---32--- 拠点 国登録
時刻は恐らくおやつ時か、もうすぐしたら夕飯時といった所だろう。
腹時計がそう告げているからだ、何故腹時計を頼りにしているのかだが、この世界には風呂や時計と言う物品は貴重で貴族や王族の一部の限られた者しか持っていない物なのだ。
一般的に、時を正確に知りたいと言う時は、大きな国や街に必ずある時計塔を見るしか正確に時を知る術がないし、風呂に入りたければ、桶に湯を沸かしタオルで体を拭くか、夏なら川等で水浴びをするのだ。
この辺がこの世界において少し不便な点だ。
元の世界では普通に時計もあったし風呂もあったのだから。
どうにかして、時計に代わる時を知る魔法やアイテムを手に入れなければならない、ずっと腹時計を頼りにするのも嫌だと常々思っている。
だが今日からはフェンラに水を出してもらい湯を張った湯舟に浸かり疲れを癒す事が出来ると思うとテンションが上がると言うものだ。
そして今、室内には全仲間六人と一体、あとダンと、その近衛の神族達九名を合わせて、合計十六名と一体人がこのリビングに集合している。
リビング内には、食事用に用意されたテーブルと椅子が三脚あるだけだ。
今まで此処にはシアキとラフェルとルルが座るだけだったのでこれだけしか用意されてはいないのだ。
椅子の予備は幾つかあるが、流石に、この十六名を座らせるだけの物理的な量は無い。
「椅子の予備を含めてもこの人数は流石に無理だろうな。
よし話は床に座って話そうか、まぁ~取敢えず、皆座れ」
まず最初にシアキは床に座り、皆が座りやすく成るようにし座るように促す。
「儂は床等には座らんぞ。この椅子に座らせてもらうぞ、そんな床などに神族が座ってたまるか。
お前達九名はこの空間は狭すぎて邪魔だ、用もないので外の森から木を数本切り倒して、この場に居る者達が座れるように一部を刳り貫いて椅子を作ってこい、あと丸太をスパッと切り落として簡易テーブルでも作ってこい」
仲間達の為気を利かしたつもりなのだろう。 自身の部下九名に対し、森の木を切り倒して雑でも良いので座れる椅子と机を作って来るように指示を出している。
その指示に従い神族達は外へ向かおうと玄関に続く廊下に向かう。
その行為を見ていたルルが瞬時に廊下に続く道線を塞ぎ、全員の行く手を邪魔する。
「おい、おい、待て、待て、それは無しだ。
俺の見たり知ったりする範囲で許可なく、ここの森の木々を切り倒したり、傷つけるのはやめてくれ。
あの森の木々は俺達の仲間だから俺の仲間達が見たり知ったりする範囲で、そんな行為をしたら今度は全力で排除するからな、あとそれ以上、動けば、仲間のルルがお前達の身動きを強制的に止めるぞ。
それにだ、どうせなら、この床に座って話し合えば面白いじゃないか。
それとも何か?そんな厳つい図体して潔癖症なのか?。
そんな厳つい図体してる男なら胡坐でも掻いて座りながら豪快に話しをしようぜ。
あと今日の夕飯は、ダンさんと、そこの神族九名も、この部屋の床に座って皆で囲んでワイワイ食うからな。
幸い、今ここには食材の美味しい肉は沢山あるからな。
・・・いや待てよ、そうだ!外で焼肉パーティーってのもいいかもな、な~ラフェルそうしようぜ。
外で肉焼きながら皆でワイワイしながら食おうぜ」
無邪気に床に座りながら上目目線でそう言われラフェルはニヤケてしまう。
これも今後の為だ、恐らくここで妥協してダン達を椅子に座らせたり、森の木を切り倒して勝手な事をされたりしたままで全ての話が終わってダン達を国へ帰すと、今後些細な指摘や注意をしただけで、それこそ気まぐれを起こされて国を破壊させるかもしれないので、今の内に自分達は非常識な対応を取る集団だと覚えてもらわなければならないのだ。
いくら仲間のルルが最強でも、留守中にエラル達獣人が、唯々視界を横切った、又は、気さくに話し掛けてきた、又は、何か指摘や注意をしたと言うだけで、気まぐれを起こされるのだけは絶対に困るのだ。
ここは、至っていつもの仲間達と接するのと同じ調子で対応してやると決めシアキは今行動しているのだが、心の中は少し動揺している。 当り前だ、先程の軽く払い除けられただけで片腕を吹き飛ばされて瀕死状態になったのだ、もし本気を出されでもしたら、この場にいるルルとダンと神族九名以外の全員は即死してしまうのだから。
「ふふふ、シアキさんは、すっかりお肉の虜ですね~。
じゃ~焼肉にしましょう。ちゃんと野菜とパンとスープも用意しますから、お肉ばっかり食べずバランス良く食べてくださいね。
でも、この人数の夕食の準備は流石に一人でやると骨が折れますね~誰か料理出来るなら手伝ってください」
当然十六人分を用意しなきゃいけないのでこの反応は至極当然だ。
取敢えず、フェンラが料理を出来るのかを今後の為、まず確かめる。
「フェンラは料理とか出来るのか?。
今後の為に聞いておかないとだし、どうだ?料理は出来るのか?。
ちなみに俺は配膳を手伝える程度で料理は殆ど駄目で食べる専門だ。
そしてルルは配膳も料理も駄目で食べる専門だ」
料理が出来るかと問われ、自分の作ってきた料理と呼べる物を考え答える。
「ん?そうじゃな~塩を振って素材を丸焼きにする位なら出来るのじゃが、これは料理かの?。 正直、我はそれ以外の料理と呼べるモノは作った事が無いのじゃかの~。
そんなので良ければ提供出来るぞ」
それは、ただ塩を振るだけの物を料理と呼んでいいのだろうかと思うが、フジイデ王国で食べたあのトカゲの丸焼きの事もあるので何とも言えない。
でもこれは一応料理が出来ない分類で良いと判断する。
そしてリムのステータスを思い出し「料理全般」となっていたので、料理が出来るはずなので手伝うよう促す事を決める。
またどうせ「奴隷の自分なんかが・・・」と言うだろう。
