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BLR15「ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました」  作者:


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34/52

三十四、サンキャッチャー(注意 暴力&暴言の表現あり)


  ――注意――

 暴力&暴言の表現あります。

 苦手な方はご注意してください。

 ――――――――


  

 「アラン様、準備は出来ました。お待たせしました」


 お借りしている部屋から出て、玄関までの階段を急いで降りていった。アラン様のお屋敷でお世話になってから今日は、自分の家に帰る日。アラン様を待たせてしまった。

 

「1日だけだ。まだ黒幕が捕まってない。君は、最重要保護人だ」

 アラン様は厳しく、僕に話しかけてきた。事件に関係した僕は命を狙われている。


 僕が分かっていることを話せればいいのだけれど、口封じの魔法がかかっていて話せない。

 また子供達がさらわれることのないように、街は厳戒態勢中だ。


 このまま何もないといいけれど……。


「さあ行こう」

アラン様が先に馬車へ乗って僕の手を取り、さり気なくリードしてくれる。

「はい」


 馬車が進んで行くと商店街が見えてくる。そんなに日にちが過ぎていないのに、懐かしく思うのはなぜだろう。

家の近くに馬車がとまり、馬車から降りた。

 

「あら! ルカ、帰ってきたのね!」

大きな商店の奥様が、家の前へとまった馬車に気がついて走ってきた。

「うちの子と、他にさらわれた子供達を助けてくれてありがとう!」

 奥様は僕の手を握って、涙目でお礼を言ってきた。


「騎士様に聞いたら、ケガをしてアラン様のお屋敷で静養してると聞いたわ! もう大丈夫なの?」

僕とアラン様に気がついた商店街の人達が、集まってきた。

  

 『ケガをして、アラン様のお屋敷で静養』そういうことになっているのか。

「はい。まだ痛みはありますけど、大丈夫です」

 これは本当だ。僕が返事をすると商店街の皆は心配してくれた。

「ありがとうね」

「まあ……なんてこと!」

「ゆっくり静養してね」等、温かい言葉をかけてくれた。

 

「これからルカは、家に一時的に帰ってまた屋敷に戻ります」

 アラン様は商店街の皆にはっきりと言った。またアラン様のお屋敷に戻っていいの?


「じゃあ、お大事にね! 本当にありがとう!」

「はい。ありがとう御座います」

 商店の奥様はお礼を言って帰って行った。商店街の皆さんも仕事があるので、僕に労いを言って帰って行った。


 自分の家の入口、お店の出入り口の前に立った。

「……アラン様。すみませんが、ここで待っていてもらえませんか?」

 アラン様を店の外に立たせるのは申し訳ないが、僕は違和感を感じていた。

「あ、ああ。分かった。外で待っている」

「すみません」


 鍵はかかっていたので、解錠して扉を開ける。

「手伝うことがあったら、呼んでくれ」

アラン様の優しさが胸に刺さる。

「はい」

 無理やり口の端を上げて、笑う。


 僕は、|お店の中《結界が何者かに壊された中》へ入っていった。


 お店の中を見渡したけど、特に変化はなかった。

いや……。飾ってあった、サンキャッチャーが粉々に砕けている。何かの拍子に落ちて壊れたのじゃない。

 踏み潰したような不自然な潰れ方をしていた。


 僕はそれの破片を拾ってリビングへ進む。お店の窓からアラン様の後ろ姿が見えた。


自分の家なのに。まるで違う人の家の中を歩いているような気がした。

 リビングに着くと、ぐじゃぐじゃになった室内が目に入った。

泥棒……? 金目のものを探したというより、目についたものを投げたり払ったりして、部屋を荒らす目的だけなのが分かった。


 奥にある勝手口が破壊されているのが見えた。結界を解き、勝手口を壊して中に入ってきた人物は……。


「やっと帰ってきたのか……」

 キッチンからリンゴをかじって現れた、黒いローブの男。

「◯◯◯◯! ゔっ! ああぁ!」

 その名を言おうとすると、全身に痛みが走った。


 痛みのため、床に膝をついて体を丸めた。

「ううっ……」

「ははっ! 愉快だな」

黒いローブの男はかじっていたリンゴをポイと放り投げ、僕に近づく。


「貴族に飼われてるらしいな? 貴様に似合いだ」

「あうっ!」

長い前髪を掴まれて、上を向かされる。はっきりと黒いローブの男の顔が見える。


「はっ! 父親に切られた傷が、まだ醜く残っているな……」

「い、痛い。やめ……」

 グイッとさらに引っ張られた。


 散らかったリビング。ほんの数日前は綺麗に掃除をしていたのに。

「ふん! ()()耳としっぽは出さないのか!」

 ぐいっ! と強く引かれて痛い。


「弱い。半獣人の半端者。獣人は消えればいい」

僕に罵詈雑言を浴びせ続ける。そんなに僕を、……獣人を嫌うのか。

 悲しい。

いつからか悪口だけじゃなく、暴力も振るわれていた。


 罵詈雑言に耳を塞ぎ隠し、暴力にはしっぽを丸めてしまって耐えてきた。

 見た目や生活、信じるものが違うだけで同じ生き物なのに。


「鳴けよ。獣のように!」

「うっ!」

 お腹を蹴られた……。とっさに避けたので致命傷にはなっていない。


「弱虫」

弱虫? 小さい頃は身を守る(すべ)が無かった。――でも今は?

 僕は、もう小さい子じゃない。


「離し、て!」

「うわっ!」

 僕は腕を大きく振って、サンキャッチャーのガラスの破片で前髪を切った。


 黒いローブの男の手は前髪ごと離れて男は、()()()()で、よろけた。


 リビングの観賞植物のある窓へ、持っていたサンキャッチャーのガラスの破片を思いっきり投げた。

 ガッシャーン!

 窓ガラスは、派手に割れた。


「アラン様! 黒ローブの男が! ああっ!」

背中に衝撃が走った。

「悪い子だね、……ルカ」

 背中を足で蹴られて、倒されてしまった。


 ギリリと背中を踏みしめられた。


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