---49--- フジイデ王国 不穏な気配4
転移により、先に向かわせたルルの下にシアキ達一行は出現した。
そこには、一件の立派な贅を尽くし建てられたと思われる豪華な家の前。
その家の前の通りは石畳で綺麗に整備され、向かいやその周り全て同じような豪華な作りの家が建ち並んでいる。
家を背にする形で、敵と思しき集団と睨み合っている状態になっている。
敵と思しき者の姿が、これまた異様な姿をしている。
今まで見た種族でない、手足が機械の者や、頭部の半分が機械の者と言う、正に機械と人が融合したような者達だ。
一人一人、手の構造が変わっている。大きな円形の球体に棘が無数に付いた手足を持つ者、手先が刃物の者、足が車輪の者、大きな肉叩きの様なハンマーが腕の者、頭が斧みたいな者、手足が剣の者、手が六本ある者、全身がトゲトゲしい甲冑みたいな体の者と様々だ。
向かい側の数軒家の家屋を敵が陣取る為に拓けた場所を確保する目的で破壊して瓦礫と化している。
そこに大将らしき者が椅子となるように四つん這いにさせて敵の仲間と思われる座る事に特化したような体の構造をした者の上に座している。
「シアキ気を付けて!こいつ等は、何か変だから!。
魔法や殺気が全く通じないし、手足を破壊し吹き飛ばしても痛みすら感じていない様子なの。
胴体だけになってもう、腰をうねうね動かしてこっちに向かって来るから気を付けて・・・。
近づいたら、攻撃すると伝えてはいるんだけど、全然理解出来てないのか、次々送り込んでくるのよ。
こいつ等に指示出してるのは、あの瓦礫の上に鎮座してるのが大将ぽいけど、ここを少しでも離れると後ろのサジュラっちの家に侵入しようとするから動けないの。
あとこいつ等は、ただの打撃系は有効みたいだから・・あ!」
そう言ながら、近づいてくる敵の手足をただの殴りで破壊し吹き飛ばす。
「もぉ~さっきから何なの~言ったでしょ。
近づいたら吹き飛ばすって!、もぉ~いいかげん、学習しなさいよ、手加減するのって地味に結構疲れるんだからね」
今破壊された敵の腕一つをシアキは拾い上げる。
鉄や鉱物類を溶かし作ったと思われる機械感丸出しの腕だ。
内部構造を確かめる為、断面を覗く。中心に軸となる鉄棒らしいものが仕込まれている。これが機械の体の骨格部分だろう。
その骨格の脇に数本束ねられたワイヤーやらがある。これが筋肉の代わりだろう。
だがあるのはそれだけだ、制御する為の基盤も見受けられなければ、制御用の配線類も見受けられない。
そして何より関節が実に単純なのだ。筒状のピンで止めている程度で稼働域部分も成り立っている。
まるで金属で作られた、動く案山子か、操り人形といった感じだ。
これでどうやって動かしているんだと思う位簡素な作りなのだ。
そして今破壊された敵の胴体の近くに、全く動く事の無い首と胴体のみとなって入る者に近づき、切断された腕部分を覗き込み、胴体内部を観察する。
切断面は腕と同じであった。これでは胴体内が確認出来ないので、躊躇する事なく足で、腹部分を踏み壊し中を覗く。
複雑な作りを想像していたのにそこで目にした印象は、腕よりも簡素な作りだ。
ほぼ空洞だ、動力源があるのかと期待していたのだが、各四足に繋げられてワイヤーがあり、中央部分に筒状の芯になる様なものがあるだけだ。
その筒状の物に亀裂が少し入っており、液体が少し漏れて出て、何とも言い難い悪臭が漂ってくる。
顔と胴体は見た目は殆ど人だが、腹部が壊れた事を見ると、頭部も恐らくは精巧に作り込まれた、張りぼてであると考え、顔面部分をも蹴り壊した。
中から中央部分と同じ材質の少し大きめの筒が露わになった。
ここでどうやって動いているのかの疑問が生じた。
魔法を行使するのに、魔素核や聖素核と言う器官が必要だと聞いていたので魔法を動力源にしている事は間違いないが無機物その物が意志を持ち魔法を使えるのかが疑問だ。
金属生命体と言う仮説を立てるが内部構造的にそれは有り得ない。
そしてもう一体破壊し比較し何故動いているのかを確かめる事にする。
