とんでもないの、つりあげちゃった!!!
「……なぁ。」
だからこそ、俺はマフィンに言おうとすると。
「……あなたが思っている通りだわ。嫌な予感がするわね。」
「!」
察される。
マフィンもまた、胸騒ぎに嫌な予感を覚えている様子。深刻な表情をした。
「……その、何だか、方針が決まっている所悪いけど……。」
「いいわ。行きましょう。」
「!あ、ありがとう。」
嫌な予感がするから、俺はつい助けに行きたくなる。
ただ、方針が決まっている状態でいうのも、悪く思い、言葉は出しづらい。
が、マフィンは拒否することもない。同意をして。
そのことに俺は、礼を言う。
また、他、皆を見るなら、否定を見せることはない。
そうした方がいいと、頷きを見せていた。
俺は頷きで応じるなら、急遽転換して。
その人たちがいる場所まで向かおうと駆け出した。
情報では、確か艦尾の方にいると記憶している。
だが、肝心のその場所への道はよく覚えていない。
マフィンがアドバイスすることには、下手に艦内で迷子になるぐらいなら。
一旦飛行甲板に出て、艦尾を目指すことにした。
朝食の前に通った道を引き返し、階段を上がって。
出るなら、朝日が先ほどより昇った陽光に照らされる飛行甲板。
また、通信の通り、非常事態に集まったであろう人だかりが少し見受けられ。
一様に艦尾を見ては、色々と言っている様子。
「?!さっきの……!」
俺たちの登場に、最初に気付いたのは。
ウィングビットの調整をしていた、甲板での作業員。意外そうな顔を向けてくる。
「その……。」
俺は、何よりも、何が起きたのか気になり。息を吐きながら。
「何が、起きたんですか?」
と、聞いた。
耳にしたその作業員は、やや神妙な顔をする。
「……これは、運がいいと言っていいのやら、悪いと言っていいのやら、正直迷うことだが……。」
「……?」
ぽつりぽつり、言葉を紡ぎ始めるも、言いにくそうな感じで。
俺は、首を傾げながら聞き入る。
「艦尾でちょっとした撤去作業をやっている連中がだな、とんでもない物を、釣り竿に引っ掛けちまってな。ああ、それも、ほぼ完全なマキナをだ。だから、ちょっとした悶着が起きてんのさ。」
「!」
その続きには、少々想像しがたいが。
どうも釣り針にマキナが引っ掛かったらしく、今引いている状態と。
それも、完全な状態であるとのことで。
それだけ聞くなら、大したことがなさそうだが。
見える懸念は、それだけじゃなさそうだ。
「……引き揚げるのが、難しいのですか?」
つい、聞いてみた。
「いや、それ程でもない、それだけならな。今向かっているヘリぐらいなら、マキナの一機ぐらい釣り上げるのは容易さ。だが、問題は、活性を持っていることが問題なのさ。」
「!」
「……引き揚げたその瞬間に、動き出すやもしれん。だが、放置するわけにもいかないってところだ。」
「……。」
答えにようやく、懸念の理由を知る。
活性を持っているということは、起動状態であり。
つまり、いつでも行動できる状態ということだ。
もし、引き揚げたその瞬間に動き出したなら。
いくら軍艦といえども、対処できるかどうか。
「!うっ!」
やがて、救援を聞きつけたであろうヘリが、風と。
また起こされた風に乗り、散る海の水を舞わせて駆け付ける。
つい、風圧とそれに、一瞬目を瞑るが、それでも見開いて、見届ける。
皆も、そうしては、また、どういうことかを見るためにも、艦尾へ向かう。
飛行甲板から下を覗き込めば。
ヘリは轟音を立てながら、下に独特の円を描きながら飛行していて。
かつ、機体の下部から、ワイヤーを真っ直ぐ垂らしていく。
また、視線を少しずらすなら、丁度、艦尾を壁にして。
添うように設けられた階段の上に、何人かいて。
その内の一人は、手に竿を持ち。
他は、その人を支えて引っ張っている様子が伺えた。
「ぐぇぇ!!引っ張られる!!でっかいの引っ掛けちまった!」
《全く運のいい男だな!!とんでもない物を引っ掛けやがって!》
「へへへっ!だろうっ?」
「……。」
必死ではあるが、そうであっても焦りは見せてはいない。
軽く笑みを浮かべては、ヘリの隊員さんと通信している。
「そっちも今から、引っ掛けて釣り上げるんだろ?お互い様じゃねぇか、運のよさって奴は!へへへっ!」
《一緒にするな!それに、悪い知らせだ!こいつはほぼ完全なマキナだ!それがどういう意味か分かるか?》
「?!って、残骸かと思ったぞ!!!おいおいおい!もしかして、釣り上げたら、こちとら攻撃されちまうってか?!」
《可能性がある!釣り上げて、甲板を穴だらけにしたら、始末書で済むならいいのだがな。》
「……勘弁願うぜ……。」
必死に引っ張りながらだが、会話は忘れないでいる。
ニュースを聞き、軽く焦りはしていた。
「おい!じゃあ、攻撃してぶっ壊すってのは?」
《小火器じゃ無理だ。こいつは装甲がある。爆弾も期待しない方がいい。生憎持っている爆弾も、母艦にある爆弾も、小規模な破壊では済まない物ばかりでな。使うと、母艦まで被害を受けかねん。近くの護衛艦の主砲でも無理だ。》
「八方塞がりか……。」
《……レーセを高出力で使うなら、チャンスはある。もっとも、下のこいつに乗っかってやる、イカレ野郎が必要だがな。》
「!!」
解決策を模索している様子だ。
