本編4(弟目線)
芹那には、一つ僕の作戦に協力してもらうために行動してほしいことを予め伝えておいた。
後は僕が計画通りに動けばまぁ問題はないだろう。
二階の隣の優兄の部屋に移動した。
トントン、我が家では部屋に入る時、相手の返事を待ってからではないとダメと決まっている。
どこの家でもそうだろうが、僕の友人はどうも違うらしい。
そんなことは置いておいて、返事がない。
二度目にドアを叩いたところでようやく返事が来た。
『どうした、健』
学校ではそこそこモテるらしい優兄は、机の上に座り勉学に励んでいる。
僕が声をかけた時、振り向いた時の優兄の横顔の綺麗さは僕でも認めてしまう。悔しい。
でも、本当に夢中になると周りが気になって余裕がなくなる。芹那の場合もそうだ。
『優兄、聞いてよ』
僕は優兄の椅子の後ろにあるベットに座った。
『実はさ、』
話し始めると優兄は弟の僕の方を見た。
どうやら聞く気はあるようだ。
そう確認した僕はベットに寝転がって、部屋の天井を眺めながらつぶやいた。
『芹那のこと好きになっちゃったんだ、譲ってくれないかな』
『何?もう一回言えよ』
ドン、と僕の顔の横に手を置いてきた。
優兄の体は僕の体の少し上にある。
つまり、優兄に僕は押し倒されている。
優兄はカッとなると人を押し倒す。
本人は目が悪いから相手の顔を見るのにいいんだよねー、と言ってるが、なかなか変わった奴だと弟の僕でも思う。