この予想されるであろう行動も今後何とかしないといけない。
「う~ん、あのトカゲの丸焼きの事もあるしな~でも丸焼きなら、俺でも頑張れば出来るはずだぞ。
いや...少し焦げるかもだが、まぁ~フェンラも料理出来ない組候補決定だな.....。
もしかしたら、物凄い料理がうまいかもと思ったが俺とルルと殆ど変わらんな。
よしこの中だと、料理全般出来るのはリムだけだな、どんなの作れるかは今後聞くとして、今回ラフェルと協力して一緒に調理してくれるか?」
「え!料理出来るの?リムちゃん。
やった~これで一緒に料理作る仲間が増えた~、じゃ~リムちゃん一緒に作ろうね。 あと暇な時に料理の教え合いっこもしようよ」
料理仲間が増えた事がよっぽど嬉しかったのだろう眼をキラキラ輝かせリムを見ている。
そして案の定、予想されていた言葉がリムの口から発せられる。
「え!いいんですか?私みたいな汚い奴隷が、ご主人様や皆様が口にする料理を作っても?」
その言葉を待ってましたっと、シアキは心の中で叫ぶ。
少しキツイ口調で、怖がらせるだとうが今後の為と思い心を鬼にし、その後ろ向きな発言を否定する。
「リム!、またそ~やって自分を汚いとか言う!。
じゃ~俺も汚いって事になるぞ!リムお前が汚いなら主人の俺も汚いって事だ。
そして俺が汚いって事は、ここに居る仲間全員が汚いって事だ。
お前は、俺の専属奴隷だが仲間なんだ。
俺達は仲間が侮辱されたり、傷つけられたら、怒りを覚えるんだ。
リムが自分で自分を蔑み侮辱したら、それも同じだぞ。
俺達は、お前を汚いとか全然思わないし、大切な仲間だと思ってるんだ。
もうそう言うのは、これから言うな。これは命令だ。リムお前は、ただ奴隷って職に就いている、綺麗な俺達の大切な仲間なんだからな。
その奴隷である事を解放してやれたら一番良いんだが、その方法は恐らく俺が思うに奴隷の主人が絶命して死ぬって事だと思うんだ。
流石に、これは当分叶えてやれそうにない。
だから俺が絶命するまでは奴隷である前にお前は俺達の仲間だって事をまず認識し仲間として物事全てに楽しく参加し行動してくれな。
言葉遣いや奴隷時の今までの習慣とかは急には替えられないのは分かってる。
でも徐々にで良いから崩して話してくれたり冗談を言ってくれると俺達は嬉しいんだぞ。
それより何よりもだ!自分自身を蔑むな。 取敢えず俺は今凄く怒ってるぞ。
今日は俺達の夕飯をラフェルと一緒になって楽しく作る事いいな!。 これは決定だからな」
仲間全員うんうんっと頷きながら、優しい目線でリムを見ている。
その光景を見てダンが凄く嫌な表情をしながら口を挟んでくる。
「何だと、奴隷に儂らの飯の支度をさせると言うのか、正気か小僧!そんな汚い飯を儂達に食えと言うのか!」
そうだった、このダンの態度も何とかしないといけない。
今後俺達と関わる以上、こんな些細な事でキレられ、国や仲間を屠られては困る。
「ダンさん、俺達と関わる以上は俺の大切な仲間達や俺の国の国民達向かって、どんな些細な事に対しても、そう言う侮辱するような発言や態度は今後やめてくれ。
この子は俺の専属の奴隷だ!そしてこの子も俺の大切な仲間の一人なんだ。
それに奴隷だからって何が悪い?な~?な~?何が悪いか教えてくれ?。
神族は奴隷が作った物を食ったら病気になったり死んだりするのか?な~?な~?どこが汚いのか何が嫌なのかをちゃんと説明してくれ?。
もし奴隷が作った料理を食ったら、病気になるとか、死ぬとか言うなら実践してみせてくれ。
食って病気になると言うなら、病気になってみてくれよ、な~?。
食って死ぬって言うなら、死んでみてくれよ、な~?。
それなら俺も信じるしこれから無理に食ってくれとは言わないからさ。な~な~どうなんだ?教えてくれ?」
その態度を見てこれは面白そうと考え、ルルも参戦してくる。
「ははは、それが普通の反応なんだよ~。ふふふ相当シアキも頭来てるね~。
私ね~正直シアキの仲間にしか興味ないんだよね~。
この意味わかるかな~私も大切なシアキの仲間達を侮辱されるのは許せないな~。
親だろうが、同族の神族だろうが、全く興味が無いから、一瞬で全員を滅しちゃってもいいんだよ~。
あ~リムちゃんはシアキの大切な仲間の一人なんだよ~だからその侮辱する発言や態度は~流石に怒りを覚えるな~。
・・あのね~私まだ、さっきあなた達がシアキにした事を許してないからね。
これ以上つべこべ言うなら、あなた達は今日ここで今すぐ塵にしてあげてもいいんだよ。
ね~食事をするの?それとも仲良く塵になりたいの?。
それより、いつまでそうやって一人で椅子に座ってるのかな?さっさと床に座りなさい。
ね~あと何?勝手に外へ行って森の木々を伐採して椅子を作るとかさっき言ってたよね、ホントこの場で全員一瞬で滅するよ」
途中からゆるくない口調だったので、ルルも頭に来ている様なので宥めつつ話を続ける。
「ま~ま~怒るなルル、で!どうなんだ?。
確か今日から俺よりダンさんは格下じゃないんですか?。
あとこんな事も言ってましたよね、「儂に出来る事なら何だってしてやる」っと?。
こんな些細な事も出来ない事なんですか?。
それともあれは口からの出任せで嘘だったんですか?。
・・・で!どうなんだ?はっきりしてくれるか?食ったら何か不都合でもあるのか?返答次第じゃ、また戦闘だぞ。
今度はルルにも最初から本気を出してもらうからな。
俺もそこの神族相手位なら数人は屠れるぞ」
神族九名は生唾を全員ゴクリと飲み、ダンは娘が遊び感覚であの強さだ本気を出されたら一瞬で塵すら残らないと先程の戦闘で痛感しているので一人座ってる椅子から降りシアキの眼前の床に胡坐と掻いて座り頭を下げた。
「悪かった、お前達には、儂達の・・・いや、世界の常識とやらは通用せんのだな、これで痛感した。
