やまとちゃんれつでん?
「!」
褒められたと感じたなら、俺はまた、顔を赤くしてしまい、顔を逸らす。
「?あれぇ?」
アビーは、やっぱりそこは鈍感、首を傾げるだけだ。
「……能天気なアビーだこと。まあ、そうじゃなかったら、嵐が来るわね。」
俺とアビーのやり取り、側で見ていたマフィンはまた、呆れたように一言。
そうであっても、アビーはやはり、首を傾げるばかりだ。
「ふぅ。やれやれ!大和ちゃんの所、また賑やかだねぇ!」
「!」
「あら。」
アビーの登場から遅れて、今度はエルザおばさんも訪ねて来て。
アビーの開けっ放しの扉から、その姿を現しては、そっと、笑みを浮かべて。
マフィンは、見て、意外そうな顔をしてしまう。
「ま、賑やかなのは慣れっこさね。」
エルザおばさんは、ちらちら見渡しては言ってくるものの。
その顔は、迷惑そうなそれではなく、慣れ親しんだといった感じ。
「おぉ!母ちゃん!」
エルザおばさんの登場に、レオおじさんは嬉しそうに声を上げた。
「……。」
俺は見ていて、こちらも何だか嬉しそうになってしまう。
また、馴れ初めを知っていることもあってか、微笑ましく思えて。
つい、笑みが零れてしまう。
「?どうしたんだい?」
「!」
エルザおばさんには気付かれてしまう。
「……いや、何でもないです。ただ、まあ、楽しかったから。」
弁解といてそう述べる。
「?そう。」
耳にして言うことはそれだけで。
短く言い切りはするものの、暗に感じることには、変な大和ってこと。
それぐらいで済むことで、深堀もしては来ない。
「!……って。いつものウィザード御一行様ですかい!」
「!」
エルザおばさんまで来たということで。
地面に頭をつけていたソードは、気付いて頭を上げては、言ってくる。
先ほどの恐れは消えて。
アビーみたいに、楽しさ感じてか、ぱっと顔を明るくしていた。
「復活したわね。その復活ぶりは、誰かさんに似ているわ。」
マフィンは、ソードのそんな様子に、呆れて頭を抱えて。
その顔は、アビーを想像しているみたいだ。
「ふわぁ?!ご、ごめんなさい!」
ソードがそんな態度をするものだからと。
何か気付いたウィッチさんは、途端慌てて、ソードの代わりに謝ってきた。
「……別に、責めるわけじゃないわ。失礼でもないし。あと、あなたも気にし過ぎないことね。こういうのは、気にし過ぎると、参ってしまうわよ?」
ウィッチさんの代わりの謝罪には、マフィンは淡々と言って。
声色から感じることに、言葉通り失礼とは感じていない様子。
なお、内容は宥めだけではなく、一種のアドバイスにもなっているみたいで。
これもまた、誰かさんのことを踏まえている様子。
アビーだろうね。
気付いたが、口にしないでおくけれども。
「へへへっ!そうだぜ、ウィッチ!気にすることはいいが、気にし過ぎってのも人生楽しくないぜ?」
マフィンが言うのだからと、追従して言ってきた。
言ってきたが、原因がソードである以上、説得力はない。
マフィンは何も言わないものの、呆れて。
ウィッチさんは、余計焦ってしまう。
「あなた、なかなかポジティブよね?羨ましいわ。」
「!!おっ?」
呆れ果てながらも、マフィンは言うものの、皮肉が漏れている。
言われた本人こと、ソードは、単語に反応して、顔を明るくしてきた。
「そうさっ!俺ぁこの艦一、いいや、この艦隊一ポジティブの男さ!右に出る者はいねぇ!!へへへっ!!」
「……。」
自慢まで加えて、ソードは猛アピール。
その笑みは、その通り、ポジティブさに溢れたもので、陰りは一切ない。
ウィッチさんは、ソードがそう言うものだから、余計に焦り。
マフィンは、ウィッチさんの様子を見て。
他人事じゃないなという風を醸していた。
「そ、そそそ、その!ソードさん!」
「!」
「!ん?」
その焦りながらも、何か言いたそうにウィッチさんは口を動かして。
ソードは気付いたなら、ウィッチさんを見つめる。
「……な、何でまた、ここに?」
「!」
ウィッチさんが紡いだ続きは、ここに来た理由で。
俺もここで、そう言えばといった風な顔になる。
「……そう言えばそうね。」
マフィンは口にしたが、思考は同じ様子。
「えー!そりゃぁ、暇な時間になったらよ、大和っちから直接武勇伝でも聞きたいじゃん!そんために来たんだぜ!……まぁ、スフィアが目に直撃するのは想定外だけどな。」
今更気付いたのかと、軽い反発しながらも、ソードは教えてくれた。
元々、暇になったから、ついでに俺の所に来て、武勇伝でも。
といった具合なのだが、よりにもよって、練習中であり。
結果として、顔面に直撃することになるとは、夢にも思っていなかった模様。
「……。」
その、対象が俺であるがためもあるが、何ともタイミングが悪いと。
俺はどう声掛けていいか、分からないでいる。
「……お話でここにきたのね?なら、私が話してあげようかしら?元々、村の代表なのだから。」
「!」
渡りに船で、マフィンが言ってくれる。
「……んぅ~……。」
マフィンの助け舟であったが、耳にしてソードは急に悩みだしてしまう。
