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はったんの穴ぐらで

 サマンサは、かつてはったんが住処すみかにしていた下水道の穴で彼の帰りを待っていた。

「ただいま。もう帰ってる」

「ああ、もういるよ。ここハトにはちょっと入り辛いよ」とサマンサがぼやく。

 はったんは穴に潜り込みながら言う。

「モグラにはちょうどいいんだ。それで、どうだったの」

「ボスの下で働くことになった。明日からだ」

「堂々とあひるランドの首相として、よくこっちに入れたね。国境で即死刑になるんじゃないかと思ったよ」

 笑ってサマンサは答える。

「そのほうがいいんだ。敵国の首相に簡単に手が出せるはずがないからね」

「ぼくも誤魔化せたよ。体調が悪くて休んでたって言ったら、みんな信じてるようだった。しかも見習いから正式な第二秘書官に昇進したんだ」

 はったんは嬉しそうに話した。

「あひるランドがダニで大変だって言ったら驚いてた。知ってるくせにさ」とサマンサがいぶかしげに言う。

「へえ、そうなんだ。なんか怪しいな」

「あいつらがどのくらいこちらの情報を掴んでいるかは分からないから、注意は怠るなよ。とにかく明日出勤して様子をみるよ。はったんも上手くやってくれ」

「あの『征服計画書』を見る限り、いきなり停戦交渉は無理だろうからな。もう少し様子見だな」



 翌日、サマンサはまた大統領官邸に行き受付で名前を告げると、大統領が待っているという。直接応接室に呼ばれたのだった。サマンサは緊張しながら昨日の応接室へと向かった。

 そこには枝子しかいなかった。

「そこに座って。今後の話しはまだしてなかったからね」

「はい」とサマンサはソファーに浅く腰をかけた。

「政策本部で働いて欲しい。色々と政策の立案なんかをするところ。あなたの頭の良さは知っているからね。しかもずる賢いでしょ」

「そうでもないですよ」

 サマンサはこの任務を承けた。

「じゃあ、案内するわ。はったんお連れして」

 応接室にはったんが入って来た。サマンサは一瞬テーブルに目を落とした。その様子をみて咄嗟とっさにはったんは言った。

「大統領第二秘書官のはったんです。それではお連れしますからどうぞ」

 はったんが促す。

「はい。サマンサと申します。宜しくお願いします」

 サマンサは促されるまま立ち上がった。そのとき枝子が告げた。

「あとで大事な会議があるから、私もすぐいくわ」






(つづく)



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