丁度横に先程ルルに手足を、ただの打撃だけで吹き飛ばされた者が、今だに胴体だけになっても、うねうね腰部分をくねらせながら、ルルに迫ろうとしている。
蠢くこの一体に近づき、躊躇する事なく足で腹を踏み壊し中を覗く。
この時点でも動き進もうとするので、足で動かない様に抑えながら中を確認する。
中はもちろん先程と同じ構造で動力源となる物は見受けられない。
動いているので内部で何か生成されそれが動力に変換され動いているのかと期待していたのだが変化がある物は見受けられない。
唯一変わっているのは、中央部分にある筒が無傷という事だ。
次に顔面部分を足で蹴とばし、顔面を破壊すると胴体部のより大きい筒を確認する事が出来た。
この筒の大きさからすると、中に入っているのは、人の組織であろうと一つ推測が成り立つ。
恐らくだが、脊椎や魔素核なる器官と脳が、何かしらの保存溶液に浸され納められているのではないかと悍ましい想像をしてしまう。
その悍ましい想像が現実のものとなる。
筒を壊し中身を露出させると、生き物の脊椎と思われる物が視認する事が出来た。
各稼働部位に何かしらの信号伝達が出来なくなったか、あるいは、これで死んだかは不明だが、筒を破壊したと同時に動きがピタりと止み、静止させる事が出来た。
これでこの機械人形は人の組織を核とし何かしらの魔法で魔素供給を受け稼働している事が分かった。
頭部を破壊すれば脳が出てくるだろうが、流石に蹴り壊す必要は無いのでそのままにしておく。
敵が今まで見た事のない魔法を使用しているので、警戒の為罠を張る。
今居るサジュラ邸の後方に魔素で粘着質の細かい網状の物をイメージする。
それに魔素を自動で供給し続けるイメージする。
設置した網状の物に触れた者を絡めて動けなくする罠となるイメージをし後方に広範囲に設置する。
これで不意に後方から来るであろう者を捕縛出来るだろう。
「アイお前の判断に任せる、優先してエラルとシャボちゃんを敵の攻撃から守ってやってくれ。
ついでに、後ろの家屋の住人も守ってやってくれ」
「お任せください。
私も早くこのパーティーの一員として、皆様に認められる為にも、精一杯頑張ります」
何故そう言う表現が出てくるっとツッコミたくなる。
そしてまだパーティーに加入させていない事をこんな戦闘真っ最中の中で思い出す。
今すぐ加入してやりたいが一つ問題がある加入させるには冒険者の登録が必須となるのだ。
ステータスを開き登録されているか確認すると冒険者となっていたので登録済みな事が分かった。
「アイお前の個人情報クリスタルを今すぐ出してくれ」
なぜこのような戦闘時に?っと疑問に感じるが言われた通り自身の個人情報クリスタルを出す。
それに合わせるように、シアキが自身の個人情報クリスタルを合わせ「加入承認」と叫ぶ。
「これでお前は、俺のパーティーの正式な仲間だ、いいな。
二人と家屋の住人達を気合入れて、全力で守ってくれ」
「はいお任せ下さい」
濁声の副音声のような返事だが、少し嬉しそうに聞こえた。
そして奴隷のリムは何も言われなくても二人の前に立ち敵が攻撃して来たら全力で当りに行くっと言った感じで小さい体を必死に大きくし盾をやってくれている。
「リムそう手を広げていたら敵に襲ってくださいと言っているみたいに見えるぞ。
そう力まなくて良いぞ、体の力を抜いて、いつも通り二人の前に毅然とした態度で立ってくれればいい。
俺達が全力で敵の攻撃を阻止するから、もし何か破片が飛んで来たらそれを払い除ける位の気持ちで気楽に居てくれたいいからな。
お前が怪我したら元も子もないからな」
「はい、ご主人様そう致します」
この間も後ろを向き仲間と話しをし、自分達の方が隙だらけで狙いやすいにも拘わらず、それには目もくれずルルに向かい敵が襲い掛かっている。
この行動も不可解だが、恐らくは敵は一度命令を与えられるとそれが完遂するまでし続けるのかもしれないと推測できる。
「へぇ~まるで一命令しか実行出来ないロボか?いや一応生体使ってるからサイボーグか?・・・まぁ~どっちでもいいや。
ルル!この世界にそいつらみたいな、人と機械を融合した種は存在するのか?」