先程の発言は撤回する。だから忘れてくれ、もう小僧達の国も恐らくこんな感じなんだろうな。
奴隷のリムとやら、儂達は、その食事を楽しみにしているからな、美味い物を期待しておるぞ。これで良いか小僧?」
渋々だが納得はしてくれたようだ。
そして自分達と国の連中全員は、常識が通用しないと言う言葉をダンの口から聞けたので、今後多少常識外れな行動をしても、気まぐれは起こさないだろう。
念のため釘を打っておく。
「そっか、問題なく食ってくれるんだな。戦闘にならず本当に良かった。
俺の国は他種族で和気藹々し合える国で、種族や職の上下関係や権力の治外法権にする予定だ。 今までの常識は無いと思ってくれ。
奴隷もただの一つの職だし、敬語とかで話すな自然体で話せって皆に言っているから、そこの所は覚えといてくれよ。
もしそれが気に入らないとか言って、薙ぎ払ったり、攻撃したり、侮辱や罵声を浴びせたら、それが非常識だと思ってくれ。
そしてそんな行動が見られたら全力で俺とルルが、キレるからなその時は覚悟しておいてくれよ。
それに料理の味は俺が保証するぞ、ラフェルの味付けは絶品だからな、めちゃくちゃ美味いから腹がビックリするから覚悟しておけよ。
よし、リム、俺達の食事をラフェルと協力して作ってくれな。
もうこれはリムの仕事だから、これからは任せるからよろしくな。
そしてめっちゃ俺も楽しみにしてるからな、でも気合入れすぎて、味付けや調理を失敗してもいいからな誰も怒らないからな。それも楽しいし、いい思い出になっていいしな。
じゃ~ラフェル、リムと協力して夕食頼むな」
このやり取りを見てリムはこう思う。
本当にあの時この人達の部屋に飲み物と菓子を持って行って良かったと。
そしてこの今の主人の専属の奴隷に成れた事に本当に幸せを感じている。
あと奴隷では、決してあってはいけない感情が生まれている事に自分でも困惑している。
それは、奴隷である自分が、主人であるシアキに少し淡い恋心を抱いてしまっている事だ。
今までそんな感情を抱く事は無かったので、心の中で思うのは自由だと心に言い聞かせ、表情と感情を殺すが、感情が殺し切れず、いつもより少し声の質が浮つかせながら返答する。
「ご主人様、ま、任せてください、頑張って皆さんに美味しいと言って頂ける料理を作ってみせます」
「じゃ~リムちゃん、私と台所に行こう~。
うわ~仲間に料理が出来る子が居て、私本当に嬉しいよ。
二人でシアキさんの為・・いや仲間の為に、いっぱい美味しい料理作ろうね~。
シャボちゃん、外の薪置き場から薪を少し持ってきてくれるかな~」
二人は台所に消えていき、シャボちゃんは玄関に向かいトコトコトコと歩いて薪を取りに行った。
左程広くないリビングの床に残りの面子が座るが、流石に狭い。
「お前達九名は壁際で立って待機していろ、全員座ると狭すぎるからな」
座り順はこうだ、ルル、シアキ、フェンラ、サジュラ、ダンと円形に座わっている。
残り神族九名を立たせ邪魔にならないように命じられ壁際に追いやられている。
「よし、残った俺達で詰めた話をしようぜ、ラフェルとリムは夕食の準備してくれてるし、夕食迄にある程度終わらせようぜ。
フェンラ、お前には、俺らの雑談とかをよく聞いて、何か思いついたり、俺が間違った事を言ってたら教えてくれ。
えっと、じゃ~サジュラさん調印書や俺達の村を国にする事とか、あとどんな内容が必要なのか教えてもらえるか?。
その他に何か、俺がしないといけないものがあったら先に教えてくれるかな?」
「はい、分かりました。
では、マムラ様、はじめさせて頂きますね。
いくつか早急に登録する物が三つ、国名と国の位置と領地領域を登録しないといけませんので、それらに関する事を先にお聞きします。
では、最初に国名はどうされますか?。
村名をそのまま国名に変更は出来ませんので、国王はマムラ様ですので、「マムラ王国」と言うは確定で、その前に付ける~正式名は何にしますか?」
「正式名?何?マムラ王国は確定なんでしょ?その正式名って何?分かりやすく説明してくれないか?」
「分かりました。分かりやすく説明ですね。
では、フジイデ王国を例にお話ししますね。
正式名称は、「古魔術要塞国家、フジイデ王国」となります。
フジイデ王国は各国の街道が丁度交わる個所に国を構え、今は使われていない強力な古魔術を元に要塞壁を築き成り立っている国です。
この様に、正式名称を聞けば、どんな国なのかが分かる仕組みになっております。
通常は略名でフジイデ王国と呼ぶのですが、登録の際は、正式名で登録しないといけません」
「シアキ殿、我らの国は「全種族間交流国家、マムラ王国」で良いのではないか?」
至って真面目な顔でそう言うので、このセンスが良いのかを確認の為、ルルに目線を向けるが興味無いのか台所の方をじっと見ている。
もう頭の中はきっと八割ご飯になっているに違いない。本当にラフェルに胃袋を握られているようだ。
ここで自分が様々な意見を出し率先して物事を決めている姿を、ダン達に見せるのは、今後の為、何より無礼な態度が計算上の物だと思われては困るので、ここはフェンラの意見を丸呑みする事にする。
「ははは、何だろうな~すっごい違和感半端ないけど、フェンラが言うなら間違いないだろうな。
じゃ~それでサジュラさん登録しちゃってください」
「え?あ、はい、分かりました。
では「全種族間交流国家、マムラ王国」で登録させて頂きます。
次に国の位置と領地領域をお聞きします。
登録用の地図がありますので、少々お待ちください」
情報クリスタルに似た物を呼び出し、それを展開する。
そこには各国の領地領域が線引きされた、地図が映し出されている。
「えっと、マムラ様、ここはどの辺りでしょうか?」
展開した地図をこちらに向け場所を訪ねてくるが正直分からない。
