いよいよだねっ!
「!お!いいぜ!!あたいらも、今から上に相談してみっから!そうそう、こんなの、一人じゃ決められねぇ!互いにな!」
どうも、向こうも向こうで、相談するつもりだ。
サカマタさんは、気分上々で言ってきた。
それぞれが振り返り、それぞれの一団と向き合う形となる。
サカマタさんは、通信機片手に、連絡を始めて。
俺も、ようやくと、いつもの面々に向き直れた。
アビーたちだが、……特にマフィンが、信じられないといった様子。
レオおじさんは、偶然の光景に、頭を掻きながら。
どうしようかと、悩んでもいる様子。
アビーは、……ごめんいつも通りだ、首を傾げているだけだ。
「!」
信じられない様子に、疲労を感じたマフィンは、軽くよろめいて。
支えようと、俺は駆けるものの、先に支えたのはアビーだった。
「大丈夫?マフィンちゃん?」
「……。」
アビーが支えて、言ってくることは安否の確認で。
マフィンは、だが、言葉を考えているのか、間を置くように返事をせず。
「……。ねぇ、アビー。」
「?」
口を開くことには、確認のために、言いたげの様子を出して。
「私、夢でも見ているのかしら?現実だと思えないわ。」
「?寝てないよ?マフィンちゃん、ちゃんとお話しできてるじゃない!」
「……。」
支えられている横で、マフィンがやはり、信じられないといったことを述べていたが、アビーは夢じゃないと言い。
それでも、まだ信じてはいない。
「……ねぇ、アビー。」
「?」
「私の頬をつねって。もしかしたら、昨日からの疲れで、私幻覚でも見ているかもしれないから。」
「分かったー!」
だからで、マフィンはアビーに頼み込んでくる。
目を覚まさせるようなことをしてくれと。
言われたアビーは、元気よく笑みを浮かべては。
徐に、マフィンの柔らかそうな両頬に、手をやる。
「いくよー!たてたてよこよこまぁるかいてぴょん!おだんごいっぱい、やきだんご!!」
変な歌を歌いながら、……自分のされたことを反撃するように。
マフィンの頬を縦横無尽に、引っ張り。
最終的には、赤くなった頬をして、つんつん指を突き刺して。
「?!い、痛い痛い痛い!!やり過ぎ!!やり過ぎ!!!!やめて!!」
涙目になったマフィンは、じたばたしながら悲鳴よろしく叫び。
やめて欲しいと懇願してきた。
「ほい。」
アビーは、言われた通り、両手を離して、マフィンを開放する。
「うぅ~……。」
解放されたなら、マフィンは両手を赤くなった両頬に当てて。
痛みを和らげるようにさする。
涙目は相変わらず。
「……夢じゃないのね……。」
マフィンは、痛みに、現実と理解を示した。
痛みに軽く呻きながらも、言っては、また頬をさする。
痛みも痛みで、アビーの力だ、なお痛いのだろう。
「あ~……。」
アビーは、マフィンのそんな様子見て。
やり過ぎたかな、と困ったような表情をしていた。
「マフィンちゃん、やり過ぎちゃった!ごめんね!」
まずいと思ったか、アビーは頭を下げた。
マフィンは、首を横に振って、大丈夫と示した。
痛む頬をさするのをやめ。
気を取り直してマフィンは、戻ってきた俺の方へと向き直る。
「話は聞いていたわ。相談でしょ?」
「!あ、うん。」
切り替えて、俺がしたい話を始めた。
「……悩むことはないでしょ?折角のチャンスなんだから。」
「……そっか。」
マフィンは、背中を押すように言ってきた。
悩む必要はないようだ。
「いいかい?」
「!」
次に俺は、シンに向き直っては、言う。
いきなり声を掛けられたので、シンはびくっと体を弾ませる。
「……。」
けれど、ちゃんと話を反芻して。
「……大丈夫。」
ぽつりと呟く。
「!」
「大丈夫!あ、あの……!ありがとう……ございます!!」
呟きだけでも十分であったが、続けてきては、はっきりと言い。
加えて、お礼も付けて。
「……その、色々と……。ええと……。」
まだ続けて、色々と言いたそうだが、言葉は上手く紡げない。
子どもながら、輸送手段のお礼だけじゃなく、ここまでしてくれたことへ。
