再会
ダニエルはマックスと一緒に車の方に来る。
「マックス、良い子だ。カフェに寄ったら遊んでやるからな。」
マックスは骨になっても俺の自慢の犬だ。
「マックスあんまり乗ると俺の骨が折れる。」
マックスを下ろす。
「皆乗ったな?もう出発するぞ。」
車は動き出す。
「ダニエル、良かったね。パパとママと会えるの楽しみだね。」
ラウラはダニエルに声をかける。
「うん。パパとママは僕の帰りをきっと待ってるし、僕のことを探してる。早く会いたい。」
「きっとそうだと思うわ。」
車を運転して、ようやくマリアのカフェに到着した。
「ダニエルの父親、実際に会ってみるとどんな父親か分からないな。」
ドアの前で話す。マリアに電話をかける。
「マリア、入るぞ。」
「分かった。」
カフェに入るとダニエルの両親が待ち合わせていた。
「パパ、ママ!ずっと探してたよ!」
「誰なんだ?」
「えっ?」
その場にいた全員が驚く。
「お父さん、その子は息子のダニエルじゃないですか!」
「息子?俺達の息子はこんな姿じゃない。」
「そうよ。」
ダニエルの母はものすごい勢いで泣いていた。ラウラが彼女にハンカチを貸す。
「俺達はこの息子を探してるんだ!俺達をからかってるのか?」
「落ちついてください。からかってなんていません。」
彼の父親はダニエルの骨になる前の写真を見せながら怒鳴る。他の客が驚いてカフェから出てしまった。
「そうよ。ダニエルはまだちゃんとした姿でどこかにいるのよ。ちゃんとダニエルのことを探したの?」
彼の母親も感情的になって怒った。
「私達の息子は目が青くて、整った顔立ちの可愛い息子なの。骨になんかならないわ。いつも元気で、旦那とサッカーとかしてる姿を見てるととても幸せだった。早く私達も元の姿に戻ってダニエルに会いたい。骨のままなら生きてる価値ないわ。」
彼の両親は現実を受け入れきれていない。ダニエルが骨になった事実から逃げてなかったことにしようとしている。
「パパ、ママ。僕だよ。ダニエルだよ。ずっと探してたんだよ。皆でお家帰ってサッカーとかしようよ。一緒にゲームとかしようよ。サッカーの試合とか見ようよ!」
ダニエルは父親と母親に抱きつく。すると二人とも振り払った。
「痛い。どうして?ダニエルだよ!パパとママの子供だよ。一緒にお家帰ろうよ!」
「うるさい!」
ダニエルは父親の怒鳴り声で泣いてしまった。床に涙が広がる。
「良いか?お前はダニエルなんかじゃない。」
「え?」
「赤の他人だ。本物のダニエルはこっちだ。」
写真を見せて、骨になる前のダニエルを指さした。
「そうよ。私達のことをこれ以上からかわないで!複数人でからかう為にここに来てるの?あの時のダニエルが私達には必要なの。」
だんだん俺は彼の両親に腹が立ってきた。
「何あいつら?」
「酷い親だな。」
「ジョー、落ちついて。」
「落ち着けるかよ。」
俺はラウラとジョンと聞こえないように小声で話した。
「マリアさん、あなたのお店には二度と行きませんので。これ以上、変なことに巻き込まないでください。」
「パパとママ、僕が本物のダニエルだよ。」
彼は振り払われて倒れた。
「うるさい、黙れ!」
ダニエルは涙を流しながら走ってお店を出た。
「ダニエル!」
ジョンはマックスを連れてダニエルを追った。
「いい加減にしろ!」
俺は思わず、彼の父親の頬を引っ叩いた。
「ジョー、やりすぎよ。」
「何するんだよ!骸骨にひびが入るじゃないか!」
彼は自分の頬を手でおさえた。
「あなた、大丈夫?何するんですか?」
「いい加減にしろって言ってんだよ!分からないのか?親なのに店から飛び出る子供をほっておくのか。」
「あれは私達の息子じゃない!なりすましなのよ。」
「どうして?息子が骨になった現実と向き合えてないんだろ!違うか?」
