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43-1話 カガミノ船 ――最後の戦い――

 東京、名古屋、大阪……、ジングウが各地に集めた群衆を自衛隊が鎮圧し、メディアやSNSが政府や自衛隊に対する批判を強めても、ジングウが有利になることはなかった。


 ジングウは神功皇后の名で戦闘員を集めようとしていたが、自衛隊による虐殺にも近い戦闘風景を見た国民は、ジングウの言葉に耳を傾けても、行動に移すことはなくなった。


軟弱者なんじゃくものばかりだ」


 北陸自動車道で液体核燃料の奪還に失敗したジングウは、京都行きの深夜バスの屋根の上で空を見上げていた。広島と福岡の集合場所に武器を運ぶために関西を離れている間に、燃料を奪われた。それにスクナビコナ、いや、今は比呂彦と名を変えた男が手を貸すとは思ってもみなかった。彼が手伝わなければ、カガミノ船は、あと数十年は無事だったろう。今となっては、電池に残った電力を使い果たしたら、カガミノ船に残されたわずかな機能さえ使えなくなる。


 それまでに決着をつけなければ……。そう決意しながらも、久しぶりに彼と会って話したことが少し嬉しく、憎く、感慨深いものがあふれてくるのを抑えることができなかった。


「星は2千年前と変わらない……」


 つぶやき、目を閉じた。


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