さらに、と言った感じだが、やはり子どもだ、上手く紡げない。
「え?!」
そうであっても、色々と言いたいことがあるだろうけれども。
十分だと、俺はシンの頭に手をやって、撫でた。
「行くよ!大丈夫、俺たちがついているから!」
そう言葉も、添えて、笑顔までも。
目にした、シンは、最初戸惑いがあったが、次第に嬉しくなり。
同じく笑顔を返した。
「がははは!!!さすがはウィザード!!!」
端から見ていたであろうレオおじさんは、豪快に笑う。
笑っては、そんな顔でマフィンの方を向き。
「な?すっげえよな?」
「……。」
そう、同意を求めても来る。
呆れ顔のマフィンながら、認めざるを得ないと言った感じ。
「……そうね。正直、こんな博打じみたことが上手くいくなんて、信じられないもの。上手くいくと、何の疑いもなく思えるもの、相当だわ。」
言葉からも、伺えて。
その裏には、多分俺が行動して、帝国までひっくり返す。
そんな芸当をして見せたという過去を知ってだ。
「!ほんと、スフィアの導きだね!」
横から出てきて、かいつまんで、という感じで。
まとめに、アビーが笑顔を添えて言うことは。
スフィアの導き。
スフィアを扱うことによって、使い手に幸運が舞い込む、というようなジンクスらしい。
アビーの言葉聞いて、マフィンはアビーにも呆れた顔を見せる。
「?」
「あなたもあなたね。……そのジンクス、信じるなんて……。」
アビーは首を傾げているものの、マフィンは呆れたまま言う。
「……ええと、じゃあ、サカマタさんに言ってくるよ。」
もう、まとまっただろう。
俺は早速サカマタさんに相談した結果を告げようと提案する。
「!……ええ。そうして。」
「いいよ!いいよ!」
マフィンとアビーが、こちらを向くなら、そうしていいと同意してくれる。
二人の様子見て、言葉を耳にして俺は頷き。
まとまったことを告げに、サカマタさんの方に向き直り、歩み寄る。
歩み寄ると、特にサカマタさんは、通信機片手に、何やら喋っている様子だ。
「いやぁ~。潜水艦だと思って追ったらよぉ、でっかいもん、それも、あたいらが知る中で、一番でっかいの見付けてよ~。……えぇ?何かって?決まってんじゃんかよぉ。ウィザードよウィザード!はぁ?!そんな呆れたこと言わんといてぇな……。な?優秀な戦力よ!え?!道草食うなって?!うぐぅ……。いや、ほんとだから。なぁ、迎え寄こしてくれよぉ。あたいらも、疲れちまったからさあ、ね?え?どうせどっかで拾う予定だったから、追っていた?うぃいい!帰りは楽でよかったぁ!了解、この場所で待機しておくよ!」
「!!あねさん!」
「楽に帰れるの?」
「……。」
側で聞いていたが、向こうも向こうで話がまとまりそうな雰囲気だ。
サカマタさんは、通信機を下げ、ボタンを押したなら、会話を終了。
さて、とでも言わんばかりに、こちらに向き直ってきた。
「お!丁度いい所に!」
「!」
開口一番、それ。
予想ではなく、事実、丁度そちらも話がまとまったということだろう。
やや、満足げな様子。
「いやぁ。あたいらの方も、まとまったよ!いやはや、一時冷や冷やしたんよこれでも。」
「はぁ……。」
「気付かなかっただろうけどよ、あたいら遊んでると思われたんで?んでよ、大和っちのこと話したら、懲罰云々は元より、とりあえず何か思いついたから、仲間もまとめて呼んで来いと言ってきてさ。んで、迎えの輸送も用意して、今、向かってんだとよ!」
「……はぁ。まあ、何となく分かりました。とりあえず、輸送してくれる、ということですね?で、待っていればいいと。」
向こうとの会話の内容を、サカマタさんはかいつまんで言ってきて。
とりあえず、俺も俺で、内容から簡単にまとめたことを述べた。
「おうよ!待っていれば、いいさ!多分そろそろ来るかな?」
その通りのようだ、サカマタさんは言って、嬉しそうに笑みを浮かべた。
俺も従い、待つことにする。
「!」
結構すぐに、けたたましい音が空より響いてくる。
