おやすみにきぼうのむこう!
アビーは自信がないと言い。
知ったるマフィンは、重ねるように納得の言葉を掛けてきた。
俺は、アビーらしいけどねと、苦笑する。
「にひっ!とんでもないこと考えるなぁ!まあ、豊富にあるのは事実だがよ、やろうにもまず、サルベージ船がないとなぁ~……。あ、でもまだ、迂闊に出歩けるわけでもねーか、情勢的に。」
「?それはまた、何で?」
ソードは、アビーの様子に感心しながらも、冷静にしていて。
また、気になる言葉も言っていた。
俺はつい、聞いてしまう。
「?分かんねぇ?……いやよ?帝国がぶっ潰れたといってもよ、まだ、情勢不安定なんだぜ?んな、サルベージ船みたいな作業船が、安全に航海できるかっての。」
「!……あぁ……。なるほどね。」
気になる答えは。
情勢不安なのだから。
そんな呑気にサルベージ船のような作業船が、航行できるものじゃないとの。
何が起こるか分からないということか。
軍艦だから、おいそれと狙われやしないが。
そうでない場合は、何が来るか、分からないということらしい。
場合によっては、それこそ海賊が出て襲われる可能性もあり。
あるいは、残党軍が襲撃する可能性もある、と。
俺は、納得して、頷いた。
「まぁでも。」
「!」
「平和になったら、そんなことも産業になるかな。そんときゃ、この海域も賑やかになるだろうぜ?」
「……だね。」
最後、締め括りは、希望のあることで。
希望を思って、ソードは屈託ない笑みを浮かべた。
もし、このまま平和になっていったなら。
きっと今いる海域は、色々な船が行き交う、賑やかな場所になるだろう。
そうなったら、この海域付近の島々といい。
あるいは、地域といい、活気に満ち溢れて、平和を謳歌する。
もうその時には、戦争があったなんて、感じられないほどかもしれない。
俺も想像したら、微笑ましく思って笑みを浮かべた。
「ん?!大和っちどったの?聞かして?」
「!」
俺がそんな表情をするものだから、ソードはつい気になってしまい、聞いてきた。
俺ははっとするなら。
「……まあ、大したことじゃないけど……。」
言おうとするも、淀むものの。
しかし、大したことじゃなく。
また、言って後悔することでもないとするなら、先を紡ぐ。
「平和になったら、この海域どうなるかなって。」
「!」
耳にしたソードは、一瞬びっくりするものの、次にはにんまりと笑う。
「にひひっ!らしいな!……そうなったら、どうなんだろ?……あ!」
「?」
笑いながら、同じく想像したものの。
途中、何かに気付いてソードは言葉を区切ってしまう。
どうしたのか、首を傾げると。
「……平和になっちったら、俺どーなんだろ?どーしよ?」
「……。」
ソードは言って、目を見開き慌てだす。
俺は、言葉が出せないでいるが。
そう言えば、と思うことがある。
戦争は元より。
もし、もっと平和になったらソードはどのような生活をするのだろうか?
という疑問で。
「……しゃーない。平和になったら、旅客機のパイロットでもやっか!」
「……切り替えはやっ!!」
疑問を口にする前に、ソードは自分で解決してしまう。
おまけに、慌てふためく様子も、すぐに終わり。
思わず、驚いてしまう。
それはそうと、口にしたことは、何だか意外そうなもの。
旅客機のパイロットとか……。
耳にした後、次第に俺は不安になる。
戦闘機をブイブイ言わせる、と形容するほどの荒い操縦のソードが。
果たして無事こなせるとは、……ちょっと想像できない。
「ただただ安全運航じゃ、退屈しちまう!んでよ!時折、くるっと回転したりループしたりなんかしちゃったり!退屈しねーぜ!!にひひっ!」
「……。」
平和になったら何をするということで。
ソードは言ったならば、内容に俺はまた、閉口してしまう。
本人は楽しそうに笑うが、聞いていて俺は、不安が的中と感じて。
想像すると、……最悪な旅路になりそう。
あと、テーマパークじゃないぞ。
もちろん、旅客機を知っている俺は、その様子を想像するなら。
気分が悪くなりそうだ。
視界が回転して、嫌な圧力が体を襲う。
外を見れば、きっと一目瞭然。
恐ろしい回転を見せて、海と空が視界内でぐるりと巡る。
場合によっては、トランクが開いて。
荷物が縦横無尽に舞う様子も、想像できて、正直気分のいいものじゃない。
「……あなたね……。お客さんを殺す気?なら私は、あなたがパイロットだと知ったら、意地でも飛び降りるわ……。」
「えーなんでー!!」
マフィンも同意見のようだ、呆れながらも注意していく。
もちろん、言われた本人は、何でとばっかり。
その様子は、マフィンを余計に呆れさせる。
「!!だ、ダメですよ!!そんなことしちゃ!!お、お客さんが可哀想!」
ウィッチさんも追従して、ソードを軽く責める。
やはり、こちらも、想像して気分が悪そうだ。
「ちぇー……。って、まあ、冗談だよ冗談!どうせまだ、平和とは言い切れないんだから、さ。当面俺ぁこのままよ!」
「……ほっ。」
責められてソードは、つまらなさそうにするが、俺は内心、安堵する。
また、ソード自体も言っているように、まだ平和ではないという状態で。
当面このままだということだ。
それはまだ、先のこと。