攻撃の類は、効果はあるが、副作用もあるようで、迂闊にはできない様子。
しかし、最後は最も効果のある方法を言ってはきた。レーセを使うやり方。
下の隊員さんは、聞いてあんまり気分はよくない様子。
もちろんそれは、その残骸に飛び乗って。
破壊するものである以上、リスクが伴うということで。
おいそれと、選択できるものじゃない。
だが俺は、聞いて目を見開いた。
それを可能にできるのは、そんなことをやってのけそうなのは、多分俺だ。
リスクはあるが。
そうであっても、このまま見逃すのも悪く思う。
「……俺が行く。」
「「?!」」
ならば俺が行くと、進み出た。
それは、その場にいる全員をぎょっとさせる。
「……って大和!いきなり何を言い出すのよ。寝ぼけているの?」
その中で口を出すのは、マフィンで。やや叱りつけるような言い方だ。
なお、俺は首を横に振って、大丈夫と示す。
「なら、どうして?……まあ、あなたの性格なら、確かに言いそうだわ。」
「!」
そうしたなら、マフィンは呆れて。
なお、前の、帝国へ行く時とは違い、取り乱すということはなく、冷静。
「あなた、危ないって分かっていてやるつもりでしょうね?多分、もちろん、と言いそうだけどね。」
「!見抜かれてた?」
注意として、マフィンは言ってくる上に。
こちらの考えも先に見抜かれ、言われてしまう。
思わず声を上げてしまうが、マフィンは呆れに呆れては。
近付いて、俺を指で突いてくる。
「大体分かるわよ。でも、危ないってことを私が許可すると思う?」
「う……。」
加えて、威圧だ。
マフィンの性格なら、イエスと言うわけもない、そんな様子。
俺は、つい、たじろいでしまう。
前もそうだったが、簡単には頭を縦には振ってくれなかった。
心配でしょうがない。まして、前の場合、相手は帝国。
その当時、たった一人で覆せるなどとも、思われてはいなかった。
かつ、俺とアビーだけでは、不安でもあったと。
「!ん?」
と、ふとそこで思うことが一つ。
俺は、たじろいだ姿から、一転、冷静にマフィンを見つめる形になる。
「?!や、大和?!な、何よ!」
マフィンは、俺が一転してそんな顔をして見つめるものだから。
逆に驚いてしまう。
「ええとさマフィン。前もあったけど、それはさ、アビーとたった二人で、というのが原因だよね?でも、今は皆がいるじゃないか。」
「?!な、え……?!」
俺はまるで、諭すように言い始めて。
マフィンは、よく分からず、混乱を見せていた。
「だからさ……。」
そっと、俺は笑みを浮かべて、不安拭い捨てるように。
「マフィンが手伝ってくれたら、できると思う。それに、ここにいる人たちも手伝ってくれるさ!」
希望を込めたことを、言い出した。
「えぇぇぇ?!」
一方のマフィンは、俺が一転してから、何を言っているのか分からず。
混乱している様子。目まで、回しそうだ。
「?!今俺たちも含めて?!」
「マジでか?!」
傍ら、半ばギャラリー状態の隊員さんたちも、気付き。
意外そうな顔をした。
《ほう、早速名乗りを上げた、イカレ野郎がいたようだ。それも、俺たちが知る中で、一番のイカレ野郎だ。》
「ウィザードが出るって?!マジか!!応援しないと!!」
「くぅぅ!こういう時に、前に出るってか!いいね!」
「安心した!それにウィザード!!海に落ちても大丈夫だ!俺たちが丁寧に助けてやるぜ!」
《そのセリフは俺たちのだ。鍛え上げた技術で、丁重に救出してやる。》
「!」
それは、ヘリの通信が一転させる。
ヘリの隊員さんの一言に、場の人たちは翻って、観戦するような雰囲気に。
挙句、応援までしてきた。
「……。」
ただ、内容は俺が、このまま海に落ちること前提で言っていて。
なお、苦笑しか湧かない。
マフィンは目を回しているが、その湧きたつ歓声に我に返る。
「……ぅぅぅ~……。」
具合が悪いか、軽く頭を押さえては、唸る。
「はぁああああああ……。」
やがて、気分を整えるためもあるが、観念に息を吐いた。
顔をさっと上げては、いつもの冷静なマフィンだ。
「……まあ、別に命に別条がないなら、構わないし、それに、別に私たちだけじゃないしね。いざとなったら、隊員さんたちも頑張ってくれるなら、やるしかないってことね。」
「!」
マフィンは、周囲に圧されて、観念し、俺の意見に同意を示してくれる。
「……やりましょう。それで、私は何をしたらいいの?」
「!マフィン。……そうだね。」
ならば早速と、マフィンは聞いてきた。
俺は、軽く考えて。
「スフィアを使って、足場を作って。俺がその場所を、台座にして、飛んでいくから!」
「?!……ふぅ。大胆な発想ね。分かったわ。」
紡ぐことは、スフィアを使って、足場を作ることだ。
マフィンは聞いて、またまた大胆なと、呆れ返る。
で、俺が考えたことは、スフィアによるフォトンシールドを発生させて。
その上を俺が、ジャンプしていく、というものだ
マフィンの了解目にして、こちらも頷くなら。
「頼むよ!」
合図に、そう言った。
マフィンは、さっとスフィアを3個ほど取り出すなら。
艦尾から海中目掛けて放り投げる。
スフィアたちは輝き、宙を浮き。
その3個のスフィアをそれぞれ頂点にして、光の膜をもって、三角形を描く。
海面と水平に動かすなら、そこには光の膜による台座が、形成された。




