おせっきょうにあきれにあびーのかぞく!
「……そう。ありがとう。」
抱えながらもマフィンは、お礼は述べる。
どこか、何か言いたげな様子で、まだ何か続けそう。
「……長くなりそうだったわ。簡単に夜が更けるわね。」
その通り続けて、呆れならがに言うことは。
それだけ長いなら、多分夜はすぐ更けてしまうと。
「にひひっ!」
言われた本人、ソードはだが。
それも褒められたと言わんばかりに、笑みを浮かべている。
これだけの列伝を思い付くのだから、自慢げであってもおかしくはないが。
マフィンは、顔を上げると、ジト目でソードを見据える。
「別に褒めてないわよ。勘違いしないでよね。」
察してはいて、勘違いしているとマフィンは指摘してきた。
それでも、ソードは笑みのまま。
「ふぅ……。」
その様子に、やはり呆れて。
「……あなた、結構能天気なのね。空いた時間に、あなたは妄想ばかりの様子だわね。」
「!何で分かるの?!」
「……。」
「……本気だったのね。」
ソードのそれにコメントをしたが、指摘にずばりとソードはまた、驚いて。
マフィンは、その反応に、もう何度目か、呆れてしまう。
俺は俺で聞いていて何も言えないが、マフィンと同様、呆れてきた。
「いやだってよ!こうさ、こういう時にネガティブだとよ、悪いものがついてきそうじゃん!ばあちゃんも言ってたぜ!お化けなんてのは、怖がりの所に現れるってやつ。あれと同じよ。だからポジティブにならないと!」
「あ!あたしもそれー!」
「だろー!」
マフィンへの反論はあって、ソードはさもそうであろうかと力説してくる。
自分の祖母から聞いた話やら踏まえて、根拠があるように。
傍ら、アビーが同調してきて、その乗りにソードはますます増長、鼻高々に。
「……あなたたちねぇ……。」
マフィンは見て、呆れ果てて頭を押さえてしまった。
……似た者同士と俺は思ってしまう。
「それによ!基本任務がないと暇だし?でもよ、こんな艦内、暇潰しのあてなんてほとんどないし。だったら、妄想ぐらいしかすることがないんだよ!まあ、おかげで、より楽しく可笑しく生きれるようになったぜ!」
「……そ、そう……。」
増長した挙句、ソードは鼻高々の様相そのまま、自慢げに言う。
ここまで膨らむと、流石の俺も引いてしまう。
とりあえず、艦内ですることが制限されていることもあって。
こう、妄想して何かする以外にはないと、いうことらしい。
そのおかげで、本が書けるレベルまで列伝を作り上げたというなら。
大したものだと思ってしまう。
「!!そ、ソードさん!!」
「?!んぉ?」
「!」
その、増長に増長したソードに、水を差すような勢いで言ってきたのは。
側で聞いていたウィッチさんで。
暴走を止めようとして、声を上げたみたいだ。
ソードは、中断されて、何事といった顔をして、向いた。
「そ、その……。よくガントさんが言ってるじゃないですか!暇な時間があるなら、教わったこと、復習しなさいって!そ、それでも余るなら、な、何かこうためになる勉強とか……!」
「うぇー?!ガントに言われたようにー?!やだー!」
「うぅぅ……。聞いてくれない~……。」
「……。」
ウィッチさんが言うことには。
ガントさんによく言われていることではあるがその時間に復習したり。
勉強したりするべきとのことであり。
納得の意見。
いくら軍人とて、不勉強というわけにもいかないと。
その、ガントさんが言うことに俺は、共感の意を表明する。
空き時間に腕に磨くことは、悪いことではない。
多分だけども。
そうして、ガントさんやシールドさんは腕を上げていったに違いない。
が、いくらこれらがよい心掛けであるとウィッチさんが言っても。
ソードは聞く耳持たず。
逆に不愉快そうに言っては、退けてしまった。
言われてウィッチさんは、しょげてしまう。
俺は、言い返しそうであっても。
だが、生来の気質とやらがあるならば、無理だと思い、何も言えない。
「……私からすれば、ウィッチさんが言うことを実践していた方が、身になると思うのだけれども。……言っても聞かなそうだし、これ以上何も言わないでおくわ。」
マフィンは聞いていて、ソードの態度を注意しようとさえ伺えたものの。
聞かなそうということで、諦めてしまう。
「うぇー?!堅苦しいのは俺に合わねーの!俺はやっぱり、こう、戦闘機をさブイブイ言わせて、暴れて回るのが性に合ってんの!」
「……もう、いいわ。私も疲れてきた……。」
反論がまだまだあり。
ソードは、らしい意見を言って。
確かにらしく。
ソードの言う通り、ソード自身がやることは。
戦闘機を無茶苦茶に動かすそれであり。
もちろん、それはシミュレーションルームで見ていた。
そんなソードが。
戦闘機から降りたら、読書をしたりする様子は、思い浮かばないでいる。
それでも、アドバイスはちゃんと聞いておくべきだと思うけれども。
マフィンが、諦めた通り、そこはもう、諦めるしかない。
マフィンはさらに、呆れに呆れて、疲れてしまったようだ。
