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そばにいてあげたい


〝親に嘘をつかせる存在になりたくない〟


しまった。


言っちゃいけなかった。


直くんは真面目で、律儀。きっと今の言葉はかなり傷つけたはずだ。


「ごめん、直くん!冗談だよ!ウソウソ!言ってみただけで…」


あ、落ち込んでる。今日は元々元気が無かった。だから元気にしてあげたかったのに…


更に落ち込ませてしまった…


私は直くんを幸せにしてあげるって約束したのに…


真面目で律儀な直くんは嘘をつかない。


約束は必ず守る。


それなのに…私、約束破った。


「ご、ごめんね?」


直くん、黙ったままだ…


「百子が謝る必要なんかどこにもないだろ。」


「え?」


「俺の問題だから。百子は関係ない。」


関係ないって…なんか…それって…


突き放された気分。私じゃ解決してあげれないかもしれない。頼りにならないかもしれない。


だけど…関係くらいさせてよ。


一人で抱え込まないで言ってよ。直くんが…直くんが言ったんだよ?


「心にため込むくらいなら言ってよ。私、直くんになんでも言ってもらえる存在になりたい。」


〝百子にとって何でも言える存在になりたい。〟


前に直くんが言ってくれた言葉。私だって同じだ。


「うん…ありがとう…。」


あ、あれ?お礼で終わり?なんか言ってくれるんじゃ…


あ…ここはまだ職場だ。…話せないか…そうだ!


「直くんうちにご飯食べにおいでよ!」


「え?」


そうそう、忘れてた!


「ママがね、門限が18時だから直くんと一緒に帰って来て、うちでご飯食べたらいいって!そうしよう!」


これなら真面目な直くんも大丈夫なはずだ。


「ありがとう。いきなりは迷惑だから、また今度。百子も今日は帰ろう。」


ダメだ。私じゃ直くんの力になれない…




✽✽✽


あの後直くんと別れて、更衣室に寄ってから一人帰る。

(悲しいよー。寂しいよー。おーいおいおい。)


エレベーターを待っていると、ようやく来た。


「あれ?ももちゃん。」


あ!


「お兄さん!!」


何と言うタイミング!!


「お疲れ様。今帰り?」


お兄さんは優しい笑みを浮かべてくれる。


「はい。お兄さ…じゃなかった、すみません。CEOも今帰りですか?」


ここは職場だった。しかしCEOって言った瞬間なんか気軽に話しかけたらいけない人になるなー。


良かったかな?声かけて。


「今から会食だよ。」


ほー。なんかやっぱりスゴイ人だ。


「車だから百子さんも乗って行きなよ。送るよ。」


優しい。直くんみたい。(…送迎車かな?いいのかな?)




「CEO。公私の別を分けて頂けますか?」


物凄く冷たい声がした。そうだこのエレベーターにはもう一人男の人が乗っていた…


「スミマセン…ほら、直くんの彼女だしさ。」

「それを公私混同と申します。」

「スミマセン。」


お兄さんと喋るこの人は威圧的だ。冷たい感じ。恐いよー。


「CEO付きの第一秘書、黒崎と申します。」


ジッと見てたら挨拶されてしまった!秘書!


「本日は特別ですよ。時間にまだ余裕がありますから。車を裏通りに停車するように変更致します。公私混同の現場を見られたら困りますので。」


恐い!目が恐い!!


「い、いいですいいです!!電車で!」


「俺からのお願い。乗って行って、百子さん。」


…お兄さんはよく気が利く。

〝百子にとって何でも言える存在になりたい〟は単発番外編〝直くんの懺悔〟にて!

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