどうでもよくなっていた妹。
無理だとはわかっていても、もし本当だったら‥‥そんな気持ちもあり、その怪しげな人の話を聞くことにした。
その人物は夢と死後の世界を繋ぐ、そういうことが出来るらしい。
蘇らせる方法は簡単、お兄さんを自分の夢の中まで連れてくること。
しかし、その力には時間制限があって。
『ただし、夢の中というわけだから、寝ている間じゃないといけない。 まぁ長居しすぎても体に悪いからね‥‥』
何処にいるか、わからない兄を一日平均、七、八時間で見つけなければいけないという。
しかも、死後の世界は膨大で、すべて回るのに何百年もかかるらしい。
そんな無謀なことなのだか、妹は僅かな希望を信じて、その話に乗ることにした。
『で、いくら払えばいいの?』
『ううん、お金は要らないよ。 その代わり体の一部を少しちょうだい。 今回は初回だから髪の毛一本でいいよ』
妹は気味が悪かったが、もう後戻りもできず、髪の毛を差し出した。
『おめでとう。 これで君は楽園のチケットを手に入れた』
そのあと妹は夢の中で本当に見つけてしまう。
はっきりとした不気味な入り口を‥‥。
◇◆◇◆◇◆
「何だか、暗い目の物語だな‥‥え、もうこんな時間!」
もう夜遅かったので、初めだけ少し読もうと思っていたのだが、いつの間にか半分読んでしまったようだ。
明日、休日とはいえ、夜更かしはダメだよね。
続きは明日にするかぁ。
ここまで読んでみて、何だかこの違和感の正体が掴めそうな気もするんだけど‥‥でも、この話を知っていた訳じゃないから、やっぱり誰かに勧められたのかな?
それも明日ちゃんと考えようかな‥‥。