少女の依頼
「お前、何か困ってるのか?」
女の子は戸惑いながら
「お兄さんとお姉さんは?」
ユストとシルシュに聞いた。
「旅の夫婦「仲間だ! ただの仲間だ!!」
シルシュの言葉を、ユストは大声で強引にかき消した。
「旅の夫婦仲間?」
女の子は首を傾げる。
「前半のは、いらない」
「むぅ、照れなくてもいいだろうに……」
シルシュは、唇を尖らせる。
「照れてない」
ユストは、軽く咳払いをして話題をかえる。
「オレで……」
シルシュを横目に
「オレ達で力になれるなら、話してくれないか」
「……え」
女の子は、目を丸くする。
「この照れ屋め。妾のこともあてにしてくれているのだろう」
そう言って、シルシュはユストの頭の上に豊満な胸を乗せて抱きしめる。
「お、重い……」
「そんな、迷惑ですよ。わたし、お金もありません」
ユストは首を横に振ると
「金が目的で、言ったんじゃない。オレは、オレの出来ることを探してるんだ。そしたら、さっきの会話を偶然聞いて」
放っておけなかった、と女の子に言う。
「お兄さん、優しいですね」
「そ、そんなんじゃねぇよ」
照れるユストを見て、少女は微笑む。
「わたし、マナって言います。両親の経営する宿を、手伝ってます」
そう言って、宿の前で撮られた一枚の写真をユストとシルシュに見せる。
「うちのペットのアルベルトです」
「こ、これは、犬か?」
「ブサイクだな」
「シルシュ、人様のペットに向って失礼だ」
「ああ、そうか……これが、ブサ可愛いというやつか」
ユストとシルシュが小声でやりとりをしていると
「一週間前から戻ってこないんです。町中を探したけど見つからなくて……後、行っていない場所は北にある森なんですけど」
森には、魔物が住み着き危険。
「よし、じゃあ北の森に行って見るか」
「うむ、そうだな」
ユストとシルシュの後ろ姿を見送り
「ありがとうございます」
マナは頭を下げた。
「ふぅ、久々の船旅は疲れるな」
「エアちゃん、じじくさいわネ。あ、あれ、見て!!」
妖精のハンナが、エアの髪を引っ張る。
ハンナの視線を辿り
「あいつは……」
眼帯の少年を遠目に
「やっぱ、気が合うな」
エアは口元をほころばせる。
「走れば間に合うワ! エアちゃん、行くわヨ」
「やだよ、面倒臭いーーそれに」
エアは欠伸をしながら
「泳がせておいた方が面白い」
ハンナは眉間に皺を寄せ
「性格悪いわヨ」




