13/42
港町マイム
「うむ、潮風が気持ちいいな」
楽しそうなシルシュとは正反対の顔で
「つーか、お前……本当についてくるのか」
ユストが言う。
「妾は人間のことをもっと知りたい。それに……」
シルシュは頬を赤く染めると
「愛する二人が、離れ離れとは酷であろう」
「……いや、それお前の勘違いだから」
ユストのツッコミなど、シルシュの耳には届いていない。
「お願いします、勇者様」
「君さぁ、お金もってないじゃん」
女の子と、ガラの悪い青年。
「勇者様は、お金持ってない子の依頼は聞けないんだよ」
小太りの魔術師の男。
「そんな……」
二人は女の子を無視して
「さあ、勇者様。貴族の娘の護衛行きましょう」
「金持ちは最高だな」
笑ながら去って行く。
「ここでもか……」
眉を寄せるユストと
「見ていて、気分のいいものではない」
シルシュが言う。
メルが言っていた「勇者のモラル低下」は確実に進行している。