「だから息子は骨になってない!」
「ダニエルはな、骨になってもお前達の息子という事実は変わらないんだよ!確かに、人によっては骨になって受け入れられない現実がたくさんある。世界ががらりと変わるような事態だからな。だけどダニエルは一回お前達に骨だからという理由で見放されても裏切られることも考えずにここに来たんだ。ずっと誰よりもお前達のことを信じてここに来たんだ。誰よりも楽しみにしてたんだ。お前らそれでも父親と母親なのか?こんなに必死に訴えても信じてやらないのか?本当に実の息子を見捨てていのか?本当に失くしてからじゃ後悔するぞ。もう一度よく考えろ!」
俺はラウラの手を引っ張ってお店を出た。
「ダニエルを探しに行くぞ。」
「うん、分かった。でも次はビンタとか駄目だからね。そう言うことするとそう言うイメージが定着するから。」
「分かったよ。ラウラの言う通りにするよ。今度何かおわびするよ。」
「ビンタも暴力だと思う。言葉には厚みがあったけど、暴力は何も解決にならないと思う。」
その頃、ジョンはマックスをリードでつないでひたすらダニエルを追いかけていた。
「ダニエル!どこまで行くんだ。」
「僕のことはもう放っておいてよ。ジョンはどこまで追いかけて来るの。」
「こんな両親に見放された子を放置なんて出来ないだろ!」
ジョンの子供でダニエルは泣いてしまった。
「そんなつもりで言ったわけじゃない。悪かったから、泣くなよ。」
ジョンはダニエルの頭を撫でた。
「パパとママ、本当に僕のことどうでも良いのかな?僕がどうなってもどうでも良いのかな?」
ジョンはしばらく黙って話を聞いた。
「確かにあれほどのことをされたらパパとママを信じられなくなるな。でもあの二人はいつか自分達のやったことに後悔するよ。」
マックスがダニエルにゆっくり近づいた。彼はマックスを撫でる。
「ねえ、お願いがある。」
「何だ?俺にお願いしてどうするんだ?」
「お願いするのは誰だって良いよ。それより、僕のことをどっかに連れ去って欲しい。パパとママが来るまでジョンの家に僕を閉じ込めて欲しい。」
「俺に誘拐をしろと言ってんのか?馬鹿!絶対そんなことはしないからな。クレイジーな頭じゃなければ、そんな願い誰も受け入れねーよ。」
ジョンの声が響き渡り、通行人は驚いていた。
「良いか。パパとママのことは大人の俺達に任せとけ。あの二人を信じられなくなって馬鹿な行動をするなよ。」
ジョンのポケットでスマホが振動する。
「もしもし、ジョー。」
「ジョン、ダニエルはいるか?はぐれたりしてないか?」
「ここにいるから大丈夫だ。」
彼らに場所を教えてもらい目的地まで行った。
「良かった。このままはぐれてしまうかと思ったわ。」
「ジョンの奴が追いついたみたいだな。中々やるな。」
車でジョン達の所に向かった。
「ダニエル、車に乗って帰るぞ!」
俺達は全員車に乗った。
「ジョンありがとう。このままダニエルが本当にはぐれしまうかと思ったよ。」
「お前、父親みたいだな。」
「一人の大人として心配してるんだ。」
「分かったから、こっちをにらむな。」
ダニエルは相変わらず暗い顔をしていた。
「そう言えば、グッズの方は売れてるのか?」
「マリアのおかげでたくさん売れてるわ。自分がまさか物を売る側になるとは思ってもいなかったわ。」
「良かったな。君は才能の塊のような女性だからな。」
話をしてると、マリアから電話が来た。
「ジョー、ヤバいよ。大変なことが起きたの。」
「マリア、急にどうしたんだ?」
「ダニエルの両親の行ったデパートが大火事になってるの。まだ建物にはたくさんの人が残っててもしかしたらまだ二人が建物の中にいるかもしれないの。」
「何でそのことを?」
「理由は後で説明する。それより早くこっちに来て。頼む。」
ダニエルが俺をじっと見ていた。