「う~ん、じゃ~そのフジイデ王国を、中央に出してください」
画面の中央にフジイデ王国があるように調整してもらった。
少しそこから拡大してもらい、取敢えず今分かるのは、渓谷がT字に分かれる個所だ、容易に発見できた。
そしてその位置を確認すると、フジイデ王国より今居る拠点の家がある個所辺りまでは、結構な距離があるようだ。
そして戻って、ヒュヒュク村があると思われる位置を探すが分からない。
なぜなら、川のカーブは載っているが目印となる巨石等は載っていないし、森の中迄は、流石に何も載っていないからだ。
正直打開策はある、ルルがサジュルを抱えヒュヒュク村から浮遊し上空で地図と景色を当て嵌めて目視で目印を付ければいい。
今後の事も考えてダンの前では、なるべく馬鹿を装っておく必要がある。
ルルなら思考が似ているので、きっと同系統の提案してくれるはずだと信じて、ここは敢えて尋ねる方法をとる。もしダメなら誘導すればいい。
「う~ん、この地図、森の中まで載ってないんだよな~、河原の目印とかになる石とか載ってないし正直分からんな。 ルル~どうしよ~?この地図何とかならんか?」
こう言いながら少しウィンクする。少し頭を傾けた後、言いたい事が分かったようで、気づいてくれたようだ。
「ん?ふふふ。全くもぉ~えっとじゃ~そうだね~。
・・・こう言うのはどう~?。 私がサジュラっちを抱えて~上空に飛んじゃうとか~?。
その地図を見ながら、目視で上空で目印でも付ければ問題ないんじゃないかな~?」
「お!やっぱ流石ルルだな。
俺はそんな事全然思いつかないし、そもそも空を飛ぶ事が出来ないからな、でも凄い事をさらっと言ってくれるな。
よし、ルルそれをお願いしていいか、まずヒュヒュク村に行って場所確認して来てくれよ。
それ終わったら、ついでにココの場所も一応確認して目印付けてくれ、どれだけ離れてるのか確認したいしな。
すまんが、今回も頼んむな。終わったら、すぐ戻って来いよ。それまで皆と雑談してるからな」
「ふふふ、やっぱりシアキらしいわ~。 は~い、分った~じゃ~いっくよ~」
やはり思考が似ていると痛感する。
勘が良いフェンラも何か気づいている様で、何も言ってこないが、顔に出ている。
そして軽いノリでサジュラに触れ転移でヒュヒュク村に向かったのだろう二人の姿は忽然とこの場から掻き消えた。
そのやり取りを見ていたダンは腹立たしく思い思わず愚痴をこぼす。
「全く小僧、儂の娘を何だと思っているんだ、顎で使いよってからに、実に腹立たし奴だ」
そんな愚痴に対する返答をする間もなく、本当に、すぐに二人は戻ってきた。
「たっだいま~」
少し髪が乱れてたサジュラが眼を輝かせながら、先程まで座っていた箇所に再度座り直した。
「凄い体験をしてきました。あんな高さ初めてです。
おかげで正確な位置が分かりました。これが位置の目印を付けた地図になります」
差し出された地図にちゃんと▼で目印が付けられている。
ヒュヒュク村がフジイデ王国から結構離れた位置にあったのに驚愕する。
確か軽く走ってそんなに時間は掛からなかったので、隣国であると思っていたのだ。
「こう地図を見ると結構離れた位置にあったんだな、もっと近場だと思ってた。
う~ん、ルルがやってくれたし、これで国の位置とかは間違いはなさそうだな」
「では、この位置で間違えないようですので、この元ヒュヒュク村の位置をマムラ様の国位置として登録しますね。
あと領地領域宣言なのですが、正直森しかなく領地と言える開けた個所が無い為、領地領域宣言する利点が無いのでどうしましょう?。
幸いこの一帯森と川しかなく、どの国も領地領域宣言はされていないようですが。
此処の一軒家がある森とマムラ様の国を直線で結んで丁度納まる円を描き登録しても、ほぼ森しかなくこれは困りました」
凄く困った表情をしコチラを見て訪ねてくる。
そんな事は森に頼めば、開けた土地を確保出来るので、問題はない。
問題があるとしたら森を領地領域宣言した際の、不利な点が何なのかだ、まずはそれを聞かなければならない。
「因みに、この森を領域にしたら、何かまずい事とかあるのかな?」
「そうですね、利点は一切思いつきませんし、不利な点ばかりしか思いつきません。
この森の木々は、燃やす事や切り倒す事すら出来ない巨木なので、領地にしても開拓出来ないですし、何より厄介な事に木々自体が動いているので、もし他国の者や自国の民が森で遭難されたり、死亡された際、賠償問題や各種面倒事が考えられます。
もし森が領地領域宣言内でも領地領域除外であると言う登録時に要項として盛り込み、一切の面倒事を放棄除外するのが一般ですね」
話を聞く限り何にも問題はなさそうだ。これも打開策はあるが今回はフェンラに答えさせるべきだろう。
「そっか、じゃ~俺の国の領地領域を森にしても別に問題ないんだね?」
「実質、問題はないですが、やはり他国の者や自国の民が森で遭難されたり、死亡された際、賠償問題や面倒事を考えるとお勧めは出来ません。
あと関所を、どのように配置するか見当もつきません」
「そこは森にお願いして、領地領域宣言した以外から森に侵入した奴は街道に追い出せって、お願いすれば問題ないはずだしな。
あと開けた土地何かはお願いすれば確保出来るし、いっそこの森全部登録してもいいんだが眼が届かないからそこはおいおいだな」
「すみません、マムラ様の言ってる意味がさっぱり分からないのですが?」
「あ~そっか、えっと簡単に説明すると、この仲間のルルが森の全部の木々を仲間にしてくれたんだ。
一応俺とルルとラフェルの、この三人のお願いした内容は聞き入れてくれるんだ。
お願いし終わった内容なら、第三者がその願いに副った内容をお願いすれば叶えてくれるし、副わない場合はちゃんと修正し実行してくれるんだ。