尋ねる様にルルに聞くと、顔を引き攣らせながらルルはブンブンっと首を横に振っている。
「し、知らないよ~こんな種族!。
てか何なの、あからさまに私ばかり攻撃対象にしてるよねコイツら・・。
もうキモい何なのこの生き物は・・・・・私こう言う訳の分からない生き物、ちょっと苦手かも・・・・・」
話しながら寄って来る者達を殴り付け無効化していく。
「・・・・あ~もうキリ無い、何なのよホント・・・・・コイツら手足無くなったのに・・・・・・。
何か遠隔でシアキみたいに魔法で動かしているのこれ?。
いや~もうキモイ~くねくね動いて迫ってくるし・・。
私よりシアキの方が近いのに何で私の方に来るのよ~。
何か知ってるの?そのロボとかサイボーグって何?。
・・・あと・・・・・何か連れて・・・・来たでしょ~・・・・・」
最後、なぜ防御力の薄い者達をこの場に連れて来たのかを指摘されたと勝手に解釈する。
これは、自分の目の届く範囲で此処でアイに守らせている方が安全と判断したから連れて来たのだ。
しかしルルにも意外な弱点がある事があると判明した、得体のしれない物にはちゃんと嫌悪感を持ち少し今まで見せた事の無い程顔を引き攣らせている様子を見て嬉しく思う。
敵はもう引っ切り無しにルルに迫り、千切っては投げられ千切っては投げられを繰り返している。
いつものゆるゆるで間延びする口調はすっかり忘れており、真剣に手加減しながらルルは敵を無力化に努めている。
この敵への嫌悪感を見せるルルの態度を見る限り、この者達はこの世界には存在しない者達で間違いないようだ。
そしてルルも知らない、そんな者達が居るという事は、自分と同じ、何か特殊能力か魔法を使える転生組の可能性が濃厚になる。
この推測が正しいとしてもルルが俺以外の者を連れて来たとしたらこの驚きは納得出来ない。
他にこの世界に連れ込んだ者が居るか、又は、誤って同時期に、こちらに来たかだ。
これはこの者達が何処の国で、この魔法を使う奴が何者なのかを、ここに居る敵の中で話が出来るものから聞けば分かる事だ。
問題は眼前に居るサイボーグ・・いやこの場合擬きだ。
感情を表に出せないのだから、機械人形と言うべき者達が、まだこの世界で、生命体として分類されるかだ。
この機械人形達の構造上、筒状の物の中には、元生物だった者達の魔素核と脳と脊椎が保存溶液に浸され納められているはずだ。
恐らくは脳を記憶装置か何かに利用し、脊椎はその電気信号を可動部に伝えるだけの為に残されているとみていい。
手足を失っても動く事からみて、何かしらの単純な命令を受ければ、筒を破損させられない限り永遠と体が自動で動くと考えられる。
あの胴体にあった筒状の物を破壊し中身を露出させるだけで、四足への命令伝達が上手く出来なくなるのか、そのまま死亡するかは不明だが、取敢えず、これが生物として、まだ分類されるなら、とても厄介だ。
敵の狙いは、筒を破壊させ、自国民を殺した犯罪者として自分達を祭り上げるのが狙いと見て間違いない。
そこを起点に、敵は犯罪行為を許す代わりに無茶な要求や交渉をするつもりだろう。
いくつか既に動かなくなっているので、自国民を殺害したとか言われるだろう。
「どうでもいいや、これが生体でも俺達に喧嘩吹っ掛けて戦争しに来てんだし、生きようが死のうが知った事じゃない。 さてと、お前達の大将を呼べ」
横で腕組みしながら無防備に立っているシアキには一切目もくれず、ルルに攻撃を仕掛けている者に大将を呼ぶよう伝えるが返答する事なく攻撃をし続けている。
「あぁ~もぉ~せめてここまでするんなら、どうせなら話せる奴や臨機応変に対応出来る奴を準備しておいてくれよ、本当に面倒くさい連中だな」
この場に居る、敵で話せる者は居ないか目に入る敵のステータスを片っ端から開いていく。
途中から同じ内容なので開くのを止めた。
どの個体も「オオサ帝国製、魔素義体、戦闘用自動人形兵」っとなっており、共通して、防御力が八百、攻撃力三百、撃射撃百五十となっている。
