ゆうしょくにおはなしはどうかな?
「やかましい!!!イルカども!!お喋りはいいから、さっさと先に行け!」
「詰まってんぞー!!」
「……ほっ。」
このままだと思っていたが、見ている人は見ているようで。
サカマタさんたちのさらに後方から、怒号が響き。
見れば、他の隊員さんたちが、サカマタさんの一群に、文句を言ってきた。
なおも集まり続けるために、このままだと身動きさえ取れなくなるとのこと。
これで、何となくスムーズに進めそうということと。
ある意味恐怖を覚える一群から解放されることに、安堵して俺は溜息をついた。
「へーい!」
「分かったー!」
「ごっはん、ごっはん!!」
「進めー!目指すはデザート争奪戦だー!」
「「うぃぃいいいいいいい!!」」
「……。」
素直に聞いていたと、安堵したのはよかったものの、今度は別のことに。
サカマタさん一行は、目標を変えては、また盛り上がってしまう。
どうも、終始あんな雰囲気なのだろう。
俺は、何だか頭が痛くなってしまった。
そうは言っても、列に並んでいる以上、進むしかない。
サカマタさんたちとの話もそこそこに、急かされたため、俺たちは先を行く。
前列の人たちの側には、きれいに磨かれ、清潔を保たれた金属プレートがあり。
進むごとに皆、それを手に取っていく。
ちらりと見れば、一定間隔で窪みを付けたプレートのよう。
どうやら、それが食器になるらしい。
現に、さらに先には、配膳をそのプレートに盛った姿も確認できて。
その食器を取り、配膳されては、列を離れていく。
そんな姿を見ていく内に、俺たちの番になる。
「!」
俺たちも食器を取るが、そのプレートに息を呑む。
まるで、鏡かと思うほど、磨かれ、綺麗にされていて。
装飾とか、ほとんどないこの艦において。
煌めき放つこれは、ある意味異質とも思えた。
いいや、これは心意気なのかもしれない。
見た目地味であっても、細部を怠らないという。
「……。」
感じた心意気に、だが、言葉が浮かばないほどに称賛を感じ。
そうであっても、何だか素晴らしさに、つい笑みは零れた。
列は進み、俺たちに配膳が行く番に。
「お!噂の一団が来た!」
「!」
どうやら、配膳のために顔を出した、厨房の隊員さんたちだが。
俺たちを見て言うことは、それで。
どうやら、もう噂で持ちきりのよう。
「歓迎するよ!じゃんじゃん食ってくれ!」
「意外だな。もっとすごい奴かと思ったが、何となくどこでもいそうな。」
「おいおい!人は見かけによらんぞ!ソードみたいに、やんちゃ坊主だが、やる時はやる、って奴もいんだから!」
「ああ確かに!料理長だって、見た目は前線にいそうな奴だし!」
「元・職場のことは言うなよ!全く。余計に怖がらせてしまう。」
「……ほ、本当だったのかよ……。」
俺たちが来たと聞いて、厨房から何人か顔を出しては、色々と言ってきて。
言葉にある通り、料理長と呼べる人は、何だか戦闘に立っていそうな雰囲気で。
現にそうだったようだ。
雰囲気的に、前線にいそうと言った人は、汗交じりに、身を退いて。
俺は、苦笑いしながら、そんなやり取りを見送って。
「あら?料理長さん。」
「!」
「お!長い髪の……。どうした?」
俺たちの先頭に立っていたマフィンが、声を掛けてくる。
何か伝えたいという感じであり、言われた料理長は、どうしたと首を傾げて。
「じゃんじゃん食べてって、言っちゃうと危険ですわよ。……ここに、びっくりな大食漢がいるのですから。」
マフィンが伝えることには、大食漢、つまりはアビーのことで。
俺は、耳にして、ちらりとアビーを見れば。
「……。」
食事に対して貪欲なアビー、目を輝かせていた。
アビーらしいや、だが、俺は呆れて頭を抱えてしまう。
「……。ここの食料が、尽き果ててしまいますわよ……。」
マフィンもアビーの様子をチラ見しては呆れて、そう料理長に伝えた。
「……流石にそれは、勘弁な……。とりあえず、大盛にはしといてやる。」
マフィンの言葉と、雰囲気から察して、料理長は一変。
冷や汗をかき、ほどほどにねと、言ってきた。
そうであっても、料理の盛られ方は、やや大盛な気がする。
「……。」
洋食の類で、デザートとして、小さく切ったフルーツが載せられた。
シンプルな物だが、香りはよく、想像するに相当美味しいと伺えて。
料理を盛られたなら、今度は座席探しだ。
列を抜けて周りを見渡せば、そこそこに人がいて。
まばらであり。
なかなか、こちら、村の一行が、一同に会せる場所は、見当たらない。
「!」
と思ったら、俺に気付いたある一群が、手を上げてこちらを手招いて。
見れば、その一群は、ソード含む例の航空隊と。
後に続いて出て行った、あのギャラリーの一群。
先に出て、食事の席に就いていたようだ。
「……見知らぬ人がいる中ながら、見知った人たちが声を掛けてくれるのは、ありがたいわね。」
「だね。」
マフィンもまた見て、言うことはそれで。俺も、同意に頷いた。
マフィンが先頭に出て、向かうなら。
「いよっ!ウィザード!!」
「待ってました!!」
ギャラリーの人たちが、声を出して。
手を叩いて、招いてくる。
