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時雨の焼印【通常盤】  作者: 太幽


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23/28

あとがき

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後書き


これは、遠い昔に語られた、一つの物語である。


桃から生まれた英雄の伝説。

鬼と呼ばれた者たちの真実。

影で歴史を動かした者たちの決断。

そして、一匹の犬が見た戦場と平和。


この物語に登場する人々の多くは、歴史の表舞台に名前を残すことはなかった。

けれど、彼らは確かに生きていた。笑い、泣き、愛し、そして戦った。

彼らの真実は、やがて人々の語りの中で形を変え、御伽話となり、教科書に載る物語となっていった。


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桃太郎は、大きな桃から生まれた元気な少年として語り継がれた。

鬼は、悪さをする恐ろしい妖怪として描かれた。

犬、猿、雉は、桃太郎に従う家来となった。

鬼ヶ島から持ち帰ったのは、金銀財宝ということになった。


それが悪いわけではない。

人々は、平和な世を生きるために、物語を必要とした。

真実があまりに悲しすぎるとき、人はそれを美しい物語に変えることで、心の安らぎを得るのだから。


---


しかし、この物語を読んだあなたは知っている。

真実の姿を。

彼らが生きた、血と泥と、それでもなお光を求めた日々を。


飢饉に苦しみ、それでも生きようとした人々。

自ら「鬼」となることを選び、大切なものを守ろうとした者たち。

影で歴史を動かしながら、ただ愛する者の笑顔だけを願った英雄たち。


---


時は流れ、戦乱の世は終わった。

今、この国には平和がある。

その平和の礎には、名もなき多くの人々の苦悩と決断があったことを、どうか忘れないでほしい。


そして——。


もしあなたがどこかで、素朴な甘さのきび団子に出会ったなら。

その団子に「時雨」という焼印が押してあったなら。

あるいは、満開の桜の下で、一匹の白い犬を見かけたなら。


どうか、ほんの少しだけでいい。

彼らのことを思い出してほしい。

遠い日に、この国のどこかで、必死に生きた人々がいたことを。


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この物語が、あなたの心に、いつまでも消えない小さな安堵の光を灯し続けることを願って。


――「安堵の光」より


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【後書き・完結】


次回予告


作者の作成秘話

何故この物語を書こうと思ったのか。

その全貌が明らかに。


卒園証書を書いていたある日、ふと頭をよぎった桃太郎への違和感。

歴史嫌いの著者が、なぜ戦国時代を舞台にした大作を書くに至ったのか。

吃音を乗り越え、言葉の引き出しを増やし続けた日々。

書道家・歌手・小説家――三つの顔を持つ「太幽」の、創作の裏側に迫る。


特別編「太幽・作成秘話」に続く。


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