個体別に変わっている個所は、備考欄に元人族、元魔族等と素材にされた種族が分かる程度と、目視範囲に操縦者ありという位だ。
取得能力欄に捕縛用結界弾十連射、一命令受信と一命令実行、そして爆破用魔法陣による自爆とあるだけだ。
この事から四つ重要な事が判明した。
攻撃力がある為、防御力の薄いと思われる、シャボちゃんとエラルは一撃でも食らえば絶命してしまうという事。
一度命令を受けると、四足を失っても稼働出来る部位を使い実行しようとやり続けるという事。
自動人形兵の大群の中かその周辺目視確認出来る範囲内に操縦者が居るという事。
今、迂闊に手を出すと爆破用魔法陣とやらを使用され自爆されてしまうという事。
敵操縦者を捕縛するにも難がある事が分かった。
目視範囲とはどの範囲なのか、各命令はどうやって与えているのかだ。
このオオサ帝国の連中の魔法力や化学力とかが、今現在自分が知っているこの世界の情報と違った場合を想定しなければならない。
まず一つは世界には公表していない独自の通信設備が構築し隠し持っている場合だ。
これは十分に有り得る、転生組だとすれば元の文明知識を保有しているだろうから不便なこの世界で、通信設備を整えれば、各戦況を優位にする事が出来、独占している可能性がある。
昨日自分は遠隔地と話せる魔法を独自に開発したが、この魔法は仲間以外にまだ公開するつもりはないからだ。
相手が自分と同じ事を考えた上で、頭が回る者なら、この場に数名目視確認し人形に指示を出す者を置き、通信手段を用いて戦況を聞き、離れた安全圏から指示が出せるようにしているはずだ。
この場合だと、大本を捕縛するまでに時間が掛かる。
もし爆破も遠隔でおこなえるとしたら厄介で、この証拠となる人形達をこの街と共に全て爆破され証拠を隠滅されてしまい、その爆破がこの場に居た自分達の仕業だと嘘の情報を流すだろう。
こんな些細な嘘でも証拠がない以上言い逃れが出来なくなり、同盟しようとしている国を襲ったとして賠償要求等をフジイデ王国がしてくるだろう。
それは回避したいので問題となる爆破用魔方陣の無効化をしこの場に居る操縦者達を捕縛しなければならないのだ。
幸いこれは容易に出来る。
捕縛する人形から得た情報で魔素義体と魔素供給を受け動くものだと分かる。
爆破用魔法陣も、魔法と言っている以上、恐らくは魔素供給をされる物か聖素供給される物である可能性が高い。
もし魔聖素で構成されていれば、爆風を閉じ込めるようにすれば良いだけだ。
密かに自身のステータスを弄り副職はそのまま魔撃魔術士にし主職を冒険者から魔聖術士に変更しておく。
魔聖素で敵一人一人を包み捕縛、爆破用魔方陣の無力化、又は爆風封じ、これで一石三鳥が出来る作戦安が出来たのだが、一つ心配な要素がある、自身の精神力が敵の数分もつかだ。
その心配要素はあるが、これは考えても意味がないので気持ちを切り替え、一応ルルが教えてくれた、瓦礫の山に鎮座していると言う敵の大将を交渉の場に引きずりだす為、敵が最も好む大声で聞こえるように情報を与える。
「俺は、このフジイデ王国と同盟を結ぶ事になった、マムラ王国の国王マムラ・シアキだ。
この後ろの家屋に住む者達は俺の大切な仲間の家族達だ。
これ以上攻撃をするなら、俺も黙っていないぞ。
そちら側がちゃんと顔を見て話せる者を出し、俺と交渉する意思があるなら、こちらからは一切攻撃はしないと約束しよう。
正直ここで出来損ないのサイボーグ擬きである、機械人形を破壊しても俺に何も利点がないからな・・。
聞いてるか?ちゃんと顔を見て話せる者はいないのかと俺は聞いているんだが?。
話せない理由でもあるんなら、筆談でも構わん、お前達は何か俺と交渉がしたいんじゃないのか?」
その言葉を聞くなり機械人形達が左右に綺麗に分かれ道を作る。
その道の先に、瓦礫の山と化した家屋個所で鎮座していた少し身なりを整えた見た目完全人族と思われる者が立ち上がりこちらに向かって来る。
すかさずその者のステータスを確認する。
そこには、オオサ帝国製、魔素義体、隠密作業用自動人形、王形式複製っとなっている、これも精巧に作られた人そっくりの人形であると言うのが分かった。