他、周囲の隊員さんたちは、羨ましそうに見ていて。
「……俺も、待ってました……。って、はしゃぎたいんだけどね。これからまた、待機よぉ……。ショボーン……。」
「……。」
また、ギャラリーの人たちに交じり、歓声を上げたソードであったが。
やはりこれから任務があるのか、一転、しょんぼりしてしまう。
苦笑しか、俺はできない。
「あーん?だったら気にすんな!!!あたいらが代わりにトークしといてやんよぉ!」
「!」
代わり?に、後ろの方からサカマタさんが言ってきて。
振り返れば、もう配膳終わりで、いよいよ食卓といった具合であり。
これから席を探すと。
そのついで、俺たちに追い付いたからのと。
やたら楽しそうだから声を掛けてきたということか。
「寂しそうな奴らも、あたいらが来れば、楽しさ満点よぉ!」
ついでに、俺たちが航空隊や、ギャラリーに誘われて。
羨ましそうにしていた一団にも声を掛ける。
「「?!」」
「お呼びでねー!!」
「艦隊一うるさい連中が来たら、箸も棒もあるか!」
「やめれー!!」
「シャチやイルカなら、大人しく海に潜ってろ!!!」
「……。」
寂しそうだからという配慮があったが。
どうも他の人たちには受けが良くない様子。
途端、青冷めたなら、ブーイングの嵐だ。
俺は、交互に見ながらも、苦笑しか出せないでいる。
「んだとーーー!!」
言われてサカマタさんは冷静じゃない。
怒りを露にして、咆哮する。
「誰が毎日新鮮な魚を獲って来てると思ってんだー!!」
と、吐露も加えて。
「そうだー!」
「皆ご飯抜きだー!」
「大好きな海に引きずり込んでやるー!」
「甲板から落としちゃうー!」
「「いぇええええええええい!!!」」
そうしたなら、サカマタさんの部下たちも、一斉に盛り上がり。
口々に言ってきた。
その口々に言うことは、とても喧しく。耳を塞ぎたくなる。
傍ら、思うことは。
詳しくは知らないが。
どうやらサカマタさんたちは、食料を獲ってくることもしているようで。
彼ら彼女らも、それなりに役目があるってことか。
「……うへぇ。おっかねぇ。俺まで巻き込まれそう。……ちと退散だ。」
「!」
ぼそりと聞こえてくることには、ソードの言葉で。
振り返れば、サカマタさんが出てきて、話し出した時に。
面倒臭くなったか、そんな表情をしている。
「ふん。貴様も少しは読めるようになったか。それと、最後まで残りそうな貴様が言うとは、明日は嵐のようだな。」
「ふぅむ。まあ、厄介事には巻き込まれないのが、よい。それと、これから、また待機なものだからな。」
ソードが言うならと、ガントさんとシールドさんもまた、続き。
食事を平らげたなら、プレートを持って、立ち上がる。
それは、食事を終えたことであり。
「ちぇ。仕方ない。すまねぇ!ウィザード!あと、他のも!俺は、俺たちは、任務に戻るわ!」
「!!あ、う、うん。」
隊長たちがそうならと。
ソードと、ウィッチさんもまた、残っていた食事を急いで平らげて。
立ち上がっては、俺たちに一瞥する。
されて俺は、小さく手を振って、見送った。
まるで、厄介事から逃れるように立ち去っていく航空隊の面々で。
ただ静かに見送って。
「うへぇ!こちらも逃げよっ!!」
「やべぇ!!あいつらに絡まれると、ろくなことがない!」
「急げ!!鬼のしごきを喰らいたいか!!!」
「よぅし!!俺たちは何も見なかった。なぜならあいつらは海の生き物だからだ。」
「お、おう。」
「……巻き込まれて、嫌なことになるなら、俺ぁ転職しようかな。」
「いっそ、潜水艦乗りになるか?……悪手だと思うが。多分、終始あいつらに追われるぞ……。」
「もっと嫌。」
「……。」
航空隊がそう言って、去るならばと、自分たちもと立ち上がり。
急いで食器を片付けて、立ち去っていく。
まるで、蜘蛛の子を散らす勢いだ。
結果として、ざわめきが消え、嫌に静かになる。
残されたのは、俺たちと、手招きしたギャラリーの人たち。
他は、この原因となったサカマタさん一行と、後ろに続く人たちだ。
「あーあ。さーびし!」
その光景に一言、サカマタさんが。とても、寂しそうだ。
「姐さん大丈夫っす!!」
「俺っちたちが、います!!」
「僕たち、一緒!!!」
寂しがるサカマタさんに、その部下たちは口々に声を掛けて励まして。
「チームサカマタ!!!」
「海兵隊、潜入、対潜、漁、何でもできちゃう!」
「さいきょー戦隊!!」
「「うぃぃいいいいい!!!」」
「!!!お、お前たち!!うぅううう!!!あたい、感激!!!」
「「いぇえええええええええい!!」」
「……。」
相変わらずで、励ましから、歓声に変わり。
励まされ、元気になったサカマタさんもまた、合流し同じく歓声を上げた。
どうもこうも、相変わらずの光景に、どうとも言えないでいた。
おまけに、何だか疲労も感じてしまう。
そんな悶着あった後、気にすることなく皆席に着き。
俺たちも、誘われた場所に来ては、座る。
「……ええと、すみません。何か……。ちょっと。」
開口一番に言うことは、何だか謝罪で。
サカマタさんのことと先に席を取ってもらってとで、申し訳なく思い。