「……ま、平和になったら、考えるか!」
まだ先だから、その時考える、ということでソードは結論した。
「そうですよ。まだまだなんですから。」
ウィッチさんも言ってやる。
「……へーい。」
言われたなら、ソードは生返事。
そも、退屈そうでもあった。
「……っと!平和になったら何やるってのは、これきりにして、お次は何か話題がある?」
退屈だからこそと、今度は次に何をしようかと言ってきた。
切り替えの早いことで、先ほども驚いたが、ここでも驚きそうだ。
「!……あ、あの……っ!」
「!」
話が皆に振られた中、手を上げたのは意外な人物、ウィッチさんで。
ソードも他、皆もつい注目している。
「……時間、結構過ぎてますよ。そろそろ寝ないと……。」
「……あ……。」
ウィッチさんが言うことには、夜の時間が結構過ぎているとのことで。
現に、示すように、自分の腕をまくって、腕時計を見せる。
見せられた腕時計は、精巧な物のようで。
まさに、戦闘機乗りには打ってつけという代物。
ただ、文字盤が小さく、正確な時刻は俺からは読めない。
ソードは、だとするならばと。
何だか嫌な予感がしているといった具合の様子であり。
「!」
俺の方も、気付くなら、さっと盾を招き寄せる。
手を動かしたなら、盾は浮遊して来て。
「?!」
「?!な、何だぁ?!そりゃ……?」
「!」
二人は、その様子に驚いてしまう。
……もしかしたら、二人はまだ、見たことがないのかもしれないな。
それであっても、俺は、不思議そうに首を傾げる。
「……ええと、盾……だよ。あの時、……ほら、例の帝国のさ、巨大な壁を攻略する時にも付けていたんだ。守ってくれていたのさ。見た目は、その、小さくて頼りなさそうだけど。」
「……。」
俺は、とりあえず説明をしておく。
二人は空いた口が塞がらない様子で、何も言えないでいる。
「……。」
やや、どうしようかと思ってしまうものの。
何よりも先に、俺はやろうとしたことを実行する。
「……現在の時刻は?」
それは、現在時刻である。聞いてみた。
《現在、夜11時30分を回りました。なお、周辺海域にスフィアが点在している影響により、電波時計の受信に多少の影響が確認されます。》
盾は、時間を告げた。
「「しゃべったぁー?!」」
「!」
盾がそう言ったなら、耳にした皆以上に。
ソードとウィッチさんの二人は、開いた口から、驚愕した様子ながらも。
声を出した。
「……そ、その。そう言う物なんだ。確か、マキナの類だと、いう、説明で、ね、ねぇ……。」
勢いに、たどたどしくなりながらも。
俺は言いながら、視線をマフィンに移して、軽くフォローを求める。
マフィンは、俺が言った通りとして、頷きを見せた。
「す、すっげぇー!!」
「!!」
やがてその二人の内、ソードは顔にときめきの色を見せては、言ってきた。
俺は、いきなり言われたこともあって、身を退いてしまう。
「何だそれー!!どこで売ってた?!……ほ、他に、何ができる?!」
「!」
ときめきの勢いに任せて、ソードはあれこれ聞いてきた。
俺は俺で、困った様子を見せてしまう。
「……。」
誰かに助けを求めようとも思ったが。
流石にこれは、俺が招いたことである以上、やむを得ないと、致し方なく思う。
「……ええと。」
なので、簡単に説明をしようと軽く言い始め。
「……い、一応、小さいけど、強力なフォトンシールドを張れるんだ。他には単独で、多数の光弾を放出したりできる、……かな?その、思ったより強力だから、……ね?あと、売り物じゃなくて、最初から持ってた。」
「へぇ!……にしても、最初から持っていたなんて、またまた不思議なものだなぁ。大和っち、結構ミステリアスだな!にひひっ!ますます気に入った!」
説明したならば、ソードは感心して、目を輝かせている。
さらに気に入られた。
ソードはにやりと笑っていて。
釣られて、なお、苦笑だが俺は返した。
「……っと。長話し過ぎて、寝坊したりしたら、ガントにどやされる!!」
「!」
何か続けようにしても、時間が時間なだけに、お暇しないといけないと。
我に返り、この話題は区切ってしまう。
また、ウィッチさんもまた、我に返って。
「す、すみません!……私も、ここで失礼します。寝ないと……。」
「!」
言うことは、それこそ、今日の日はさようならという言葉のようで。
気付いたなら、立ち上がり、服装を整えて。
「!っと、俺もっと!」
慌ててソードも立ち上がり、荒っぽく服をはたいたなら、皆に向き直る。
「お、遅くまですみません!今日はこれで失礼いたします!その、また、明日よろしくお願いしますね!」
「いやぁ!長居し過ぎた!すまねぇ!んじゃまた!!」
「!」
二人はそう言って、頭を下げてくる。
こちらも、こちらで、慌てふためく様子に、呆気にとられながらも。
さよならに頭を下げて。
「……ええと。」
「こちらこそ、楽しかったわ。その、お休みなさい。」
「……マフィンに同じ。お休み!」
「お、おう!!またな!」
「気を付けるんだよ!」
「ソードお兄ちゃん、ウィッチお姉ちゃん!その、ありがとう!お休み!」
「おやすみー!」
頭を下げたなら、それぞれ口々に、お休みと言って、二人を見送った。