腕組んで、唸って。
「ん!何だか興味が湧いたぞー!」
「……?」
その先を紡ぐならば、ぱっと顔を明るくした。
その動きはどこか、変な感じがしてならない。
俺の知らない、ソードの一面らしい。
もしくは、本当は俺の武勇伝だけを聞きに来たのだが。
マフィンがそう言うならとして、興味を持てるか、思案したということか。
「ふぅん。それはそれは、話甲斐があるわね。……まあ、大和のことだから、あんまり自分から話さないでしょうしね。私から見た、大和のことがいいの?」
「!マジで!!」
「!」
ソードの態度にマフィンは感心し、話甲斐があるとして。
なお、内容としてはマフィンから見た俺のようだ。
ならば、待ってましたとソードは顔をなお明るくして。
俺の方は逆に、何言われるか分からないために、緊張して。
ごくりと唾を飲み込んでしまう。
「!マフィンちゃんが話すんだー!あたしも聞くー!」
「それじゃ、あたしも聞きますかね。」
俺が緊張している傍ら。
アビーとエルザおばさんの二人は、話し始めるならばというタイミングで。
部屋の中に入って来て、マフィンを仰ぎ見るように座る。
「……じゃあ、何から話そうかしら?」
「いやはや!決まってんじゃん!普段の大和っち!」
「!!」
話し始める前に、何から話すのかというリクエストをソードがして。
耳にして俺は、なおのこと緊張してしまう。
「そう。じゃあ、普段の大和だけど。まあ、あんまり面白くないわ。普通よ、普通。村の人たちの手伝いしたり、スフィア狩りに行って、廃品回収したり、畑の防護をしたりって、ぐらい。まあ、真面目に、また、牧歌的に暮らしているわよ。」
「……ほっ。」
マフィンはそう言った。内容に俺は、内心ほっとする。確かに。
多少変だと思いながら過ごしていたこともあって。
どう見られているか不安だった。
あ、あと、余談だけど。
畑の防護ってのは、畑を荒らす野生動物を追い払う作業のこと。
防護柵とかあったら楽だろと思ったこともあるけど。
使うスフィアが勿体ないということもあるけれども。
そも、鹿や熊、タヌキであっても、知能がないわけではない。
防護のための策を施そうとも、突破されてしまうことはままある。
そのため、畑を荒らされる前に、力のある。
いや、腕っぷしに自信のある人間は皆、そうして、見回ることもある。
レオおじさんだって、山に行くのはそのため。
……多分サボってはいないと思うけど、単独である以上、そこは分からない。
余談はここまでにしておいて。
まあ、悪くは見られていなかったということのようだ。
「へぇ……!」
ソードが漏らすのは、意外だと言わんばかりの溜息。
「俺はてっきり……。」
続くのは、コメントのようで。
「家中にスフィアを飾っていて、中央でずっと祈ってばかりいるようなのが、普段の姿と思っていたぜ。それから、滝つぼ付近で座禅を組んでさ、瞑想しているとか。」
「?!」
コメント言って、満足そうに笑みを浮かべるが。
聞いていた俺は、意表を突かれて思わず目を丸くしてしまう。
……どこまで妄想だか、本気だか知らないが。
どうも俺のことをそう思っているのかと、つい勘ぐってしまう。
「……一体どういう想像をしたら、そんなことが……。」
「でもでも!何だか面白そー!!ねねね!他にどんな感じ?」
「……そしてこの子はまた、厄介にする……。」
ソードのコメントに、マフィンはやがて、呆れ返り。
挙句、アビーに遮られ、話は余計に広がりそうになる。
結果、マフィンの呆れは、アビーによって、より拡大してしまった。
「お!俺の考えていた大和っち?他には……。」
ソードは、アビーの誘いに乗っかり、続けるつもりだ。
「……。」
嫌な予感がしてしまい、聞きながら俺は、冷や汗を流した。
「!」
マフィンはソードの口調から、何か感じ取ったか、眉をピクリとさせて。
「……ごめんなさい。人の話を遮りたくないけど、嫌な予感がしたわ。妄想は妄想のままにしておいてね。」
「!」
察したマフィンが、手を叩いて遮ってきた。
また、助け舟に、俺はほっと胸を撫で下ろした。
「うぇ~?!マジで~?まだ、始めたばかりなのに?まだあんのに?」
先を読まれてか、残念そうな声を上げるソード。
なお、遮られて不満を評しているわけではないようだ。
「!……ちなみに聞いておくけど、そのお話はどれぐらいあるのかしら?」
「!」
ただ、そのままでも悪いと思ったマフィンは、参考までに。
その列伝はどれほどのものか、概要ぐらいは耳にしておくと言う。
なお、そこから、とんでもない話が出ないことを俺は、祈っておく。
「!おぅ!そうだねぇ!〝ザ・俺の考えた、大和っち列伝〟は、かなり、それこそ、本が10冊書けるぐらいかなぁ。」
「?!」
「……。」
こちらがひっくり返らないだけましだが。
概要だけでも、とんでもないと思える様子だ。
ソードはあれこれ悩みながら言ってはいても。
耳にしたこちらは、これまたびっくりと目を丸くしてしまう。
唖然とさえ、したかもしれない。
また、聞いたマフィンはまた、呆れに頭を抱える。




