うぃんぐびっとのつかいよう!
「!」
その矢じりは、その通りに動く。
「……フォトンレーザー!」
今度は、スフィアにそうするように言った。
矢じりの一つから、レーザーが放出され、数機貫通し、撃墜した。
「……。」
その光景を見て思うことは、これならばという確信で。
戦闘機の扱いは慣れていないが、スフィアの扱い方なら、得意だ。
なら、これを利用しない手はない。
「……っいけっ!!」
軽く息を吸い、吐くように言ったなら。
矢じりたちは思い通りに動き、相手を攻撃していく。
レーザーが貫通し。
見事、マフィンやアビーにたかっていた敵機を、沢山撃墜していく。
《?!ちょっとまた!!!大和!!!》
「マフィン、ごめんよ!それよりも、マフィンも使ってみてよ!武装欄にある兵装で、〝ウィングビット〟ってやつ!!」
《?!何ですって?!》
衝撃でまたまた怖がらせたが、謝るついでに、俺は例の武装のことを言う。
マフィンだって、スフィアを扱える。
なら、マフィンでもこの武装は扱えるのではと思い。
《こ、これね……。うぅ?!こ、この感覚はっ?!》
マフィンも必死に探すなら、見付けて。
同じように起動したなら、やはり、同じように妙な感覚を得たのだろう。
同時に、マフィンの機体の、胴体下が開く。
どうやら、あそこに兵装が施されていて。
普段はドアのような物で閉じられ、使う時に開く仕組みのようだ。
その場所から、同じような矢じり状の武器がいくつも放出され。
守るように展開される。
《……た、確かに、スフィアっぽいわ……。これなら……!》
マフィンも気付き、扱うなら、搭乗している機体以上の挙動を見せて。
また、集まってくる敵機に動かすなら。
スフィアからそうするように、光弾を放出した。
次々と敵機を墜としていく。
その様子は、先ほどまで怯えていたマフィンではなかった。
見届けるなら、マフィンらしいやと思う。
いつも、沢山のスフィアを扱えるのだからね。
その様子は、いつものマフィンと重なる。
《おほっ?!おたくら〝それ〟使ったのか!!いやはや、あんまり使いたがらない兵装を使うなんて。》
「!」
様子はソードも見ていたようだ、何だか物珍しそうに言ってくる。
「そうなの?」
俺は聞く。
《そりゃそうよ。普段はミサイルみたく、ロックオンして使う代物だから。それを、なしで使うなんて大したもんだぜ!》
「……へぇ。」
ソードが答えることには、普通オートでできるものだったらしいが、それを俺や、マフィンがロックオンせずに扱うとはとのことで。
感心を示し。
《やっぱり、ウィザードは違うな!それと、マフィンっちも!スフィアを扱える奴は、大歓迎だぜ!》
「……。」
続くことは、称賛。
俺は言われて、顔を赤くした。
《こ、こんな兵装があるなんて。最初から言いなさいよ!》
傍ら、マフィンは軽く文句を言い。
最初からあるなら、怖い思いをせずに済んだのに。
そういう思いが見え隠れしていた。
《へへっ!わりぃわりぃ!だってよ、その兵装最初から使うとさ、一気に大逆転なわけよ。俺みたいに、尻についてぶっ飛ばすのが好きな奴は、好んで使わないのんよ!》
ソードは、マフィンに謝って、また、持論も付け加える。
どうも、ソードの性格上、好みの兵装じゃないそうな。
「……?」
それはそうとして、思うことがあり。
「……この機体って、この兵装付けていると、こういう大量の相手に勝てるようにできているの?」
という疑問。口にすると。
《まあな。この機体は、そのために作られたって言っても過言じゃないぜ。何せ、一対多数を相手に打ち勝つために設計開発されているからな。あ、詳しいことを俺に聞くなよ?歴史含めて、俺そういうの苦手なんだ。》
「分かった。ありがとう。」
簡単な説明をしてくれた。
詳しくはないが、概要は掴めて。理解を示して、俺はお礼を言った。
《うっし!景気づけに、もいっちょ暴れますか!》
「!!」
その、俺やマフィンが武装を展開し、また、一定の理解を示したと知るや。
景気づけと称して、ソードは何かするようで。
《楽しもうぜ!他にも名だたるエースパイロットたちを呼んだ!どいつもこいつも、『円卓の海』で暴れまわったエースどもだぜ!》
「?!」
《ひぇ?!》
そのようで。
この空域に来た時と同じように、沢山の航空機がレーダーに表示されていく。
その数は、正直俺たち4機では相手にできないと思う量だ。
数の暴力と言わずして、何と言うのか。
そんな大量の数を知り、青冷める。
マフィンとかは、……具合が悪くなるかもしれない。
そうであっても、言われたからには相手せざるを得ない。
俺は、覚悟を決めて、立ち向かっていく。
矢じりたちを引きつれて。
大量の戦闘機の群れに、俺たちは突入していく。
《きゃぁああああ!!いやぁあああああ!!》
マフィンは絶叫を上げて。
ただし、マフィンもまた、矢じりたちを扱い。
大量の戦闘機を相手に、見事撃ち墜としていく。
《あっははははは!たーのしー!!!》
「……。」
アビーは相変わらずだ。こんな大量の敵に囲まれているにも関わらず。
拙いながらも敵の攻撃をかいくぐっては、機関砲を乱射しまくる。
