くうせん!
「……ところで……。」
《ん?》
ソードに聞きたいことがあり、俺は口を開く。
「……彼らって、どうなの?」
その、ソードが言った飛行中隊が、どれほどのものかと。
ソードは、軽く思案するような声を出したなら。
《そりゃ、エースパイロットよ。全員選りすぐりのね。共和連邦の名だたる奴を、ことごとく墜としてきたんだぜ。まあ、要するに、俺やガント、シールドみたいなもんよ!》
「……。」
ソードは、嬉々として説明してくれて。
俺は、聞くんじゃなかったと後悔しそうになる。
相手は、エースパイロットである。
ソード以外素人の俺たちで、到底敵う相手じゃない。
青冷めた。
《な!楽しいだろ?》
「……。」
ソードはだからこそ楽しいだろうと聞いてくるが。
どう答えていいか俺は分からない。
《た、楽しいわけないでしょ!!!私を殺す気?!》
まともな意見は、マフィンがしてくれる。
その声は上ずり、震えている様子が伺えた。
《ゲームだぜ?死ぬわけないぞ!楽しもうぜ!!それによ、昔は、こういうものもあったんだぜ!パイロットでもない、ただのゲーマーが、コントローラーで敵の戦闘機、それもエースパイロットを墜とすゲームだってあったんだから!》
《む、無茶苦茶よ!!……ひぃぅっ?!》
にもかかわらず、ソードは飄々としていて。言うことは、マフィンと同意見。
なかなか無茶苦茶なことを言ってくる。
マフィンは特に、震えていて。
だが、続けようにも、途端警告音が鳴り。
マフィンは必死に機体を逸らして、回避した。
《おうおう!敵さんは待ってくれないさ!ほら、エースパイロット以外にも、雑魚もいんぜ!!ははっ!楽しくなってきた!まるで、お祭りじゃねぇか!うおおおおぉ!燃えてきたぁ!》
「!」
ソードの言う通り、レーダーには他にも多数影が出現していて。
どうも、エースパイロットだけじゃなさそうだ。
その、ソードの言う雑魚も、戦闘機らしい、こちらに目掛けて攻撃してきた。
全く、別の視点から見るなら。
お祭り騒ぎ、どったんばったん大騒ぎとは、このことを指すかと言いたくなる。
にしても、この状況さえ楽しむのは、流石慣れているだけはある。
……俺は残念ながら、必死。
こう、通信しながらも、敵の攻撃を避けている。
「こ、攻撃って……。どうすれば……。」
聞くことは、反撃で。
《お?そうだな。まあ、普通なら、FCSに切り替えて、ミサイルを選択するが、……数が数だしな……。》
「……!」
余裕な表情のソードは、簡単に説明するが。
嫌な言い切りで、嫌な予感がする。
数が多く、ミサイルだけじゃやっていられない。
《ドッグファイト!》
「!」
何を言いだすかと思えば、聞いたことがあるようなないような言葉。
だが、いい言葉ではないと、内心思ってしまう。
「それって……。」
《敵の尻について、機関砲をぶっ放す!なぁに。この機体はレーザーバルカンのようなもんだから、壊れない限り、無限に撃てらぁ!》
「……。」
嫌な予感的中。
ソードが言うことには、敵の後方について、機関砲をばら撒くというもの。
簡単に言っているようだが……。
相手は縦横無尽に飛び回る存在。
それを、追いかけ回すのも、相当な技量がいると思われる。
まして、一機だけならまだしも、相手は複数。
こちらが追いかけると、他の相手も、こちらを追いかけてくる格好になる。
「……さ、流石に何も知らないと……。」
《む、無茶よそう言うの……っ!!》
俺は無理なんじゃないかと思ってしまうが、マフィンも同意見。
震えながら、言葉を紡いでいる。
やっぱりマフィンは、恐怖に震えているか。
《追いかけっこ?わーい!たのしそー!》
「……。」
方や、アビーは楽しんでいる様子。
まだ、飛び始めたばかりだというのに、元気なものだ。
呆れてもくるが、まあ、アビーらしいやとも思う。
《まあまあ!見てなって!ドッグファイトってのは、こうすんだよ!》
ソードは怖がるマフィンを宥めては。
こちらから離れて、単機で敵陣に突入していく。
「?!」
数の暴力の前には、あまりにも無謀すぎることだが。
しかし、自身を、彼らエースパイロットと同等と述べるだけはある。
敵の攻撃をかいくぐり、見事一瞬にして集団を火の玉にしていっている。
攻撃されても、全周囲を見通せる目でもあるのか、軽くあしらって。
時に、宙返りを見せては、追う敵機をまた、火の玉にする。
正直、凄いなと思った。
これが歴戦の戦士か。
《へへっ!どんなもんだい!》
《すっごーい!!》
ソードは自慢げに、アビーはこちらを代表して、称賛を与えてくる。
「?!」
と思っていたら、こちらの機体に警告音が鳴り響き。
次々と現れる敵機、ソードだけじゃなく、こちらをも目掛けて来て。
それもそうか、今ここは、敵陣の真ん中のようなものだし。
応対しようとして機体を動かすが、思った通りにはなかなかいかない。
《い、いやぁ?!》
「!」
ぎこちなさは仇になる。マフィンの機体に、敵の弾が直撃。
そうであっても、ダメージは少ないが。
衝撃は与えて、マフィンは悲鳴を上げた。
おまけに、弱い者に、集団で襲い掛かってくる。
こちらも、対処しようとして、迎撃に向かうものの。
ドッグファイトなんて難しく、思った通り、相手の後ろにつくことさえ、難しい。