敵は交渉する気はないようだ。
そして敵は頭が回る人物では無い事が、この段階で八割方推測される。
夜通し馬を走らせたのは考え無しに、ただ逸早くこの国に入りサジュラの親類親戚を攫う為だけに来たとみていい。
もし頭が回る奴が大将ならこの話を聞いたら動くに動けなくなるはずだ。
もう一つ何か譲歩策を聞き出すまでは、微動だにせず静かに睨み合いを続ける事しか出来なくなるはずなのだ。
魔聖素の膜をここに居る人形全員に上部だけをあけた状態で魔素や聖素が供給出来ようするようなイメージで一人一人包み込む。
いつでも密閉捕縛が出来る態勢を整えた後、王型式複製の人形を破壊する為に行動を起こす。
「私はオオ・・」
その人形は偉そうに肩で風を斬り、こちらに歩みを進めながら発言しているが、最後まで話させる気はない。
発言途中で距離を一瞬で詰め、ただの下斜め辺りから回し蹴りで頭部を上空に蹴り飛ばす。
溶液が飛び散り辺りに悪臭が漂う。
「うっせ~んだよ。たかが人形如きが偉そうに喋ってんじゃね~。
俺は一応国王だぞ。馬鹿にしてるのか?俺はちゃんと顔を見てちゃんと話せる者を出せって言ったんだ。
何勘違いしてんだ「者」って言ったら生身の者だろうが、人形じゃね~だろうが。
誰が人形を出せって言った?そんな事一言も言ってないだろうが、お前等は馬鹿なのか?」
頭部が空中を舞い、向かい側の家の屋根の上にボトリと落ちる。
蹴り飛ばすと同時に、魔聖素で敵全体を完全捕縛する。
すると左右に分かれている人形達が糸が切れたかのように一斉に崩れ落ちる。
捕縛と同時に生身と機械を融合している者達の生身からボトボトと機械が体から剥がれ地面に落ちていく。
剥がれ落ちる際に激痛があるのだろう断末魔のような悲鳴をあげ、剥がれ落ちた部位から勢いよく血しぶきが上がる。
何故自身の機械部分が剥がれ落ちたのか理解出来てないという表情を見せながら、血まみれで地面に崩れる落ち這いつくばりながら、全員こちらを見ている。
この者達がこの人形達を操っていた操縦者本体で間違はないようだ。
今起きている現象からみて、魔法で何かしら作用し構築構成されている者は、魔聖素に覆われると魔法自体が制御出来なくなり無効化され、異質物と融合していた際は、分離する現象が起きる事が分かった。
「結構数が多いな~約四十人位居るだろうな、これ・・・。
しっかりした通信機の技術はまだ確立されてないか?いや一度に操れる数に限界があると考えてた方が自然か!。
いや~魔聖素ってこの世界で希少な魔法なのかもしれんな。
実に面白い、新たな発見も出来たし今日は凄く充実してるからコイツらには感謝だな」
そしてある実験をしたくなる。
国境結界も神族の聖素系の術、いやもう魔法と言ってしまおう。
魔法だとすると、事前に自身を魔聖素で覆った状態にしたら、それは自体は無効化出来るのかが知りたくなった。
もしこれが可能なら、今後の冒険の際に使えると考え、早く実験したいと言う衝動に駆られる。
この者達の親玉、いや転生組の事は、もう一切興味が無く、ただ実験したいと言う欲だけが生まれている。
そんな事を考えながら血まみれで倒れている敵の一人に近づき目線を合わせる為、眼前に屈みこむ。
膝に左肘を付け顎を掌に乗せ、右手で敵の髪の毛を掴み上げ目線を合わせ尋ねる。
「な~最初からお前が、俺の前に素直に出て来たら良かったんじゃないか?。
お前、一部が完全な生身で、自分の感情もあり、発言も出来るんだろ?。
それに素直に最初から出て来てたら、そんな目に合う事も無かったんだぞ。
面倒くさい事するから、俺が力を態々使わなきゃならなかったんだぞ、分かるか?。 まぁ~いいや。 しかし痛そうだな、それ止血しないと死ぬぞ。お前も、その周辺の仲間も。
よしお前に全員を助かる機会を、このマムラ国王が直々に与えてやるぞ。
そのまま出血多量で死ぬか?それとも俺の簡単な質問に答えて助かるか?どちらか好きな方を選べ。
まずお前らは何者何だ?これに答えたらお前とその仲間達を治療してやるぞ」
口を噤み絶対喋るかという表情をみせこちらを睨んでいる。