どう思う?俺さっぱり思いつかないや、フェンラいい案有るか?」
二名共、眼をパチクリさせながら、驚愕している。
そしてダンは小声で無意識に言葉を紡いでいるが、フェンラの思考が纏まったようなのでそれを無視して話し始める。
「なんだと、この森全体に力を行使させたと言うのか・・・」
「シアキ殿一つ考えが纏まったから話すでの~良いか?」
頷きだけで答え、話をするよう促す。
「では、コホン・・。国境結界はダン殿に任せるとしてじゃ。
国境結界沿いと街道沿いの木々を森にお願いしてじゃな、隙間なく塞がせ、その先には入れなくするのじゃ。
もし侵入しおったら、街道に強制的に追い出せとでも、お願いしておけば、問題ないはずじゃ。
そして森に、国に続く街道を各所から入れるように、いくつか作らせてじゃな、関所は国の出入り口の門と兼用にするのじゃ。
そうすれば関所の経費も削減出来るであろう。
どうじゃろう、これでその迷ったりとかの問題はなかろう?」
具体的に言ってくれたので本当に助かる。
これでダンは俺が馬鹿で、仲間がいないとこんな事も決められない常識知らずの人族と思っているだろう。
狙い通り、ダンの目線が凄く冷たい。掛かった獲物は大いに勘違いした様だと確信し、心の中で喜びの声を上げる。
「お~凄いじゃないか、その案最高だな。よしそれにしよう。
じゃ~サジュラさん、一応領地領域は、そんな感じでやるから、森を含めて登録しちゃってよ」
少しサジュラは残念そうな目をしている。恐らく俺がスパスパ意見を出して決めていくと思っていたのだろう。
あとで、ダン達が帰ったら話をしておかないと、信頼を無くしかねないと思える程、残念そうな目をしている。
だが、期待外れな行動をとってほとほと嫌になっているだろうが、そこはプロだ、口調や表情には一切出さない。
ただ目が如実に残念だと訴えかけている。
「分かりました。マムラ様には、常識は通用しませんね。
それに凄い事ばかり起きてるので、信じられませんが出来るのでしょうね。
では、登録内容の確認です。
国王名、マムラ・シアキ様、国名「全種族間交流国家、マムラ王国」で、国位置と領地領域範囲指定は先程の通りで宣言し登録致しますね。
国領域の国境結界加護者名「ラ・リリルルフェ・ダン」様で間違いありませんか?」
「うむ、儂の名前に間違いはないぞ、娘」
「では、この内容で、今すぐ登録させて頂きます」
また違う情報クリスタルを呼び出し展開し記入している。
この様々のサジュラが次々情報クリスタルを出す事からして、この世界における端末機器みたいなモノなのだろうと思いながら作業を見守る。
「では、最後に国王マムラ・シアキ様の個人情報クリスタルをお出しください。
そして承認の為、この映し出されている内容に間違えが無ければ、この丸い個所に、クリスタルを差し入れ「承認」と仰ってください」
内容を確認する為、覗き込む。
字がやはり読めている事に一人感動しながら、内容に間違いはなさそうなので、言われた通りに自身の個人情報クリスタルを呼び出し、指定された箇所に差し入れ承認作業を済ませる。
「お疲れさまでした。
これで、世界冒険者組合本部にマムラ様の国の登録申請は完了しました。
早速ですが、ラ・リリルルフェ・ダン様、国境結界をお願いします。
あと、マムラ様、先程仰ってた森の件、早急にお願いします。
既に登録が完了しておりますので、この空白の時間に他国の方が侵入され遭難されたり死亡された際、賠償問題や面倒事になってしまいますので、出来れば今すぐ行ってください」
話が少し纏まった所で、ラフェルが台所からタイミングを見計らったように飲み物を持ってやって来た。
奴隷のリムとシャボちゃんは、壁際に待機させられている神族九名の下へ飲み物を持って行っている。
全員に飲み物がいきわたり、仲間全員一息入れる。
壁際に居る九名の神族はあからさまに配られた物を見て嫌そうな顔をしている事には触れないでおこう一応口を付け飲んでいるので。
「・・・・・・・・・」
「すまぬ、魔族の娘、儂は水を貰えるか?」
「もぉ~それを飲みな~さい。
折角ラフェルちゃんが作ってくれた物を粗末にしちゃ~滅するよ~」
「ははは、毒等は入ってないし、心配せず飲んだらどうだ?。
喉乾いて無くて、飲みたくなければ飲まなくていいが・・。
あと水は台所に水瓶があるから、自分で注いで飲んでくれ、ここでは水は自分で汲んで飲む事になってるからな」
余程自分で汲むのが嫌だったのだろう、渋々渡された物に口を付け一口飲み、美味しかったのだろう、それを一気に飲み干した。
「何だこれは凄く爽やかだな」
「そうだろ~美味いだろ、ラフェルは料理も飲み物も味付けが絶妙なんだ。
よしダンさん、今から国境結界ってやつお願いするぞ。
俺は、その国境結界領域外周と街道を森に色々お願いするんで、一応ルル一緒に来てくれるか、今から転移でエラル達の所に行こうぜ。
ダンさんも一旦着いて来てもらうぞ。一応皆に顔合わせしてもらわないとだしな。
あとエラルとジュダラの二名も連れて来ようと思うんだが、ラフェルどうだろう?食材は足りるか?」
「はい、十分な量はありますよ」
「よし、じゃ~連れてく来れるなら連れてくるな。
フェンラ、あと何か決める事あったら、中心になって話しを進めといてくれ」
「分かったのじゃ、任せるのじゃ」
「じゃ~皆あと宜しくね~。私は少しシアキを連れってくるね~」
そう言い残すとダンとシアキを連れルルは転移で元ヒュヒュク村に転移していった。
三名が部屋から居なくなり静寂が少しの間流れる。
残されたフェンラが静寂を破り指揮を取り話を進める。
奴隷のリムは自分の主人が居なくなったのを確認し終わると、台所に引き返していった。
「サジュラ殿、あとは、何が残っておるのじゃ?」
「同盟調印書の作成だけです。