大したダメージは与えられてはいないが、追い払うことぐらいはできる。
俺は、マフィン同様、矢じりたちを従えて、的確に仕留めていく。
《うぎゃぁああああ?!》
「!」
そんな最中、アビーの機体にダメージが与えられ。
いくら、追い払うよう乱射したところで。
数の暴力の前には、あまりにも、無謀で。
「アビー!……マフィンと同じ物をっ……!」
俺は、大変な状態のアビーに。
俺とマフィンが使うのと同じ武装を使うよう、言った。
一方。
《うぇ?どう使うんだっけ?こ、これかな……?》
「……!」
アビーの方から、何かポチポチ押すような音が響き。
やっとの思いで、俺やマフィンと同じ武装に辿り着いた。
胴体下部のウェポンベイが開き、矢じり状の武装がその姿を現した。
《いっけぇ!》
元気そうに、言い放つ。
「……?」
《……?あれぇ?》
が、何も起こらない。
ウェポンベイが開いてみるにも関わらず、矢じりたちは動かない。
《!!や、大和!!も、もしかして……っ!》
「!」
その様子を見てたマフィンは、何かに気付いた。
《アビー……。ほら、スフィア、使えないじゃない。》
「……あ……。」
マフィンが続けて告げることには。
アビーはそもそも、スフィアの扱い方は下手じゃなかったかということで。
そう言えばと、思い出す。
部屋をスフィアで覗き見していた時に見たが。
アビーには悪いが、スフィアの扱いが非常に雑であり。
場合によっては、貴重なスフィアを台無しにしかねない。
「……ええと、じゃあ、……どうしよう。」
俺は困ったことになったと、思い呟く。
《?!な、何も起こらないよぉ~!!わぁああ?!》
「……。」
アビーはやがて、数の暴力にやられそうになっていく。
俺は、静かに見守るしかなく。
悲しげに手を合わせそうになったが、……いや待てよと。
「……!」
閃くことが一つ、あった。
俺は、徐に手をスロットルから離したなら、手をアビーの機体へ伸ばし。
「……。」
目を瞑るなら、念じた。
「!」
感じる。
スフィアの気配、アビーの周りから。
目を見開いたなら。
「いけぇ!」
アビーがしたかったことを、代わりに俺が行使する。
途端、アビーの機体から矢じりたちが飛び出し、敵機を駆逐していく。
《ふぇ?!あたしの機体から?何で?》
《?!な、何?!》
アビーとマフィンは、驚きの声を上げて。
そう、俺が閃いたことは、もし、スフィアと同じ感覚で扱えるなら。
こう、俺が代わりに。
アビーの機体のその兵装を扱えるかもしれないということで。
どうやら、そういうこともできるらしい。
《……この動き……。アビーじゃないわね……。まさかっ!》
「!」
マフィンは、その矢じりの動きにピンときたようで。
《ちょっと、大和!!何をしたの?!》
「!う、それはね……。」
俺だと気付いていたようだ、驚きながらも、聞いてくる。
ならばと、簡単に。
「スフィアと同じ感覚なら、遠隔からでも、操作できるかなって思ってさ、そうしたら、こうなった……。何か、まずかったかな?」
そう言った。
《……はぁぁ。私は夢でも見ているのかしらね、ってこれ何回目?それはそうと、大和、私はあなたの、その突拍子もない閃きに驚かされるわ……。》
耳にしたマフィンは、呆れに大きなため息をつき。
その閃きに驚かされたと、付け加えて。
「そ、そう?」
俺は、どう言っていいか分からず、震えながら頷いた。
《?!おいおい!まさか他人のやつも使ったてのかっ?!》
「……ええと。」
マフィンとの間の通信に、ソードが割り込んできて。
向こうもまた、驚きの声を上げている様子。
どうしようと、逡巡するも。
「……その通りだね。スフィアと同じ感覚なら、こうしても使えるかなって、思ってやってみたら、その通りになったから。」
マフィンに言ったことと同じことを、ソードにも伝える。
《うへぇ!!ウィザードってやつは、大したもんだ!人が使っている機体のまで使えるなんて……。》
「……。」
本当のことを言ったらで、ソードはますます驚き。
そんなソードに掛ける言葉は見つからない。
《……俺思うに、大和っち。いっそ、入隊する?だってさ、それだけの使い手うちらでもなかなかいないんだぜ?どう?……スーパー鬼しごきがあるかもしれないけども……ね?》
代わりであるかは別として、ソードは驚き一変。
感心して、こちらをスカウトさえしてもくる。
「あはは……。ど、どうだろう……。」
いきなりだからで、流石に頷くのも、と俺は迷いもあって、苦笑い。
《そっかぁ~……。楽しいと思ったんだがなぁ~……。残念。》
耳にしてソードは、結構な落胆ぶりを見せた。
《まいっか。そっちにも事情があるし。こちらもこちらで、だからと頼りにし続けるのも、な。頑張るさ!》
「……切り替わり、早っ!」
落ち込んでいたと思ったが、ソードはまたまた一変して。
顔を上げては、なら頑張るしかないと意気込む。
軍人の抱く、複雑さ匂わせるものの、しかし、らしく受け流し。
それよりも俺は、その切り替えの早さに、驚いてしまう。
ポジティブさが、多分ソードの売りなのかもしれないな。




