おやすみ、おはよう!!
俺たちの見送りを見て、二人は互いに頷いて、さっと素早く、駆け出して。
そうであっても、扉を丁寧に開いては。
また振り返って一礼し、やがて、素早く姿を消す。
流石軍人だけあってか、軽やかで速いステップで廊下を駆け抜けていった。
残響だけが残り、遠退き、聞こえなくなる。
そうしたなら、急に水を打ったような静けさが、この場に漂った。
「「……。」」
ふと訪れた、静寂に、誰も何も言えないでいる。何の言葉を掛けよう。
「飽きないわね、あの人たち。」
「!……だね。」
「ねー!また来るかな?」
「……多分来るんじゃない?」
一石を投じたのは、マフィンで。
表情はどこか、楽しげにしていることから。
あの二人の様子が、気に入ったようだ。
俺は、確かにと同意し、アビーはまた来るかなと、期待を込めて言う。
マフィンは、特に予感はしていないが。
期待を壊すことはせずに、適当ながらも呟いた。
その言葉だけでも。
たとえ適当でも、アビーは嬉しく、にっこりと予感に微笑みを浮かべる。
「……っと。時間が結構遅いって感じよね。」
「!あ、そうだった。」
さらに、思い出したようにマフィンが呟くことには。
もう時間も遅いということで。
思い出しにこちらもつい、声を上げてしまう。
「あらら。そうだねー……。」
「うぉ。忘れてた。」
エルザおばさんやレオおじさんもまた、そう言えばという顔をする。
「……その、退屈しのぎのお話も、これくらいにしましょうか?そろそろ寝ないと迷惑じゃないかしらね?」
「……う~ん。迷惑かどうかは分からないけど、まあ、夜中になると静かにしていないと、何だか寝ている人に申し訳ないような……?」
マフィンは続けては、懸念を。
俺は、どうなのかは知らないと首を傾げながらも。
懸念に複雑になりながら、疑問を呟く。
「……ま、ともかく、私たちもお暇しましょ。そもそも、今日は今日で色々、体験したし。感じていないけど、多分疲れている可能性もあるわ。」
「……そう、か……。」
今日のこと省みては、マフィンは言ってくる。
俺は、実感はないが、思い返していて。
やれ、奇想天外な発想をして、結果空母に乗ったり。
艦内を案内された後は。
レクリエーションよろしく、戦闘機の仮想体験をしたりと。
さらには、ソードやウィッチさんだけなく。
艦内の色々な人との交流もあり。
そうなれば、想像以上に疲労していてもおかしくはない。
実感ないけど。
まあ、時間が時間だしとも思っている。
いつも、この時間には確か、寝ていたと思う。
「うぇ~?あたしは大丈夫だよ!まだまだ、大和ちゃんといたい!」
反発はアビーがして。やや、むくれっ面だ。
「我儘言わない!ほら、戻るわよ。そもそも、あなたいつも一緒にいるでしょうが。」
「うぅ~……。」
マフィンは一蹴する。
項垂れるものの、説得力もあることから、渋々従うしかないと。
アビーの様子から伺えた。
「……うぅ~。お休みー……。」
「!」
渋々従うがために、物足りなさを感じさせる物言いで。
アビーは眠る前の挨拶を、他の誰よりも先にしてきた。
その言葉に一瞬ぎょっとするが。
だが挨拶なのだと、すぐに元に戻す。
項垂れるアビーに掛ける言葉として相応しいか分からないが。
手向けで、笑顔を添える。
「……アビー!別に悲しそうにしないで、明日また会えるよ!……そも、隣の部屋だしさ。その、お休み!」
「!」
言ってやったら、アビーは耳をピンと立てて。
こちらも笑顔、それも、アビーらしい笑顔で返してきて。
「うん!」
最後は、頷きも付け加える。
「ふぅ。大和のことはよく聞くのね……。ま、いいわ。私からも、お休みなさい。また、明日。」
アビーの様子に、呆れながら言い、最後は挨拶をしてきた。
「それじゃ、あたしもだね。んじゃ、お休み!」
エルザおばさんも言った。
エルザおばさんが言い終えたなら、三人とも立ち、服を整えて。
入り口の扉に進み、また、振り返っては挨拶に軽く、頭を下げて。
開かれた通路に進み出る時には、手を振って自室へ戻っていった。
俺や、レオおじさん、シンは、同じく手を振って送り。
扉が、ゆっくりと音を立てて閉まるなら、またまた、静寂が部屋を包む。
「……。」
手をゆっくり降ろしたものの、言葉は思いつかず。
が、寂しさあれど、残る余韻に、つい笑みが零れてしまう。
「ふぁ~あ。言われたら眠くなっちまった。」
レオおじさんが大欠伸しながら言ってくる。静寂に、言葉が反響して。
レオおじさんの大欠伸に、俺は頷きを返す。
また、そのうえで、シンを見ると。
「!」
最初、驚きに体をピクンと跳ねたが。
「……僕も、……眠いかも。」
「……うん。そうだね。まあ、今日は今日で、色々あったからね。無理もないよね。」
「……。」
シンの言葉に、俺は理解を示し、頷いて。
ただ、次に何も続かないのは、やはりもう、疲労が来ているからだろうか。
「んじゃ!寝ますか!お休み!あ、電気消してな。」
「!」
フォローみたいな形で、レオおじさんが言うことは、やはり眠る前の挨拶。
レオおじさんは言って、また欠伸、立ち上がって、体を伸ばすなら。
ベッドをよじ上り、一番上に寝転がる。
俺はまた、シンに向き直るなら。
