シンクロ
「あれ……」
俺は、何をしようとしていた。
確か人間のガキを食おうとして大口を開けた。
しかし、目の前にいるのも俺。
俺は一体何を……
目の前の黄色い竜を見ながらクエレブレは、エンリルの目の恐ろしさに侵食されて行く。
エンリルの目でクエレブレを写したことにより、石化耐性ができたクオンの両足の石化が解除。
「……」
「ユストさん、ユストさん!」
メリアが呼びかけても、ユストの表情は虚ろのまま。
「これ以上の同調はやめなさい」
互いの精神を壊すことになる、とユストの影から出て来たメルが警告。
左目の眼帯を付け直し、能力を抑え込む。
エンリル目に同調されたクエレブレは砂浜に落下。
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「あ、頭痛ぇ……」
魔王城三階の客室で目を覚ましたクエレブレは、人の姿になっていた。
(俺は、負けたのか……人間に)
襲ったのも自分、襲われたのも自分。
その感覚を思い出し……クエレブレが体を震わせる。
「お、俺が……人間ごときに」
トントン、と部屋の扉が叩かれる。
「失礼しますよぉ」
お腹減ったでしょう、とメリアが梅干のお粥をクエレブレに渡す。
「俺に?」
「はい、あのまま目を覚まさないんで……シルシュさんも気にしてましたよぉ」
梅干だけのシンプルなお粥を口に運び
「うまい……」
クエレブレは、頬を赤くすると
「……惚れてもいいか?」
竜は嫉妬深いが、惚れやすい生き物でもある。
ただし、個人差による。
「え、やめてください。私そんな気分じゃありません……ほら、もうすぐ月末ですし。お給料もらえるんですよ」
ちょっとでも田舎で農業をしている母にの助けをしたい、とメリアは続けた。
「クエレブレさんも、ちゃんと親孝行してくださいねぇ」
「お、おう」
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「だから、小生を肌身離さずお持ちするように……」
あれほどいったのに、とベッドで横になっているユストに泣きつくレーヴァテイン。
「悪かったよ……頭痛いから、騒ぐな」
「嘘をつけ。さっきまで昨日の徹夜の疲れが、とか言って寝ていたろう」
シルシュに言われ
「はて、何のことやら」
レーヴァテインはすっとぼける。
「ユスト様、気分の方はどうですか?」
メルに聞かれ
「だいぶ良く……」
腹違いの兄というのを思い出し、ユストは気まずい。
「ちょっと、寝る。おやすみ」
ユストは布団を被って、引きこもる。
「こらこら、露骨に避けないでください」
ため息をついたメルに
「それより、メルクリウスよ。何か用か?」
シルシュが聞いた。
「そろそろ、仕事が必要になるとおもいましてね」




