11 スキルの存在2
――条件:「スキルの目視」の達成を確認、スキル『助手』を開放。
陽悠の頭の中で続けて声が響く。
それが終わると、陽悠の頭痛が引いていった。
痛みで荒くなった息を整えていると、月冴がどうしたんだと陽悠の肩に手を置く。
陽悠が周りを見ると、全員が心配そうにこちらの様子をうかがっていた。
「すみません。大丈夫です。少し頭痛がして…もう収まりました。恐らく、船に乗っていた影響でしょう」
そういうとカイの方へ向かい、荷車に乗せてもらう件、宜しくおねがいします。と言って荷車に腰を下ろした。
月冴はため息を1度つき、また頭痛がしたら言えよと言って先へ進んだ。
陽悠は、荷車に乗せてもらいながら先程のスキルの件について考えることにした。
(スキルを開放したなら、そのスキルを使えるはず…だが使い方が分からない…スマホ、いやパソコンのほうがいいか。取り敢えず調べよう)
少し調べるのであればスマホで問題はないが調べた後に整理し、まとめる必要があると陽悠が考えた時にはスマホではなく、パソコンで行われる。そちらの方がやりやすいからだ。
――スキルについて――
ここから先は、先程のスキルの説明とほぼ同じことが書かれていた。
少し情報を付け足すとするとスキルにはレベルとレア度があることくらいだ。
レベルは100まであり、100までいくとレア度が1つ上がり、またレベル1からやり直しなのだとか。
(なるほど…だが肝心のスキルの使用方法については何も書かれていないか)
――スキル 使用方法――
スキルの使用方法について検索した結果はたった一行だった。
『スキルの使用方法はスキルによって異なる』と。
ならばと、陽悠は解放されたスキルについて調べることにした。
――スキル 助手について――
レア度4のスキル。
使用者のサポートを行う。
常時発動型のため、スキルを1度発動させれば使用者が発動停止命令をしない限り停止しない。
使用者によって変化するスキル。
使用方法は「スキル 助手 発動」と唱えること。
なお、言葉で唱えても心の中で唱えても発動される。
書かれていたのは以上だった。
スキルの使用方法は分かったが、陽悠が気になったのは『使用者によって変化』という点である。
使用者によって変化するとはどういうことなのか。陽悠はそれを調べてからスキルの発動を試みることにしようと、『スキル 使用者によって変化』と調べようとenterキーを押した。
しかし押した瞬間、陽悠は先程の頭痛に襲われた。
続いて聞いたことのある機械のような声がまた頭の中に響く。
――条件:『買い物3個以上』『検索10件以上』の達成を確認、スキル『ネットショッピング』を開放。
陽悠はあまりの痛さに荷車の中でうずくまった。
その様子に気付いた永遠が陽悠に声をかける。
永遠に声をかけられた陽悠だが、先程より長く続く頭痛のせいで返事ができない。
痛みを少しでも和らげようと無意識に頭を手で押さるが効果は薄い。
頭を手で押さえている体制のまま微動だにせず、陽悠は只々痛みが治まるのを待った。