直くん、オーバーアクションしよう!
「愛ちゃん!今日もかわいいね!」
愛梨の彼氏の山内くんが言う。
「愛ちゃん!愛してるよ!」
「愛ちゃん…!!」
いいなぁ。愛梨。
直くんはあまり感情を出さない。
そして口数も少ない。
私はそんな直くんが好きなんだけど、…だけど!!
「直くん、オーバーアクションしよう。どうぞ。」
分かりやすく、端的に、的確に、伝える。
これで直くんに伝わったはずだ。
「…。」
あれ?伝わってない?直くんは黙ったままだ。
「…例えば?」
ようやく口を開いたかと思えば、そんな事をおっしゃる。
例えで私が言ったら意味ないじゃない!
「愛を全力で表現して。」
そう、お願いします。
「愛?何の?」
えっ!そこ疑問に感じるの!?
ガーン…私への愛がないの…?
「愛情が薄い…」
直くんとは両思いになってる。私にとってはそれだけで嬉しい事で、満足してたはずなのに…
愛梨と山内くんを見て、いいなぁと思った。羨ましいと思った。
山内くんに見るからに愛されてる愛梨が羨ましい。
「俺、またなんかした?」
落ち込んでいると直くんから声をかけられる。こう聞かれるの何回目だろう。
私が落ち込んでいると、直くんは自分が傷つけたと勘違いする。
「違うよ。直くんにオーバーアクションして欲しかっただけ。」
山内くんみたいに。
「オーバーアクションって?」
まだ伝わらない…
「愛されているという自信が欲しかったの…」
「…。」
直くんが困ってる。…私が困らせてる。
困らせたいわけじゃ無かったのに…
直くんが今も私とこうして一緒にいてくれるのは、人とあまり関わらない直くんにとって大きな愛情表現なのに…。
人と比べて、直くんを困らせて…私、バカみたい。
「どうしたらいい?」
「え?」
「どうしたら自信、持てる?」
直くんが私に聞く。
きゅーん。直くんに、きゅーん。
胸がときめく。
こんなにも考えてくれてる。聞いてくれる。
あの、直くんが。
私は愛されてる。大丈夫。良かった。
「ありがとう、直くん。分かってるから。」
感情を出さない所も、私を思って聞いてくれる所も…大好き!
「だけど、せっかくだからギューッと抱きしめて、愛してるよ!って言って?」
「!!」
あらら、顔真っ赤にして焦ってらっしゃる。
―直くんの表情の変化に気づくのは、きっと私だけだ。
うふふ。直くん、だーい好き!!