ここでニターっと悪戯っ子がするような笑みをみせる。
「そっか仕方ないな、自国の事を喋らないように、何かしら命を奪う魔法でも掛けられているとかか・・。
まぁ~きっとそうだろうな、ここまで俺を馬鹿にするくらいの馬鹿だもんな、お前達の王は、いや帝国だから皇帝か?ははは。
お前はオオサ帝国の末端の駒みたいな者だものな、そんなお前に聞く俺も馬鹿だよな。
ただ次の質問にはちゃんと答えろよ。
お前達の国とか、俺は全くもって興味は無いんだ。
だが俺達に喧嘩売ったのは、そっちって事位の意味は分かるよな?どんな末端で馬鹿でも?」
どの国とも国交が無い自分達の国の名を告げられた事に目を見開き驚いた表情をする。
「そんな驚かなくて良い駒は駒らしく聞かれた事だけに答えていればいいんだ。
そうすれば、お前の命もお前の国の命も助かるんだ。
さぁ~質問だ、この機械と人を融合させるこの魔法を使える奴の名前と、お前達の皇帝、いや飼主は今何処に居る?」
ここで自分が答えなければ自国は滅亡の危機に陥る。
喋った所でもう皇帝は死亡している。
戦争になれば自国の戦力を総動員すれば小国など潰せると、次の皇帝は仰るはずと考え素直に答える。
「その魔法を唯一使われる方は、我々武力軍事帝国、オオサ帝国皇帝陛下のカミン・オオサ様その方だ。 そして貴様が先程首なしにした方だ」
「ふ~ん「カミン・オオサ」っていう奴か分かった。
でも、俺の質問の答えになってないぞ、アレは人形だ、そいつは何処に居るんだ今?」
「だからそこで死体になっている」
「はぁ~違う違う違う、それは間違いだ。
お前達のその体の状況からして、不完全な無機物と有機物を融合させ、手足の様に操れるように神経を繋ぐような魔法ぽいしな。
そんな危険なものを、王自らの体に試す奴が居ると思うか?。
俺ならそんな怖い魔法を腕や足を切断してまで自分には絶対使わないぞ。
お前みたいには成りたくないからな。
まぁ~お前達は駒だから、人形を皇帝だと教えられたって所だな。
うんうん、そう言う事にしておいてやろう。
よし一応質問に答えたから治癒はしてやるよ。
ルルちょっと血しぶき上げた連中を止血し少しだけ治癒してやってくれ。
治癒って手足が生えたりはしないだろ?もしするんならそこまでしなくて良いぞ。
一応敵と俺が約束したから死なせない程度の治療で良い、少し敵の数が多いけど頼めるか?」
「はぁ~ヤダけど、シアキが約束したんなら仕方ないやったげるよ~。
あと他はどうする?動けないようにしておく?」
「あと他?もう動けないからそのままでいいと思うぞ」
「ふふふ、分った~、じゃ~少し治して回るね~」
そう言い全身で嫌だっと表現しつつ治癒しに向かう。
包んでいる魔聖素の膜にルルが触れると一時的に治療の為だけに弾けと飛び、離れると再度包まれると言うご都合主義なイメージをする。
「さて、まずあの吹き飛ばした頭部の回収か~確か向うの家の屋根辺りに落ちたはずだよな」
蹴り飛ばした頭部があると思われる家屋の方向に目を向け屋根を見上げる。
その家屋の屋根の上にラフェルがサジュラを担いだ状態で立っているのを確認する。
もう一人は何処だっと探すが何処にもいない、もしかすると別動隊の人形と応戦しているのかもしれないと思いラフェルに行方を聞く。
「おいラフェル、フェンラはどうした?」
それと同時に何かが後ろに設置した罠に引っ掛かったようだ。
「うにゃ~何じゃこれは・・・」
その声の主が分かり呆れた~っと右手を額に当てながら後ろに振り向く。
案の定フェンラが投網に引っ掛かった魚のように空中でもがいている。
「お前な~悪戯するのは良いが、もっと警戒しろ。
俺が後ろを気にしてない事位は分ってたんだろ。
きっちり罠位張ってるって予想して行動しろ、お前は一応このパーティーの頭脳なんだからな」
魔素の網を消滅するようなイメージをし、空中でもがいているフェンラを解放する。
いきなり拘束が取れ地面に尻もちを付く形で落下する。
そしてフェンラの頭にポカリと拳を軽く置く。
そうここで本気でガツンと拳を落としたら頭がぱっくり西瓜割りをしたように割れてしまうからだ。