「な、何か他に……。」
画面を見て、探すことには。
……この機体は、分かりやすくできているようで。
表示も初心者でも理解できるようになっている。
コックピット前面の画面に、武装の表示があり、探すことには。
ミサイルを選択する。
「……た、確かに……。」
が、その数は少なく。
ソードが言った通り、およそ大群を相手にできるものじゃない。
が、このままではマフィンが危ないこともあって、俺はやむなく選択した。
「!」
すると、キャノピー前面に、ロックオンマーカーと音が鳴り響き。
目の前の相手に、照準を合わせていく。
ロックオンマーカーの音の間隔が次第に短くなっていき。
断続が連続音に変わるなら。
俺は目を見開いて、打とうとするが、その前に発射ボタンを探す。
操縦桿の、丁度親指が当たる部分にあったため、押した。
「!」
別の風切り音が響くなら、機体の胴体横から、ミサイルが発射された。
「!!」
やがてミサイルは、敵機を捉えて直撃。敵機は、爆散していく。
《?!きゃああ!ちょっと、大和!!近くでやらないでよ!!!》
「う、ご、ごめん。」
ただまあ、近くだったがため。
爆散の衝撃がダイレクトにマフィンの機体に伝わり。
結果、マフィンの機体は大きく揺れた。
マフィンは悲鳴を上げ、加えて、文句も。
俺は、やり過ぎたか、謝る。
とりあえず、多少ピンチは乗り切ったが。
まだまだ敵は多い。機体を翻して、迎撃に戻るなら。
《はぁ、まったく……。》
マフィンは、呆れた声を残して。
《おほっ?!初陣で敵機を仕留めるなんて、やるな、大和っち!ウィザードの名前は伊達じゃないってか!!》
「……あ、ありがとう。」
傍ら、遠くからでも、俺の様子を見ていたソードは、称賛の声を送る。
必死なため、やはり素直に喜べないが、お礼は言った。
向こうは向こうで、次々と相手にして、打ち勝っているようだ。
もう、凄いの言葉以外、思い浮かばない。
負けじと、何てのは無茶で。
まだまだ機体制御もままならない俺は、ただ喰らいつくだけで精一杯。
またアラートが鳴り、必死に避けて、ミサイルを放つ。
《?!って、だから私の側でやらないでよ!!こ、怖いじゃない!!》
よろめくマフィンを守るために、放ったミサイルは近くの敵に命中して。
同じようにマフィンに衝撃を与える。
文句を言われた。
なお、その文句も、轟音に掻き消されていて。
俺は、また次の目標を目指して飛び交う。
「!」
そんな中、思うことは一つ。
アビーはどうしている?気になって俺は、周囲を見渡すなら。
《あっははー!!たーのしー!!!》
「……。」
向こう側で、敵と戯れている、と表現できるか。
敵機大勢の攻撃を、回避し続けていた。
結構操縦が上達している?そう思えてくる。だとするなら、こちらも凄い。
なお、反撃していなので、数は増える一方。
このままじゃ、敵のいい的にされると思う。
「アビー!反撃!!」
《?大和ちゃんどうしたの?反撃?わっかんないや!爪で反撃?》
「……いや違う。武器武器!」
アドバイスとして言うものの、いまいちピンと来ていない様子。
どうしていいか分からない様子ではある。
《こうかー!!えーい!!》
何か分かったか、アビーは押したようで。
アビーの機種の方から、光の玉が放出されていく。
ソードも見せた、機関砲のよう。……が、上手くないのか、当たらない。
「……。」
仕方ないと俺はまた、機体を動かして。
アビーの近くまで行く。その際に、ミサイルを起動したが。
「?!」
ロックオンは作動しない。それもそのはず、……弾切れだ。
やはり、数多くの敵を相手するには、不十分な量だったのだ。
「……。な、何か武器は……。これか……。」
あるのは、デフォルトで動かせる機関砲。
操縦桿の人差し指付近にある、トリガー上の部分が発射スイッチのようだ。
俺は、引く。
甲高く、連続した音が出され、敵機目掛けていくものの。
だが、追尾機能のないこれでは、当てるのは難しい。
ばら撒くのには最適だが、当てるのはそう上手くはいかないということか。
「ほ、他に……。」
キャノピーの向こうと、パネルを交互に見つつ、有効な武器を探す。
「?……これは……?」
FCSの選択欄の中に、気になる物を見付けてしまう。
その兵装は、〝ウィングビット〟と呼ばれた物で、胴体下部。
丁度隠れている部分、多分ウェポンベイにある物らしい。
「……これしかないか。」
俺は、多分これしかないと選択をした。
「?!う……?」
途端、頭に妙な感覚が出て。変に声を上げる。
同時に、機体下部から何か射出されて。
やがて、こちらのキャノピーにその姿を現わす。
矢じり状の物だが、空を飛ぶには問題のない、比較的小さな形状の物が複数。
後方を向けているが、多分ジェットエンジンを取り付けているみたいだが。
また、それぞれ光の膜を放出してもいる。
何か、見覚えのある機構だと思えてならない。
「!こ、これは……。」
また妙な感覚だが、はっきりと分かることには。
……スフィアだ!
その矢じり状の物にも、スフィアが入っていて。
それがこちらと何か、リンクしているようだ。
「……た、試してみるか……?」
ならばと思い、俺は、スロットルから手を放して。
スフィアを扱うように撫でたなら。