「まあ。回りくどいことはこれまでにして、こちらも寝るか!お休み!」
「!うん!お休み!」
やがてこの場には、俺とシンだけになってしまうが。
これ以上この場に長居するのも何だか余計に寂しくなる、俺はお休みと告げた。
シンもまた気付き、同じように返す。
そうして、二人して立ち上がるなら、同じように伸びをして、ベッドへ。
シンが一番下の段で、俺は、中央。
狭いながらも、寝るには最低限必要な物は揃っている。
バックパックを優しく、枕の側に置いて、横になる。後は、電気を消すだけ。
またまた立ち上がるのも億劫で。
「……。」
俺は、優しく手を動かすなら、スフィアが一つ出て、さっと移動する。
何だか横着みたいだが、仕方ない。
スフィアを動かし、スイッチをと探すなら、扉のすぐ横だ。
そっと、撫でるように動かしたなら、部屋中の明かりは消えて。
残るのは、暖炉で燻る残り火のような明かりの、スフィアの仄かな明かり。
そっと、引き寄せるように動かしたなら、やがてこちらの手に戻って来た。
「……。」
手にして、目を瞑る前にふと思うことは。
マフィンがやったスフィアの使い方であり。
今、スフィアをこつんと当てただけだが。
これをより強力にしたなら、確かに攻撃ができるなと。
まだまだのようだと、思い返しては、目を瞑った。
「!」
やがてすぐ、と思ってしまうほどのタイミングで、途端艦内中に号令が。
加えて、時を知らせるか、ラッパのリズミカルな音色も響き渡る。
なぜ?今しがた寝入る前だぞと。
つい起き掛けに、苛立ちに近いものを感じてしまうが。
《おはようございます。只今の時刻、午前6時を回りました。》
「!!もう、か?」
《睡眠時間、6時間は越えています。不足はしていますが、身体活動への影響は少ないです。ですが、続けないようにしてください。影響は蓄積しますので、寝不足にならないよう、生活習慣を改めることをお勧めします。》
「……。」
朝一番に声を掛けてくれたのは、バックパック内の盾であり、時間を伝えてくる。
ラッパの音色は、嘘ではないようで、微かの苛立ちは、やはり消え失せる。
また、こちらの睡眠時間をモニターしていたのか、助言も加えて。
なお、実感がないため、俺は一体どれぐらい寝ていたのか、まだ疑問のままだ。
……もしかしたら、目を瞑ったら、そのまま眠ってしまっていたのか。
どうも、実感できないほど、疲れていたと結論できるようだ。
朝一番に、俺は驚きを抱いたよ。
それにしても、とついでに思うことは。
睡眠時間もモニターしていたとは。
昨日になると思うが、マフィンが言った。
何でもできる十徳盾と、本当に言いたくなる。
「……。」
そっと、耳を澄ませて、確かめることには。
号令の後に、通路や、他色々な所が騒がしいという感じで。
先の、いや、もう昨日か。
ソードやウィッチさんの去り際以上の足音が響いてきた。
鎮まり返っていた艦船が、起床の号令と共に騒がしく。
まさに、大きな生き物のように、一斉に起き上がる。そう形容する。
「……。」
黙して、その様子を感じていると。
ふと、俺の下や上からもぞもぞ動く音まで聞こえて。
「……ぬぅ?もう、朝?」
「……ふぇ……?」
寝ぼけ声で、何か呟くなら、他の二人も起きたようだ。
「「……。」」
起きたのだが、二人とも何も喋らない。
こちらと同様、気配を探っているかのよう。
「……ん~……。起きるか。よっと!」
「!」
やがて、レオおじさんは言って、荒々しく梯子を伝い。
床に降りて、さらに、明かりも点けてくれる。
「!」
俺は、起きてはいたが、どうも陽の光が入っていないことから。
目が慣れていなくて、つい眩しさに目を瞑ってしまう。
「……。」
多少慣れて、ゆっくりと目を開く。
ちらりと視線をベッドから入り口に向ければ、レオおじさんと目が合う。
「!お?……いきなり起こしちまった?だったらすまねぇ!」
「!……いいえ、大丈夫です。」
口を開いて言うことには、いきなり起こしちゃったかと詫びて。
俺は、首を横に振って、大丈夫だと。
「……。」
レオおじさんは、ならよかったとして、頭をポリポリ掻いて。
「……おはよう!」
にぃっと笑って、朝の挨拶をした。
俺は、頷きを見せて、枕元にあるバックパックを手に。
体をベッドから出して降りるなら、服を整えて、改まっては頭を下げる。
「おはようございます。」
「!がはははっ!んなかしこまらんでも!」
言葉を添えたなら、豪快に笑って、そんなよそよそしくしなくてもいいぞと。
宥めてくる。
「……ま、大和らしいっちゃらしいな!」
結論としては、やっぱり、俺らしいとして、頭を掻きながら。
「う……ん!」
また、傍らシンもまた、蠢き、ベッドから体を出して来て。
眠い目を擦り、服を適当ながら整えては、こちらに歩み寄ってくる。
歩んできては、俺と同じように頭を下げて。
「おはようございます……。」
また、寝入りそうなほどのか細い声で、朝の挨拶をしてきた。
「うん!おはよう!」
「おう!おはよう!」
返答をレオおじさんと、俺はして、さらにレオおじさんは、笑みを浮かべて。
「……何か……朝なのに、結構、音が凄いね……。」
「!」
シンは、ぼんやりしながらも言うことは、この状況についてで。
俺は、まず頷き。