痛くもない頭をスリスリと擦りながら口を尖らせ文句を言う。
「あうぅ~痛いのじゃ。 罠があるのは想定して、ちゃんと罠感知をしたのじゃ
感知出来なかったので安全と思い、驚かせようとそっと近づいたのじゃぞ!。
そしたら・・まさかあんな見えない網みたいなのが空中にあるとは思わなかったのじゃ。
それにこの国の何処も被害が無かったのじゃ、敵はただ真直ぐこの場所に来ただけじゃろ?。
これは本戦では無いという事はバレバレじゃ、ただの児戯じゃし、遊んでも良いと思って後ろを取って驚かせようとしただけじゃ」
魔素をただ集め網状に設置しただけなら探知は出来ないという事が分かり嬉しい誤算を得る。
ただ何故感知出来ないのかと言う疑問が生まれるが、それに関しては今は考えないで取敢えず頑張ってくれたフェンラを少し褒める事にする。
「そっか!罠は感知出来なかったのか、それは良い話が聞けた。
そしてすまなかった、少し遅かったからフェンラ達が結構外周の不穏な物を排除し頑張ってくれたんだよな。
ありがとな、助かったよフェンラ達に任せて良かったよホント。
そして、フェンラの予想通りだ。
これは敵にとっても児戯だ、いや俺達をハメる為だけの罠と言った方が良いだろうな。
だからきっちり後悔してもらわないとだよな。
ラフェル!降りてくる前に、そこの屋根に俺が蹴り飛ばした作り物の頭部があるはずだ、探してサジュラにでも持たせて降りて来てくれ」
「分かりました~少し探しますね~待っててください」
言われた通り屋根の上を探すが見る限りその様な物は無い。
反対側を探してみると、頭部らしいものが雨樋に辛うじて引っ掛かった状態で止まっていた。
そっと近づき拾い上げようとすると、少しバランスを崩しそうになる。
何とか耐え、サジュラに拾い上げた頭部を渡す。
それを受け取りその頭部を見て驚く。
受付嬢であるサジュラは自分が管轄する国の周辺国の王や重要人物の顔の人相図を記憶している。
この顔は紛れもなく、オオサ帝国の現皇帝陛下のカミン・オオサその人の人相図とそっくりだった。
「コレ本物じゃ~ないんですよね?ラフェル様」
「ん?そうだね生体反応は少しあるみたいだけど、持った感じの質量とか人の頭部にしては軽いしちょっと違和感あるから精巧に作られた偽物ってとこでしょうね。
それよりシアキさんの所まで行くけど。ちょっとスカートが捲れると嫌だから離れた個所から降りるからね」
屋根を駆け上がりシアキが居る側へ行き少しシアキと距離を取った後に屋根から飛び降りる。
屋根の高さは約四メートルだが、着地の衝撃を全て足の屈伸運動だけで逃がしたので、肩に担いでいるサジュラに振動としては感じさせる事はなかった。
そのあとすぐさまシアキの下に駆け寄る。
「お待たせしました」
軽い荷物を片肩に担ぐ感じで抱えられていたサジュラはそっと降ろされ、手に持っていたオオサ帝国の現皇帝陛下であるカミン・オオサの作り物の頭部をシアキに手渡す。
「コイツか~う~ん邪魔なパーツは取ってしまうか」
雑に機械部分を力任せに引き千切る様に剥ぎ取っていく。
「さてと一つ実験してみるか・・・・」
この顔が、オオサ帝国の現皇帝陛下のカミン・オオサで有る事が分かったので本人は恐らく安全圏の自国に居ると推測される。
ここに連れてくると同時に国境結界無効化実験も同時に出来るとワクワクしながら瞼を閉じ自身の周りに魔聖素で包み、男の顔をイメージし本体の前に転移したいと念じる。
瞬時にシアキが転移すると考えたフェンラはシアキに触れる。
それと同時に全員の前から二名の姿が掻き消えてしまった。
--- 49話目のみの後書き----------------------------------------
49話目最後まで読んでくださりありがとうございます。
どうでしたか?楽しんで頂けたならうれしいですが。
---余談---
ここまで読み進めて下さった皆様はきっと不穏な気配気づいちゃいましたね
少し噛み合ってない個所がありましたものね
では、次50話目で、お会いしましょう。