溜息ついたなら、ゆっくり腰を下ろしてしまう。
「!!す、すみません!う、うちのソードさんが……!」
マフィンのその様子に、ふと気付いたウィッチさんは。
マフィンに頭を下げてきた。
真面目なウィッチさんは、まして。
チームである以上、他人事として一蹴するわけにもいかないといったところ。
「……いいのよ別に。私は、いいえ、私たちは今、お客さんみたいなものだからね、ほんと、あれこれ言える立場でもないし。気にしないで。単に、呟いただけのことですし。まあ、何となくだけれども、ええと、ウィッチさん?あなたの気苦労が知れた気がするわ。」
「!」
もちろんマフィンも、そのことは気付いている。
ウィッチさんの気持ちを汲み、気にしてないといったうえで。
さらに、今日この場で感じたことながら、ウィッチさんの気苦労も窺い知れたと。
ウィッチさんは、マフィンの言葉を耳にして何だか嬉しそう。
それは、共感してくれる人、それも、年も背格好も近い人であって。
仲間意識が芽生えたみたいで。
「あ、あの……っ!」
「?あら?」
「……ありがとございます。」
「……そう。いいわ。」
迷惑でなかったと許しを知り。
ウィッチさんは、たどたどしくも、お礼を言う。どこか、嬉しそうにして。
マフィンは、察して、頷きを返した。
「ねーねー!面白い話あるー?それとも、お話終わったの?」
「……。」
マフィンとウィッチさんが分かり合ったというタイミングで。
声を掛けてきたのは、アビーで。
こちらは、端から聞いていて、退屈していたようだ。
つまらなさそうな顔を見せていた。
アビーがそうするものだから、またまた呆れが出てしまう。
「そーだ!!別に、堅苦しい話なんて、ガントの話だけで十分だい!」
追従してきたのは、ソード。
先ほどから、マフィンとウィッチさんで、盛り上がっていたという話題の人物で。
やはりその通り、空気を読めない動きをする。
アビーと似て、こちらも退屈そうだ。
俺は、二人を見て、何とも言えない気持ちになる。
さっきからあれこれ言われていたにもかかわらず、ソードは応えていない様子で。
また、アビーは、暗にマフィンに言われていたにもかかわらず、と。
似た者同士か。
「あなたたちねぇ……。はぁ……。本当は兄妹じゃないの?」
マフィンもまた、その二人に向き直っては、呆れて言葉を失いそうに。
溜息交じりに言うことには、兄妹じゃないかと疑いであり。
言われた二人は。
「えー?違うよー!」
「えー?そうかー?」
「……。」
同時に、似たように返してきた。
表情も似たようなもので、困ったような、何とも言えない表情のよう。
この、シンクロする二人の姿に俺は、やっぱり何も言えない。
内心、二人が兄弟であるかもしれなという疑惑が、確信になりそう。
「それよそれ。それとも、同じ種族は、皆こうなの?」
マフィンは根拠として、指摘してきた。
「えー?そうー?でも、そうだったら、ウィッチちゃんとクーンちゃん、同じ種族なのに、全然違うよー?」
「……。」
「?!ひぅ?!」
アビーは困り顔で、両手まで使って、懸命に反論を述べてくる。
引き合いに出されたのは、ウィッチさんとクーンであり。
なお、引き合いに突然出されたため、ウィッチさんは思わず目を丸くして。
体を跳ねさせる。
マフィンは、アビーのその反論に珍しいといった表情を示した。
「……まあ、そりゃそうよね。何から何まで同じなのは、おかしいわ。」
続くコメントもまた、どことなく説得力があると言わんばかりで。
納得しかけている。
「……って。まあ、アビーの家族構成を知っていて、やれ兄妹だの何の言うのも、おかしい話だわ。」
「!」
挙句は、思い出したように紡ぐのは、アビーの家族構成についてであり。
俺は、その言葉にピンときて、思わずマフィンに注目してしまう。
「?あら、私変な話でもした?」
そんなことをするなら、当然マフィンは意外そうな顔をする。
「いや。アビーの家族についてだけど……。」
さて、気になったと俺は、その言葉を紡ぐ。
「!」
マフィンはまた、意外そうな顔を示す。
そうして、アビーを見るが、アビーはただ、首を傾げるばかりであり。
もう一度、こちらに向くなら。
「……アビーの家族については、その様子じゃ知らないわね?」
「あ、ああ。」
気付いたことを聞いてきた。俺は、頷く。
「アビーから聞いたこともない?」
「ああ。」
「……。」
さらに質問を被せてくるも、やはり聞いたことないと俺は、頷く。
マフィンは、深刻そうな顔をして、アビーと俺の表情を行き来する。
「……ふぅ……。」
「!」
何か心に決めるみたいに、溜息をつくなら。
話し出すつもりだ、俺は聞き入るように耳を澄ます。
「アビーの家族って、〝行方不明〟なのよ。」
「!!」
そこから語られる第一声は、行方不明であり。
思わず俺は、息を呑んだ。
そううえで、アビーをつい見てしまうが、……なぜだか他人事のようで。
今度は俺は、……本当なのかとさえ、疑ってしまう。




