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40話 結城利尚 ――あがき――

「自衛隊は何をやっているのだ!」


 総理官邸の執務室で佐藤総理がくずかごを蹴飛ばした。


「私は、デモ隊を鎮圧しろとは言ったが、殺せとは言わなかったぞ」


「申し訳ありません」


 自衛隊の陸上幕僚長が頭を下げた。隣では防衛大臣が能面のような顔で立っている。その顔が、結城には泣いているように見えたが、総理には笑っているように見えたようだ。


「防衛大臣、謝罪だ。すぐさま謝罪映像を流せ。私の知らないところで行われたと、明言しろ」


 陸上幕僚長を帰してから、総理は居並ぶ大臣やスタッフの顔を見回した。


「これで政府はつぶれる。この事件が解決したら、内閣総辞職だ」


「それで国民が納得するでしょうか、解散総選挙のほうがよろしいのでは?」


 鈴木官房長官が訊いた。


「今の状態で選挙に勝てると思うか? 解散の判断は次の総理に任せる」


 閣僚たちは官邸を出ると、次の総理は誰か、と情報収集と根回しに走り出した。中には、次の選挙に備えて選挙区へ帰る議員もいた。


「天鳥船が飛んだら、支持率が一気に回復する可能性もあるのではないでしょうか?」


 結城は慰めるつもりで言った。あれが飛ぶとは思っていない。


 ところが、総理の目が輝いた。


「なるほど、その手があったか」


 総理は科学技術庁に直接電話を入れた。


「年内中に天鳥船を飛ばせ」


 そう厳命し、科学技術庁長官を驚かせた。


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