もう必要な項目「国名」「国王名」「国の位置」「国の領地領域」「関所の位置」は先程登録を済ませましたし。
あとはその内容を使い、「同盟締結内容」「同盟破棄内容」「同盟徴収金の額内容」「同盟徴収金の徴収方法」を決めればいいだけです」
「我々で決めれる個所はもうないじゃろうが、確認の為じゃ一応話しておこうかの~。
まず同盟締結内容じゃな。
確か内容は、
「戦時戦力協定は結ばない」
「我らの国の奴隷に関する法律を、順守させる」じゃったな。
法律内容は詳しくは我は覚えておらんで、そこはシアキ殿に改めて聞くとするとしようかの~。
次に同盟破棄内容じゃな。
確か内容は、
「我らの国名を後ろ盾に争い事を仕掛けたと、こちらが判断したら即敵国と見なし、同盟を破棄する」
「奴隷に関する法律を、順守出来ない場合、同盟を破棄する」じゃったな」
「はい、間違いないです。
ただ要項には、奴隷の法律内容も記載いたします。内容は一字一句正確に記憶しております。
一条、奴隷は主人の性的な事も含めて身の回りの世話や労働を支える職とする。
二条、一条の者に対して、ちゃんと栄養を摂取させる事とする。
三条、一条の者が、病気や怪我をした際は、きちんと治療をする事とする。
四条、一条の者への、住居と衣服を、きちんと用意する事とする。
五条、一条の者の、名前、命、記憶を奪う行為を一切禁止とする。
で、間違いないと思います」
「凄いですね~サジュラさん」
「本当じゃの~凄い記憶力じゃな。やはり専属受付嬢をするだけの器じゃな」
「お褒め頂きありがとうございます。
これは、受付嬢の必須スキルですので、受付嬢なら誰でも出来るのですが、お二人に褒められると照れますね。
あと決める内容は、「同盟徴収金の額内容」と「同盟徴収金の徴収方法」だけですね」
「それは、流石に決められんの~。
ちなみにラフェル殿もシアキ殿の国と同盟するのじゃし、どうじゃ、お主の国の財政状況を基準にしては?」
話を振られ、顎に人差し指をポンポン当てながら少し考える。
今の自国の財政状況がどれ位なのか想像してみるが全く想像つかない。
そして自分の国が同盟した際、同盟徴収金を払うと、シアキに言うと、どういう反応をするか想像してみる。
結果は見えている「そんなの仲間の国から貰えないし、そもそもそんなの要らない」っと言うはずだと思考に行き着く。
「そうですね~。
恐らく何ですが、シアキさん私からそんなの取れないって言って、そんなの要らないって言いますよ」
「お!そうじゃな、確かに、仲間から取れるか~そんなの別に貰わなくても良いし、他に示しが付かんから、他の同盟国のも要らんって言いそうじゃの~。
では、サジュラ殿これは要らぬで良いと思うぞ、同盟徴収金は無しじゃ」
「え!待ってください。そんな同盟聞いた事ないですよ。
同盟の利点は、同盟傘下からの金銭の徴収が入る事でもあるんですよ。
・・・あはは、そうでした、今までの常識が通用しないんですよね。
でも皆さん、本当にマムラ様が、それで良いと本気で仰ると思われているんですか?」
「そうですよ、何なら今日の夕飯の一品を賭けて、一つ賭けをしましょう?。
因みに今日用意出来るのが、お肉とパンとスープと野菜とちょっとしたサラダも用意しますので、それを賭けてみませんか?」
「そうじゃな、賭けか~面白そうじゃな、我は同盟徴収金は「要らぬ」と言う方に、そうじゃな~賭け金は、お肉を賭けよう。 もし負ければ、今晩の夕食の肉には一切口を付けぬぞ」
「では、私も「要らない」と言う方に、お肉を賭けます。 もし負ければ、今晩の夕食時、私も肉には一切口を付けません」
「サジュラ殿は何を賭けるのじゃ?」
「え!本気で、こんな賭けをするんですか?。
あはは、真剣にこちらを見られましても困るんですが・・・。
わ、分かりました。やります、やります。
では、私同盟徴収金は「要る」と言う方に、お肉を賭けます。
もし負ければ、今晩の夕食時、私も肉には一切口を付けません」
「リムちゃ~ん、リムちゃ~ん、下ごしらえの途中だと思うけど、手とか汚れたままで良いから、ちょっとこっち来てくれる~」
呼ばれ、台所から手を粉まみれにしながら、駆け寄ってきた。
「こんな姿で皆様、大変申し訳ありません。お呼びでしょうか?」
「あのね~リムちゃん、今日の夕食の一品を賭けて、今仲間全員で賭けをしているんだけどね。
シアキさんが、国間の同盟の際、相手国から同盟徴収金のお金を「貰う」と言うか「貰わない」と言うかで、賭けをしているの。
リムちゃんも仲間だし参加してね。
で、どっちだと思う?」
奴隷なのに、本当にこんな雑談にも参加させて貰っている事に驚き、そして先程の主人に言われた内容を思い返し仲間として物事に参加し行動する。
そして考える。自分の主人がどういう選択をするだろうかと。
「え!あ、はい、参加させて頂きます。
ご主人様は、お金には、興味がないと仰っていましたので、「貰わない」と仰るかと思います。
えっと賭けるのは、お肉でお願いします」
「ははは~これは賭けにならんの~サジュラ殿のお肉は我の物になるのは決定じゃな」
「あははは、そうですね~フェンラちゃんの言う通りだね。
それじゃ~・・・あの~神族の皆さんも、良かったら、この賭けやりませんか?どうですか?」
壁際でそのやり取りを聞いていた神族九名は最初断ろうとしていたが、一人が面白そうだと言った事を、きっかけに全員肉を賭け、同盟徴収金は要るの方に賭けた。
「我々がそんな食事を賭けるとか・・・」
「おい面白そうじゃないか、こんな事を賭ける連中見た事ないぞ。
俺は要ると言う方に肉を賭けるぞ」
「そうだな、俺も要ると言う方に肉を賭けるぞ」
「よし俺も、要ると言う方に肉を賭けるぞ」
「じゃ~俺も、要ると言う方に肉を賭けるぞ」
「それなら俺も、要ると言う方に肉を賭けるぞ」
