第一章 エピローグ
私たちは、そのまま並んで芝生に腰を下ろしていた。
すっかり日が落ちて夜空へと変わった王都は、無数のランタンや街灯がキラキラと輝き、お祭りの夜の宴が賑やかに続いている。
ルーカスの大きくて温かい手が、私の手をそっと握っていた。ずっと幼なじみだった彼と、恋人としてこうして手を繋いでいることが少し照れくさくて、けれどたまらなく幸せで、私たちは時折顔を見合わせては、ふふっと笑い合っていた。
その時だった。
――ヒュルルルル……ドンッ!!
突然、王都の夜空をつんざくような大きな音が響いた。
驚いて顔を上げると、満天の星空を覆い隠すほどの、巨大で色鮮やかな大輪の花火が打ち上がっていた。
「わあ……っ、花火!」
赤、青、金。次々と夜空に咲き乱れる光の華に、広場にいる民衆たちの大歓声がここまで聞こえてくる。
「すごいな。建国記念祭で花火が上がるなんて、予定にあったかな……?」
目を丸くして夜空を見上げているルーカスを見て、私はふと、ある記憶を思い出した。
「ふふっ、そういえば、テオ様が頭を抱えて愚痴っていたのよ」
「え?アシュトン様が?」
「ええ。殿下がロザリアのために、建国記念祭でサプライズ花火を上げたいと無茶を言い出して、予算の計算が大変なんだ……って」
その言葉に、ルーカスも呆れたように笑った。
「なるほど。殿下のウィンザー様への愛の大きさは、間違いなく本物だね」
「ええ、本当に。ロザリア、きっと今頃すごく喜んでいるわ」
特等席である王宮のバルコニーで、夜空を見上げて微笑む親友の顔を思い浮かべる。彼女にはいつも背中を押してもらっていたから、明日、一番に感謝を伝えに行こう。
ドンッ、と再び大きな花火が上がり、私たちの顔を明るく照らした。
ルーカスが繋いでいた手にきゅっと力を込め、優しい眼差しで私を見つめてくる。私も彼を見つめ返し、そっと肩を寄せ合った。
リュシアン殿下のような、夜空を彩る派手で大きなプレゼントはできないかもしれない。
けれど、私とルーカスの手の中には、互いを想い合う小さな白い花が握られている。
幼い頃から変わらず、けれど確かに形を変えた幸せが、すずらんの花のように静かに咲き誇っていた。
リリアとルーカスがついに...!第一章完結です!ここまでお読みいただきありがとうございました。
続きもゆっくり書いていきますので、よろしければ★やリアクションで応援いただけると嬉しいです。引き続き宜しくお願いします!