ヘリコプターの、あの、やかましい、回転翼が奏でるあの音だ。
見れば、ヘリが1機、それと、後続に、一見飛行機のようだが、主翼が変形して、ヘリのようにプロペラが垂直になって、こちらに降り立とうとするのが、1機。
航空機合計2機、向かってきていた。
ちな、特殊な航空機は、確かティルトローター機だったような。
それにしても、速いと思う。
盗み聞きして悪いとも思っていたが、確かに。
サカマタさんたちを追尾していたなら、合点がいくというほど、短い時間だったのかもしれない。
《やれやれ!呆れたもんだ!潜水艦を追ったと報告があって、こちらも来てみれば、色々ととんでもないものを釣って来たようだな!》
「にひひひっ!酒のあてに、いい土産話だろう?」
《はぁぁ……。》
ヘリから、こちらに向かって、スピーカーからの音声が響く。
共和連邦軍の人のようだが、サカマタさんの様子に呆れ果てているみたいだ。
呆れられようとも、サカマタさんは自分を曲げず、ニヤニヤ笑って流して。
それは、余計に呆れさせた。
呆れながらも、例のティルトローター機をこちらに降下させてくる。
空中ではそれほどでもないと思っていたが。
降下してきたなら、思った以上に大きいと思えてくる。
結構な人員を、輸送できるものか。
……多分だけど。
サカマタさんたちをピックアップするために、後続していたのだろうね。
ティルトローター機は、こちらに背を向けたなら。
後部ハッチを見せて、開かせてくる。
「サカマタ一行には呆れるが、ウィザード一行は歓迎するよ!今回、協力、感謝いたします!」
「?あ、はい……。こ、こちらこそ。ありがとうございます。」
開いたなら、案内役か、一人隊員さんが顔を覗かせて、言ってくる。
何か、所々、引っ掛かるような気がするが。
それでも、俺は、折角なのだと、お礼も兼ねて、頭を下げた。
そうしたなら、一旦皆の方に向き直る。
「行こうっ!」
そう言うと、皆そっと笑って頷いて、ティルトローター機に歩み寄っていく。
俺は後にして、他の皆を先に乗せていく。
「!」
最後、シンが残る。
残ったシンは、呆然とだが、何が言いたげで。
「?どうした?」
聞くと。
「……大和お兄ちゃん、すごいんだね……。」
「!……。」
俺が何だか、すごいと思っていたようで、呟く。
聞いた俺は、どうだろうかと思って、頬をポリポリと掻く。
「そうだよ!大和ちゃん、すっごーいんだよ!!」
「!」
そんな横から、先に乗ったアビーがまた戻り、顔を出して言ってくる。
嬉しそうな顔をしながら。
「すっごーい……?」
「うんうん!そうそう!で、ほんとは、こうするの!すっごーい!」
「す、すっごーい……。」
聞いていたシンは、ポカンとしながらも復唱する。
見ていたアビーは、さらに色々とレクチャーして見せた。
言いながら、両手を上げ、背伸びするかのようなポーズも。
言われたシンは、アビーの真似をして、そのようなポーズを取った。
「……。」
見ながらだが、気恥ずかしさもあるものの、何も言えない。
「ほらほら!後ろつっかえているよ!早く乗りな!」
「!」
そのやり取りをやっていたタイミングで、サカマタさんが声を掛けて来て。
やり取りの雰囲気は、さておき、サカマタさんが言う通り。
まだ後ろには、一行が待っていたのだ、そう言われても仕方ない。
話はそこまでと中断し、俺も乗り込もうとする。
乗りにくいならと、俺はシンの手を取って、中へと誘導してあげた。
「!あ……。うん!」
俺がそうしたなら、何だか気恥ずかしそうにしたていたが。
笑顔になっては、従う。
俺たちが入ったところで、素早くサカマタさんたちが乗り込んで来て。
後部ハッチが閉まったなら、皆きちんと座席に座り、シートベルトを締める。
倣って、俺たちもしたなら、確認することなく、航空機は飛び立つ。
「!」
上昇による圧力を感じ、軽く驚くものの、しばらくすれば、慣れていく。
それよりも、それなりに大きくはあったが。
こうも大人数だと、なかなか狭く感じる。