「俺も、肉を賭け、要ると言う方に賭けるぞ」
「う~ん俺も、こんなの絶対要ると言う方に肉を賭けるぞ」
「要らないとか有り得ないだろう、俺も、要ると言う方に肉を賭けるぞ」
「皆が参加するなら、じゃ~俺も、要るに肉を賭けるぞ」
自身の前で繰り広げられている他種族が和気藹々としている奇妙な光景を目の当たりにサジュラは少し困惑している。
そしてフェンラは嬉しそうに尻尾を振っている。
「はははは、これは今晩は、我は肉を食べ放題じゃな」
このやり取りをキッカケに、神族達は壁際で、ただ立っているのは、情けなくなってきたので、手伝う提案をする。
「おい魔族の娘。 外で肉を焼き食すのだろう、場所の設営が必要だろう。 不本意だが、我らも何か用意を手伝うぞ」
「え?」
不意の提案に返す言葉を見失っているラフェルに手伝う理由を話し出す。
「我らの主人のラ・リリルルフェ・ダン様が戻ってこられる迄に準備をしないといけないだろうが。
このままでは、戻ってこられても長時間待たせる危険性があるので、我々九名が設営を手伝うと言っておるのだ。
分からんか?だからだな~・・・作業を分担すれば、その分早いだろう。
鉄板やら椅子やらを用意してやると言っているのだ、さっさと場所を教えよ」
「あははは、まさか普通の神族の方からそんな言葉を聞くとは思ってませんでした。
これもシアキさんの影響なんでしょうね。
そうですね、分担した方が早いですよね、鉄板とかは、あちらの部屋の中にありますので、使えそうな物があれば、運びだして、適当な石で釜土でも作ってもらえますか。
机や椅子は長い板が数枚外にあると思いますので、それをうまく使って設営してください。
木材が足りない際は教えてください。用意しますので。
あと神族の皆さん、私達の仲間のモンスターのシャボちゃんに薪と板のある位置まで案内させ手伝わせますで宜しいですか?。
そして絶対その子を傷つけないでくださいね」
「此処に居る者達に傷など負わられる分けがないだろう。
もしそんな事をしたら、ラ・リリルルフェ・ルル様に、我々が滅せられるわ。
全て任せておけ、此処にある物で、そこのモンスター共に、我ら「ラ」一族最強の、ラ・リリルルフェ・ダン様に最適な場所を作って見せるぞ」
「シャボちゃん、薪と板のある個所まで案内してあげてくれるかな?。
あとその神族の方達と一緒に、シアキさんが戻ってくる前にお外に調理場作るから、それも手伝ってあげてね」
「分かった、ラフェル任せて」
食事が不要なシャボちゃんが話題の蚊帳の外だったので、お手伝いを頼み参加させてあげる気配り上手なラフェルであった。
仕事を与えられ嬉しそうに、神族四名と一緒に外へトコトコトコと走って行った。
残りの神族五名は教えられた部屋に向かい、使えそうな鉄板類があるか探しに部屋の中に入りちょうど良いサイズの大きな鉄板を三つ持ち外へ運び出して行った。
「じゃ~リムちゃん、私達も、残りの夕飯の下ごしらえ、済ませちゃいましょうか」
「はい」
二人は台所に下ごしらえに戻って行ったので。部屋には、フェンラとサジュラのみが残された。
一気にリビングが静寂に包まれ、台所からパンの生地を台に打付けるリズミカルな音のみが響き渡っている。
「ははは、本当にシアキ殿には感謝じゃ。
こんな他種族で、まさかルル殿以外の「ラ」一族の神族達と馬鹿騒ぎを出来るとは思ってもおらんかったわ。
そうじゃ、サジュラ殿、二人になったしの~先程のシアキ殿のやり取りで、お主少し勘違いしておるようじゃで、一つ正しておくのじゃぞ。
お主先程、シアキ殿が決めないのを残念そうにしておったじゃろ?。
あれは、ワザとじゃぞ。
最初に我を名指した時から、ダン殿と神族達に常識が無くあんな物事をも決めれないと思わせる為の行動じゃぞあれは。
恐らく我らの国は、こうやって和気藹々するでの、国民の行動を失礼と思われ気まぐれで払い除けられ屠られたらたりでもしたらそれこそ戦争じゃでの。
それを予めこう普通ではない対応に馴れさせるのが目的じゃでのあれは・・・」
「え!やはりそうだったんですね。
なんだか皆さんに聞いてばかりで何一つ決められてませんでしたし、おかしいと思ってたんです」
「あともう一つ尋ねるが良いかの~。
お主は我らの専属受付嬢になったが、今後どうするのじゃ?。
このまま一緒に行動していると、少なくとも我らは敵が多くなるからの~命を狙われる危険性も高くなり、寿命は短くなるのじゃぞ。
そこでじゃ、我らの国内に冒険者組合を作り、そこの所長をする気はないかのぉ?。
まぁ~ほぼ我等しか来ない冒険者組合になるじゃろうがな、今と変わらんが、少なくとも一緒に行動せんからその分安全じゃぞ」
真剣な顔で、今後の身の振り方を聞かれたので、真剣に答える。
「そうですね。マムラ王国の冒険者組合を作った際、そこの所長って言うのも憧れますね~。
受付嬢なら、その所長と言う夢は叶えたい所ですね。
でも、私はそんな事より、寿命が短くなっても皆さんと、いえ、マムラ様と行動を共にし、一つでも多くマムラ様の手を煩わす事なく迅速に各種手続きのお手伝いをしたいと考えております」
そう言い頬を少し赤らめている。
「ん?じゃ~安全な方を選べば、より多く我らの手続きが出来ると思うのじゃが?。
・・・あ!お主もシアキ殿を好いてしもうたのか?」
最後大きな声で発言した事で台所に居たラフェルが内容を聞き付け、リムを連れて慌てて出てきた。
狭い空間なので、つい大きな声を出した事を失敗したという表情をし、フェンラは顔を右手で少し覆い頭を横に数回振っている。
慌ててその言動を否定するサジュラだが、心の淡い心を当てられ動揺している。
「あのランドルン様、その私はそんな事はありませんよ。私のはただ少し憧れがある・・・そう憧れみたいな物ですよ」
「ははは、その我の事は「フェンラ」で良い。 その態度を見れば、もうバレバレじゃでの。
それに良いのじゃ、シアキ殿はハーレム王になるのじゃからな、傍に居る者に好かれておる方が命を狙われないので安心じゃ」
赤面しながら手で顔を覆い隠しフルフルしているサジュラの姿を見て確定だと思う面々だった。
「あははは、その態度はサジュラさんも、シアキさんが好きなんですね。
皆何処となく惹かれちゃうんですよね~」
「そうじゃ、この部屋には四人の女子衆しか居らぬから丁度良いし聞くが、リム殿もシアキ殿を好いているじゃろう?」
急にラフェルに手を引かれ、リムは訳も分からずリビングに連れてこられていたので話が見えてこないが、フェンラに主人の事を好きかと問われ、一瞬心を見透かされたと思うが、表情を殺しさも当然とそんな素振りを顔に出さず返答する。
「はい?、わ、私が、ご、ご主人様を・・・そんな滅相もないです」
「隠しても無駄じゃぞ。
我は少し皆より洞察力があるでの~些細な変化を敏感に察知出来るのじゃ。
先程のリム殿の言動が浮ついたのには、気づいておるでの~。
それで良いのじゃ、お主が主であるシアキ殿を嫌っておっては困るからの~。
因みに全員シアキ殿を好いておるでの~。
で!どうじゃリム殿はシアキ殿を好いておるか?。
ここは女子しかおらぬでの、話してよいのじゃぞ。こう言う話は仲間なのじゃから、はっきりせんといかんのじゃ」
奴隷として生きてきたのでどう感情を出せばよいか分からない、本来ならそんな感情を抱いたのが知られれば、折檻されたり殺されていてもおかしくはない。
でも、仲間として対応するよう主人に言われているので、オロオロしながらも答える。
「え!あ・・・はい、私もご主人様が大好きです」
「そっか~やっぱりシアキさんって不思議ですよね~皆どこか惹かれちゃうんですね~。
あ!そうだ、皆さんこう言う話は、シアキさんが居ない時にしか、しちゃいけませんからね。 聞かれると恥ずかしいですし」
全員モジモジしながらお互いの顔を見てこれからどうしたら良いか悩んでいる。
ここで本来ならルルが揶揄いが入り、話が変わったりするのだが、今は居ないので、話題が変わらないし、沈黙が続く。
「・・・やはりルル殿が居らぬと、こう言う話は気まずいの~。
そうじゃ、ラフェル殿、料理の準備は良いのかの~?。
そろそろシアキ殿達が戻ってきても、おかしくない頃合いじゃろ?我も配膳や切ったり剥いたり位なら手伝うでの~」
このまま三人が食事の準備の為、台所に行ってしまうと一人になってしまうサジュラは手伝いを申出る。
「あの~私も少し料理なら出来ますので、何も手続きがない時等の際は、皆さんの料理のお手伝いをさせて頂けませんか?。
あと今はマムラ様が戻られないと確認が出来ませんし、リビング内で一人でボーっとしているのは、なんだか落ち着きませんので、是非手伝わせてください」
「え!サジュラさんも料理出来るんですか?」
「はい、一応簡単な物ですが、元々専属受付嬢として皆様と行動を共にする際。
自身の食料等は自己調達し料理し食す予定でしたので、料理は出来るんです。
まさかこうもマムラ様が私の食事迄を全て提供してくださるとは思っていませんでしたので、正直驚いている位です。
先程マムラ様に私は何も聞かれませんでしたし、私の位置づけは仲間で無く、完全部外者扱いなのでしょうね。 ・・・まぁ~それが普通なんですが、少し自分でも変なのですが、何故だか少し期待してしまっていたのが今となっては恥ずかしい限りです。
こんな話はどうでもいいですよね、あははは私は何を語っているんでしょうね。
えっと・・皆様のご迷惑じゃなければ、是非今後お料理の準備とか一緒に手伝わせてくださいませんか?」
綺麗に頭を下げ準備に参加したいと言っているその姿を見て、ラフェルとフェンラは、こう伝えるのであった。
「ん?サジュラ殿、シアキ殿は、ちゃんと仲間じゃと思っておると思うのじゃがの~。
お主は、我らのパーティーに関する各種手続きをするのじゃし、それに加えて我らの料理迄は頼めないと考えておったのでは無かろかの~」
「そうですね~サジュラさんは各種手続き等や、ややこしい事を一手に引き受けて下さっていますし、それに加えて料理までは頼みずらかったんでしょうね。
シアキさん、あれでも気を遣う方ですので。そうは見えませんがね。ふふふ。
でも手伝ってもらえると助かります。
その手続きが無い際は、是非三名で料理をしましょう。
あと、料理の教え合いっこもしましょう。
では、全員でさっさと準備しちゃいましょう。
フェンラちゃんは食器類を外に運んでください。それが終わったら野菜を洗うのとか手伝ってください。
リムちゃんとサジュラさんは残りの料理の野菜をサラダ用と焼く用に分けてもらえますか?。
それと並行で下ごしらえが終わったスープの火加減と味を見ながら完成させてください。
あと私は一番難しい、パンを焼いちゃいますね。
では、お願いします」
「はい分かりました。ラミューラ様」
「あの敬称は自由でいいので、出来れば私の事は「ラフェル」でお願いします。
仲間には皆そう呼んでもらっているので。
あと私もこれからは、サジュラちゃんって呼びますね。
では、改めて皆さんよろしくお願いします」
「はい、分かりました、ラフェル様」
「はい、精一杯ご主人様の為に頑張ります」
「うむ。微力じゃが配膳と洗うのは任せてくれ」
全員残りの調理をする為、台所に消えて行った。
台所からは楽しそうな声がリビングに広がっている。
--- 32話目のみの後書き----------------------------------------
32話目最後まで読んでくださりありがとうございます。
どうでしたか?楽しんで頂けたならうれしいですが。
では、次33話目で、お会いしましょう。




